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  1. 熊本県議会 1989-02-01
    03月15日-08号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    平成 元年 2月 定例会┌──────────────────┐│  第 八 号(三月十五日)    │└──────────────────┘ 平 成 元 年  熊本県議会二月定例会会議録    第八号──────────────────────────平成元年三月十五日(水曜日)   ――――――――――――――――――――   議事日程 第八号  平成元年三月十五日(水曜日)午前十時開議 第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)   ――――――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)      ―――――――○―――――――出席議員(五十三名)                 大仁田 貞 夫 君                 高 野 誠 一 君                 水 野 秀 昭 君                 吉 本 賢 児 君                 村 上 寅 美 君                 松 村   昭 君                 鬼 海 洋 一 君                 本 田 良 一 君                 久 保 立 明 君                 福 村 三 男 君                 前 田 貞 治 君                 小早川 宗一郎 君                 岩 下 榮 一 君                 前 畑 淳 治 君                 野 田 将 晴 君                 荒 木 詔 之 君                 島 田 幸 弘 君                 中 島 絹 子 君                 中 島 隆 利 君                 島 津 勇 典 君                 大 西 靖 一 君                 倉 重   剛 君                 山 本   靖 君                 渡 辺 知 博 君                 西 岡 勝 成 君                 深 水 吉 彦 君                 阿曽田   清 君                 三 角 保 之 君                 山 本 秀 久 君                 永 田 健 三 君                 堀 内 常 人 君                 八 浪 知 行 君                 鏡   昭 二 君                 髙 田 昭二郎 君                 古 閑 一 夫 君                 大 森   豊 君                 馬 場 三 則 君                 古 閑 三 博 君                 平 川 和 人 君                 北 里 達之助 君                 金 子 康 男 君                 広 瀬 博 美 君                 柴 田 徳 義 君                 米 原 賢 士 君                 永 田 悦 雄 君                 小 材   学 君                 八 木 繁 尚 君                 幸 山 繁 信 君                 池 田 定 行 君                 小 谷 久爾夫 君                 水 田 伸 三 君                 今 井   洸 君                 酒 井 善 為 君欠席議員(二名)                 草 村   照 君                 池 田 貞 俊 君   ――――――――――――――――――――説明のため出席した者          知事     細 川 護 熙 君          副知事    山 内   新 君          出納長    伴   正 善 君          総務部長   佐 藤 達 三 君          企画開発部長 五 味 廣 文 君          福祉生活部長 小 澤   豪 君          衛生部長   星 子   亘 君          公害部長   佐 藤 幸 一 君          商工観光労働          部長     森   弘 昭 君          農政部長   木 村 剛 勝 君          林務水産部長 藤 門 豊 明 君          土木部長   小 野 満 司 君          公営企業          管理者    道 越   温 君          教育委員長          代理     田 中 徳 之 君          教育長    松 村 敏 人 君          警察本部長  清 島 傳 生 君          人事委員会          事務局長   成 松 史 郎 君          監査委員   黒 田 昭 夫 君   ――――――――――――――――――――事務局職員出席者          事務局長   大 山 清 勝          事務局次長  田 端 穂 積          議事課長   山 下 勝 朗          議事課長補佐 宮 崎 博 次      ―――――――○―――――――  午前十時四分開議 ○議長(米原賢士君) これより本日の会議を開きます。      ―――――――○――――――― △日程第一 一般質問 ○議長(米原賢士君) 日程に従いまして日程第一、昨日に引き続き一般質問を行います。 吉本賢児君  〔吉本賢児君登壇〕(拍手) ◆(吉本賢児君) おはようございます。自由民主党・上益城郡区選出の吉本でございます。 昨年の五月三日、上益城地方を中心にした集中豪雨により甚大な被害をこうむったわけでございます。知事初め建設常任委員会農政常任委員会の先生方には、いち早く現地を視察の上、迅速、適切な対応をいただきました。 おかげをもちまして、災害復旧初年度にもかかわらず、公共土木関係においては八〇%、農地・農業用施設に関しましても着々と復旧工事が進んでいる現状でありまして、地元選出県会議員といたしまして深く感謝の意を表したいと思います。さらに、矢部、清和、御船、嘉島の四町村には、さきに局地激甚災害の指定をいただき、より速やかに復旧工事が進展するものと期待しているところでございます。知事初め執行部職員の方々には大変御苦労をおかけいたしますが、引き続き格段の御尽力を重ねてお願い申し上げ、本論に入らせてもらいたいと思います。 さて、本定例議会に提案されました平成元年度の予算案に目を通しますと、牛肉・オレンジの自由化決定に象徴されますとおり、県の基幹産業であります農業が根底から揺るがされており、農産物の価格低迷や消費の伸び悩み、農家の後継者難と数え上げれば切りのないほど、昨今の農業を取り巻く環境はますます悪化している状況となっております。 ともすれば営農の意欲すら薄れている現状でありますが、こうした状況の中で、知事は、当面の緊急課題でありますところの牛肉・オレンジの輸入自由化に対し、すばやく対策を講じられ、また、その他きめの細かい農業諸政策を展開されておられますことは、まことに時宜を得たものでありまして心強い限りであります。 さらには、農業研究施設の建設や拡充策も着々と講じておられますことは、農業を本県の最も重要な基幹産業として位置づけ、農業に対する知事の並み並みならぬ決意のほどがうかがわれ、ますます意を強くしているところであります。 ところで、知事は日ごろから県政の目標は魅力ある田園文化圏の創造であるとおっしゃっておられます。それは、農業を基幹として各種の産業を振興するとともに、教育、文化に重きを置いて、緑豊かな環境の中で創造的な活動が営まれるそのような地域づくりであり、また、その背景としては、物から心を大切にする社会、産業効率一辺倒から、より精神的、文化的豊かさを求める文化の時代が訪れているとも述べられております。 時代の流れを見てみますと、確かに知事が述べられておるような方向に行っているようでありますし、田園文化圏の創造の理念はまことに的を射たすばらしいものであると思います。しかし、具体的にどういうことかと言われた場合、やはりいま少しわかりにくいという面もあります。 知事は、行政に取り組む姿勢の一つに、わかりやすい行政を掲げておられますが、実際の行政の中身では県民にとってまだまだわかりにくいものがございます。田園文化圏という県政の理念が県民の生活に具体的にどのようにかかわってくるのか、県民の最も注目するところであります。 県民の理解を深めるための具体的取り組みとしては、広報活動が大切であるということで、昨年広報誌の内容を県民が親しめるように全面的に刷新されたり、田園文化に関するパンフレットを作成されるなど努力されております。しかし、県民の理解を得るためには、その理念の実現のための具体的な施策に取り組み、具体的にその成果を県民に示していくことが何よりも肝要であります。 緑を初めとする景観対策については、目に見えてその成果があらわれつつありますが、例えば、折からのリゾートブームに乗ってゴルフ場の建設が県下で数十カ所計画されているとか、特に阿蘇地区においてはさまざまな開発が計画されており、知事の崇高な理念とは裏腹に、まさに乱開発の心配なきにしもあらずの状況であります。 また、地下水対策、美しい川の再生、緑の三倍増計画と快適な生活環境の整備を政策目標に挙げておられますが、実際の行政の現場を見てみますと、いまだに川の三方をコンクリートで覆ってしまい、まるで用水路といった整備をしているところがあります。これでは魚や小動物が住めるどころか、堤防に草花や木も植えられないありさまで、住民が親しめる川とはほど遠いものになっております。 今さらという見方もあろうかと思いますが、こういう現実もあるということを踏まえて、知事が進められている田園文化圏の創造の意図するところは何なのか、改めてより具体的に御説明をいただきたいと思うのであります。 次に、田園文化圏の創造実現の目安としての一〇〇のターゲットについてお尋ねいたします。 知事は、魅力ある田園文化圏の創造を実現するために「熊本・明日へのシナリオ」を策定され、さらに、それを着実に実行していく具体的な目標として一〇〇のターゲットを作成されておられます。 先ごろ、その一〇〇のターゲット見直し作業を行われ、改定の結果を公表されたわけでございますが、内容を拝見しますと、農業にしろ快適な生活環境の整備にしろ、その内容がより具体的に整理され、よりわかりやすくなってまいりました。また、農産物の自由化対策など時代の変化に対応した改定がなされております。さらに、県南地域の振興を初めとして各地域の発展策を明確に打ち出されていることについては、県土の均衡ある発展に対する取り組みへの姿勢を明確に打ち出されたものとして高く評価をするものであります。 一〇〇のターゲットは、県がどのような施策に取り組み、それがどのくらい進展しているかを明確に県民に示したものでありますが、先ほど申しましたように、行政の施策というものは、直接的にはわかりにくい、知る機会が少ないといったことから県民にはなかなか理解しにくいものであります。 県政の目指す田園文化圏の創造を県民が真に理解するためにも、それが現在どのように実現しつつあるのか。先ごろ改定された一〇〇のターゲットに照らして、知事の御答弁をいただきたいと思うのであります。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 緑豊かな環境のもとで創造的な活動が営まれるそのような県土づくりを実現していく、そのような理念を県民各位に御理解をいただきますためには、県政のあらゆる施策を、そういう理念に照らして吟味、実行し、具体的な形として県民にお示しをするということが大変重要であると思っております。そこで、緑の三倍増計画でありますとか、あるいは景観条例でありますとか、あるいはまた屋外広告物条例でありますとか、文化振興の条例でありますとか、そうしたものを通じまして、特に県民各位が求めておられる生活環境の整備に努めているところでございます。 御指摘の河川の整備につきましても、できる限り親水性に富んだものにするように意を用いているところでございますし、あるいはまた地域開発につきましても、恵まれた自然環境を壊すことなく、自然と調和したものにするようにできる限り努めているわけでございます。 まだ不十分なものばかりでございますが、各事業がこういう考え方に沿って進められますように、今後ともできる限り目配りをしてまいりたいと思っております。 それから、一〇〇のターゲット見直しの結果につきましては、さきに公表したところでございますが、事業ごとにばらつきがございますものの、全体としておおむね着実に進展をしているのではないかと受けとめております。 ターゲット全体の進捗度につきましては、事業ごとに性格などの違いがございますし、平均値を出すことについてはなじまないと思っておりますが、あえて単純平均をいたしますと、十点満点で四ないし五点というところではなかろうかと思っております。 また、今回の見直しでは、田園文化圏の創造のため、特に基幹産業である農業を初めとする一次産業、あるいは熊本をアメニティーの先進県とするためのいろいろな施策、あるいはまた県土の均衡ある振興のための施策などを中心に見直しをいたしたところでございます。 ターゲットは、県政全般の施策にわたって、その一つ一つの施策が田園文化圏の創造を目指したものでございますし、御指摘のとおり、県民にわかりやすくお示しをする必要があると思っております。 見直しの結果につきましては、パンフレットを作成いたしますとともに、今回は、これまでの成果や今後の対応を盛り込みました冊子も作成をいたしまして県民にお示しをする予定にいたしておりますが、今後も折に触れて点検をいたしながらターゲットを推進をしてまいるつもりでございますので、引き続き県民各位の御理解、御協力をお願い申し上げる次第でございます。  〔吉本賢児君登壇〕 ◆(吉本賢児君) 理想はより高く掲げなければなりませんが、それを的確に実行させるためには、その趣旨や意図するところがより適切に具体的に県民に理解されなければなりません。知事の意図する田園文化圏の創造の施策は、本県の生活文化地域開発、産業振興、教育にどれだけの効果を生み出したかについては後世の判断にゆだねるといたしましても、今の熊本にとって、二十世紀に活動する私どもが二十一世紀に送る大きな遺産としてなし遂げなければならない重要な課題であります。百八十万県民がより深く県政を理解することによって、十点満点の事業実施を十一点にも十二点にも引き上げることが可能になってくるのではなかろうかと思うのであります。 わかりやすい行政、親しみやすい県政の実現をさせるため、今後ともに格段の御配慮をお願いし、質問を進めてまいりたいと思います。 続いて、市町村への権限の移譲等に関してお尋ねいたします。 竹下内閣は、「ふるさと創生」をその政策目標に掲げておりますが、柱の一つとして、国と地方との関係見直し、すなわち、国から地方への権限移譲、財源の再配分の問題を打ち出しました。昨年末には、政府から臨時行政改革審議会、いわゆる新行革審に対しまして、国と地方との関係についての検討が要請され、審議会では、新たに国と地方の関係等に関する小委員会を設け、瀬島龍三委員長のもとで精力的な作業が進められているとのことでございます。 かつてないほどの政府の取り組みはそれなりに評価すべきであると思います。新行革審では、今年末には何らかの結論を出すとのことのようでございますが、地方としてはその結果につきまして大いに期待をしたいものだと思っております。 ところで、近年の地方分権の要求の高まりというものは、正直申し上げまして我々としても少々驚かされております。戦後、地方自治制度が確立されてから四十年経過しますが、恐らくこれだけの盛り上がりは初めてのことだと思われます。これまでも地方自治体は国に対しまして幾度となく地方分権を主張してまいりました。しかし、そのたびに地方に権限や財源を渡したところで何ができるものか式の理屈で一方的に退けられてまいりました。今回は、自治体のみならず、経済界、文化人、学者、マスコミなどでほぼ一致した主張になっており、私どもとしても大変意を強くしているところであります。 そして、この全国的な地方分権の高まりをつくるのに大きな役割を果たしてこられたのが本県の細川知事であることは皆さん御承知のとおりであります。東京一極集中を助長するかのような国の四全総、第四次全国総合開発計画を、いち早く批判されたのがもう二年以上も前でありますが、それ以来、知事は、国の経済審議会を初め機会あるごとに東京一極集中を批判し、地方分権の必要性を強く主張されてまいりました。 ふるさと創生の竹下内閣が登場するに至りまして、知事の意図されるところがかなり浸透してきたという感じがしております。地方分権に対する中央省庁の壁はまだまだ相当厚いように聞いておりますが、知事には全国三千三百余の自治体の先頭に立って、引き続き地方分権の実現に向けまして尽力されるようお願いをしたいと思うのであります。 ところで、このような働きをされている知事にお願いしたいことがございます。それは、地方自治の原点として住民に直接行政サービスを行っている市町村の権限や財源を強化していただきたいということでございます。 地域住民にとりまして、やはり市町村は一番身近な行政でございます。そして地元住民の要求を一番理解しているのも地元の市町村役場だという気がしております。今回の地方分権論議で、国と地方の関係といった場合の地方というのが、県なのか市町村なのかがはっきりしませんが、どうも市町村の話は余り出てきていないように思われます。 確かに地方分権の受け皿として市町村の規模が心もとない気もしております。市を除いた八十七町村の財政規模の平均は約二十五億円程度にすぎません。職員数もいわゆる一般行政部門で見れば百人にも満たないものであります。このような規模の小さい町村に対しまして、いきなり多くの事務を委任するのは現実的には難しいかもしれません。しかし、少なくとも地方自治地方分権をいう場合には、基本的な受け皿は市町村であるべきで、そういう受け皿になるよう市町村に力をつけさせていくというのも県行政の重要な役割であると思っておるのであります。 私の昨年の二月議会の質問に対し、知事は「市町村が住民に最も近い基礎的な団体であるということにかんがみ」「地域に密着した事務はできるだけ市町村へ移譲することが望ましい」と御答弁をいただきました。私は、地方分権を積極的に主張される知事としては、率先して県の権限を市町村へ移譲されたらどうかと考えております。 そこでお尋ねしたい第一点は、県から市町村への権限移譲について、その後どのようなことを検討してきたかをお聞かせいただきたいと思います。 第二点は、財源の問題で、やはり市町村に十分な財源がなければなかなか市町村もいい仕事ができないわけであります。 現在大きな話題になっておりますが、政府は、ふるさと創生の目玉事業の一つとして、一律一億円交付金制度を実施しました。一部にはばらまきだというような批判もあるようでありますが、それでもこの制度には、これまでには見られない二つのよい点があると思われます。 一つは、補助金と違って基本的には使い道が自由で、いわゆるひもつきではないことであります。もう一つは、一律一億円というのは財政規模の小さい団体ほどよりたくさんもらう計算になり、実質的に財源が傾斜配分されているということであります。 財政規模の大きい自治体には何でもない額かもしれませんが、少なくとも年間の予算が二十数億円程度の町村にとっては大きな金額であります。何に使ってよいかわからず困っているという自治体の話もあるようですが、日ごろからいろいろな取り組みを自主的に行っている市町村では、逆にこういう金は幾らあってもよい、一回だけで終わるのは残念だという声も聞きます。 実は先般、当議会の厚生常任委員会が四国の香川県の寒川町の浄化槽の普及事業について視察をいたしました。寒川町は人口六千人、世帯数も千七百戸の農村であります。 御承知のように、香川県は大変降雨量が少ないところで、農業用水は少ない川の水で、また、飲料水は地下水で賄っております。最近その農業用水が家庭からの生活排水で汚染されてきまして、地下水も水位が年々低下傾向を示し、水質の汚染も危ぶまれるようになっております。言うなれば、寒川町にとっては水問題が町の最も重要な課題であるというわけであります。 町当局では、下水道事業なり農業集落排水事業も検討しましたが、予算規模が年間二十億にも満たない寒川町では、五十年かけても完全に整備することができないことが判明しました。そこで町当局は、下水道の整備にかえて、町のほぼ全戸にし尿と生活雑排水を同時に処理する合併処理浄化槽などを設置することにしたのであります。設置費用のうち一部は住民が負担しますが、ほとんどは町の負担で、また、驚くべきことに浄化槽の管理も町の費用と責任で行うということでございます。 合併浄化槽の設置費用については昭和六十二年度から国の補助制度ができましたが、この厚生省の制度は、実はこの寒川町をモデルとして始められたものと伺ってまいりました。下水道をやめて浄化槽で対応するという施策はどこの自治体でも実施できるものではありませんが、農村地域でしかも小さい規模の町だからこそできるすばらしい施策だと見てまいりました。 この町の悩みの一つがやはり財源問題でございます。乏しい財源の中からこの経費を捻出するのは大変だと思われますが、起債を起こそうにも制度的に認められない、何か助成制度はないものか、融資制度がないものかと頭を抱えておられました。 この寒川町を視察して考えましたことは、市町村にも十分知恵はある、知恵があるどころか地域に密着した非常にすばらしい施策を行う能力があるということでございます。そして、その知恵を現実のものとしていくためには、やはり財源の手当てが必要だということでございます。 そこでお尋ねしたいのは、市町村がみずから行う地域活性化事業を援助するための財源的支援のあり方について知事はどういうお考えをお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思うのでございます。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) まず、県から市町村への権限移譲についてのお尋ねでございますが、本県ではこれまで既に十三の法律や条例に基づく八十二件の事務を市町村に委任をしてきております。また、昭和五十四年度から五十七年度にかけて全許認可関係の事務を洗い、十九項目につきまして市町村側の意向を聴取するなど、権限移譲の可能性について検討してまいりましたが、今日ほどの分権化の高まりがなかったことなどもございまして、結果としてほとんど実施に移すことなく今日に至っているという経緯がございます。 昨年二月議会でお答えをいたしましたように、地域に密着した事務はできるだけ市町村に移譲することが望ましいと考えておりますが、権限移譲につきましては、移譲を受ける側の意向が成果への重要な要素でございますので、率直なところ余り市町村から歓迎をされないということもございますので、今後市町村の分権化への一層の高まりを期待をしているところでございます。 市町村への権限移譲は、基本的には県、市町村ともに住民サイドに立って発想し、検討すべきものでございますし、現在その考えに沿って、どのような事務が移譲の対象となり得るか、過去の検討の経緯なども踏まえながら、事務的に検討を加えているところでございますが、今後できるものにつきましてはできるだけ速やかに移譲できるように取り進めてまいりたいと思っております。 また、県から市町村への財源的支援のあり方についてのお尋ねでございますが、財源配分の問題は、基本的には国と自治体の関係の問題でございまして、県が市町村に対して包括的な財源援助を行うということはなかなか難しいわけでございますが、個別的には、今議会でも御提案を申し上げているように、例えば日本一づくり運動に関する助成措置の充実でありますとか、あるいは市町村振興資金貸付事業の拡充でありますとか、単県公共事業の負担金の率の軽減など、市町村財政への積極的な支援を行っているところでございます。 市町村の活性化なくして県土全体の活性化はあり得ないわけで、市町村事業につきましても県としてできるだけの支援を行ってまいりたいと思っております。 いずれにいたしましても、地方自治体の権能を強化してまいりますためには、基本的には、国から県、市町村への権限の移譲、財源の配分が重要でございますので、私としては新行革審での審議の行方を見守りながら、今後とも主張すべきは主張してまいりたいと思っております。  〔吉本賢児君登壇〕 ◆(吉本賢児君) 権限の移譲に関する問題については、よく検討を加えられ、適切な対応を講じていただきたいと思うのであります。一つの権限を市町村に移譲する場合、その自治体の持つ能力によって、A町には移譲できるがB町には無理だからだめだというわけにはまいりませんので、この問題の難しいところであろうかと思います。今後とも市町村の指導を強化されまして、今日社会的ムードでもあります地方分権の実を上げられんことをお願いいたしまして次に移りたいと思います。 次に、国営矢部地区農地開発事業についてお尋ねいたします。 この事業は、昭和四十二年十一月、矢部、清和の両町村長、議会がメンバーとなり、緑川上流総合開発対策協議会が発足し、耕地面積も狭く、零細農家の経営規模を拡大し、農業所得の向上と過疎化を防止し、地域活性化を促進するため計画されたものであります。 当初計画では、昭和四十八年十月から六年計画で、総事業費四十九億四千万円、受益農家は二百七十八戸、事業総面積は六百九十一ヘクタールとなっております。ところが、着工後オイルショックと重なり、急激な物価高に見舞われたことなどの理由により、当初六カ年計画が大幅におくれ、十六年目に完成いたしました。 その間、五十七年には計画の見直しを進め、ダム建設の予定を渓流取水とするなど検討がなされましたが、当初の総事業費四十九億四千万円が百二十五億円となり、当初計画の二・五倍となりました。中でも幹線・支線道路の事業費は約六十億円にも達し、総事業費の五〇%弱になっております。 当事業費は、負担率が異なる区画整理事業が百二十七ヘクタール含まれているため、最終的には、負担率は国が七一・八%、県が一二・七%、受益農家が一五・五%となっております。農家の負担金の支払いは、テラス面積十アール当たり年五万四千円とはね上がっております。一戸当たり一・五ヘクタールから二・五ヘクタールでありますから、年七十万から八十万円、面積の広いところでは百万円を超えるというありさまでございます。 地元土地改良区のアンケート調査によりますと、農家の八七%が支払い不能とし、十アール当たりの純収益は年三万円以下が五四%で最も多く、十アール当たり年一、二万円ぐらいであればどうにか支払い可能としております。中でも七・五%に相当する二十八ヘクタールには、現在でも何も植えられないいわゆる未植栽地があり、当然収益はゼロであります。 こうした中で、受益農家の陳情を受けた矢部町及び同町議会は、去る六十二年の三月議会において、利息を含めて三億六千五百万円の補助金と一部幹線道路の町道編入を決定しております。これ以上は一切補助等はしない旨の附帯決議も同時になされておるわけであります。地元矢部町、矢部町議会は、乏しい町財政の中より、負担金軽減のためこうした対策を講じておられるわけでございます。 一方、県では、昭和五十四年度から六十三年度まで後進地域特例法により、本来であれば一二・五%の負担でありますが、その中より一〇%を負担し、その差二・五%、金額にして約二億五千万円を同事業から切り離した形となり、既に当時は計画の変更等が検討されていた時期でもありました。矢部町の対応とは随分対照的であると言わざるを得ません。 当事業の償還計画は、現在据置期間も含めて十五年となっておりますが、今国会において、この計画償還制度の拡充、改善を図る法令も成立するやに伺っております。計画償還制度の見直しも含めて、県はこの開発事業の結末をどうつけるお考えでおられるのか、農政部長の御見解をお聞きしたいのであります。  〔農政部長木村剛勝君登壇〕 ◎農政部長(木村剛勝君) 矢部地区の受益者負担金の軽減についてのお尋ねでございますが、六十三年十二月の県議会で中島議員の質問にお答えいたしましたとおり、県といたしましては、かねてから国に対しまして負担の軽減を強く要望し、努力してきたところでございます。 このたび、国におきまして国営土地改良事業負担金計画償還制度が改正される見込みでございまして、その内容は、国営事業の受益者負担軽減措置といたしまして、償還期間の現行十五年を、二十五年の範囲内での延長と年償還額の軽減を対象としたものでございます。 この償還制度が改正、決定され、内容が明らかになりました場合は、県といたしましても矢部町及び矢部開パ地区土地改良区と協議をいたしながら、この制度に沿って円滑な償還がなされるよう努力いたしますとともに、農家所得の向上を図る上で大切な営農指導につきましてもあわせて努力してまいりたいと存じます。  〔吉本賢児君登壇〕 ◆(吉本賢児君) 県の置かれている立場は十分理解できるわけでございますが、現状でははっきり言って償還のめどは立ちません。聞くところによりますと、第一納入義務者は県となっており、受益者農家が払わないのではなくて払えないということであれば強制執行もできないわけで、県は払いっ放しとなりかねないわけでございます。そのことを十分お考えの上、国への要望等は言うに及ばず県独自としてもなお一層の御検討をお願いしておきたいと思います。 次に、公共用水域の水質保全対策についてお尋ねいたしたいと思います。 冒頭にも申しましたように、県は新しい田園文化圏の創造という理念のもとに快適環境の保全に努めておられますが、快適環境、すなわちアメニティーについて考えるとき、美しい川や海は欠くことのできない重要な構成要素であります。私たちの郷土・熊本にもまだ美しい川や青い海があり、豊かな自然が数多く残っております。 しかしながら、昔の川はもっと私たちの身近にありました。魚を釣ったり、水遊びをしたり、野菜を洗ったり、洗濯をしたり、川は人々の生活の場であり、農耕のための貴重な水路でありました。ところが、現在は川に親しむ機会も少なくなり、川に対する愛情も薄れ、水のありがたさや大切さをややもすれば忘れがちになっております。 加えて、生活様式の多様化あるいは都市化の進展に伴い、中小河川等における水質の汚濁は年を追ってその度合いを高めております。工場等の産業系排水は、水質汚濁防止法等の取り締まり規制により改善されてきておりますが、下水道未整備地区では、台所、ふろ、洗濯等の生活雑排水のほとんどが未処理のままで排出されており、これが河川の汚濁原因の七〇%以上を占めていると聞いております。 知事は、去る二月二十八日発表されました「一〇〇のターゲット見放し」その中に、「公共用水域の水質保全」として県内公共用水域の水質汚濁防止の諸対策を挙げられておりますが、これらのターゲットを達成するためには、関係事業の推進はもとより、県民の水質保全に対する啓発あるいは家庭における具体的排水対策等を推進することが必要であると思われます。 中でも下水道は、公共用水域の水質保全のみならず、雨水等の自然水の排除、トイレの水洗化、周辺環境の改善とその役割は広範囲にわたり、健康で快適な環境実現の重要施設としてその整備が待たれているところであります。 県内の下水道事業は、県の流域下水道を初め二十五市町において実施され、昭和六十二年度末の普及率は約二三%で、全国平均三九%に大きく水をあけられている状況であります。 公共下水道未着手市町村数は、六十三年度現在七十三市町村を数え、これら未着手市町村の下水道事業化が肝要でありますが、幸いに県では、これらの未着手市町村を主たる対象として、下水道の整備を図る方策として、下水道整備構想エリアマップを策定中とのことと聞き及んでおります。 事業実施市町の事業費の拡大はもちろんでありますが、未着手市町村の事業化を早急に進めることは、水質保全対策を展開する上で緊急な課題であります。農村集落においても、非農家の増加、混住化等により、都市化、都市的生活様式の急速な普及等が進むに伴って、農業用水の水質汚濁が進行し、農村地域においても下水道整備が不可欠となっております。 そこで、水質保全対策について関係部長にお尋ねしたいのであります。 河川等の水質保全のためには、生活排水対策の推進が最も重要であろうと考えるところでありますが、県の水質保全推進体制の整備状況及び合併処理浄化漕の普及促進について、まず公害部長の所見をお尋ねしたいと思います。 次に、下水道の整備促進と下水道整備構想エリアマップ、すなわち、下水道マップの策定状況について土木部長にお願いいたしたいと思います。 続いて、農村集落において実施している農業集落排水事業の整備状況については農政部長の所見をお願いいたしたいと思います。  〔公害部長佐藤幸一君登壇〕 ◎公害部長(佐藤幸一君) まず、水質保全推進体制の整備及び合併処理浄化槽の普及促進についてのお尋ねでございますが、河川等の公共用水域の水質汚濁の現状につきましては、先生お話しのとおりでございまして、家庭から未処理で排出されます生活排水が主要な原因となっております。 そこで、河川等の水質浄化につきましては、特に生活排水対策をこれからの環境問題の重要な施策の一つと位置づけまして、昨年四月に「熊本県生活排水対策推進要綱」を施行したところでございます。その後、庁内に関係部局によります連絡会議を設置いたしまして、公害部が主体となって生活排水対策を進めているところでございます。 なお、新年度からは、市町村それから住民の方々とも協力いたしまして、既に実施しております、各保健所が主体となっておりますが、地方公害行政連絡会議を通じまして生活排水対策をなお一層推進したいと考えております。 また、生活排水対策を推進するためには、公共下水道の整備を促進するとともに、その計画区域外におきましては合併処理浄化槽の普及を図ることが重要と考えております。 そこで、合併処理浄化槽が、し尿と生活雑排水とを同時に処理する下水道並みの処理能力を有するものであることを広く県民の皆様に普及啓発するといたしまして、設置者に対しましては、新たに低利の融資制度、これは三・五%でございますが、設けまして普及を図ることといたしております。 さらに、生活排水対策は、台所を預かります県民の皆様の、特に奥様方の理解と協力が必要でございます。そこで、台所から汚濁物質を出さないための工夫あるいは洗剤等の適正な使用等、家庭におきます具体的実践活動を推進するための生活排水対策のボランティアリーダーを育成したいと考えております。 いずれにいたしましても、生活排水対策を推進していくためには、県民の皆様の環境保全に対します配慮と実践活動が必要でございますので、県民の皆様が実践しやすいような施策を今後講じてまいりたいと思っております。  〔土木部長小野満司君登壇〕 ◎土木部長(小野満司君) 下水道の整備についてお答えいたします。 県内の下水道事業は、お話にありましたように、県の流域下水道を初めといたしまして約四分の一に当たります二十五市町で実施されておりまして、このうち施設が使用されているのは熊本市ほか八市六町で、昭和六十二年度末現在の県人口に対する普及率は約二三%と低い状況でございます。 下水道の整備促進を図っていくためには、実施市町の事業拡大はもとより、実施に至っていない市町村についてもあらかじめ下水道整備対象区域を把握いたしまして、長期的な視野に立って計画的、効率的に進めていく必要があると考えております。 そこで、県では、主としてこのような市町村を対象といたしまして、市町村と共同で下水道整備構想エリアマップ、いわゆる下水道マップを昭和六十一年度から作成しておりまして、昭和六十三年度までに球磨川、緑川及び八代海水域に関係した六十二市町村について作成いたしました。平成元年度には残り三十六市町村について作成を完了することといたしております。 下水道マップを作成することによる効果といたしましては、一つには、下水道の将来の必要量が把握できること、二つには、公共下水道、農業集落排水、合併浄化槽等各事業を含めた総合的な計画が策定できること、三つには、未着手市町村への下水道に対する啓発ができることなどが見込まれておりまして、最終的には、未着手市町村の下水道事業に対する理解が深まり、事業着手に向けての促進効果が出るものと期待しております。 今後事業予算の確保など多くの課題を抱えておりますけれども、下水道マップを整備指針として、市町村に対する啓発と指導をさらに強化し、下水道の普及促進に努めてまいりたいと考えております。  〔農政部長木村剛勝君登壇〕 ◎農政部長(木村剛勝君) 農業集落排水事業の整備状況についてお答えいたします。 農村地域につきましても生活雑排水によります農業用水の汚濁が進んでいることはお話のとおりでありまして、農業用水の水質改善、生活環境の整備のため、市町村営で農業集落排水事業が実施されています。 本事業は、昭和五十八年度から国におきまして本格的に単独事業化され、土地基盤整備が充実した地域におきまして積極的に進められてきているところでございます。本県におきましても五十九年度から事業を実施してきているところでありますが、その実施状況は、完了一地区、実施中一地区、平成元年度着工予定一地区とまだ緒についたばかりでございます。 六十三年度に県下の要望を取りまとめてみましたところ、三十五市町村から八十五地区と多くの実施要望がありました。したがって、事業の推進を図りますため、関係市町村によります事業推進協議会も六十三年度に設置したところでございます。 本事業は、農業用水の水質保全、施設の機能維持、農村の生活環境の改善、快適な定住条件の確保に欠かせないものでございますので、要望のあった地区につきましては、土地基盤整備の進捗状況を考慮しつつ、市町村と協議の上積極的に推進してまいりたいと存じます。  〔吉本賢児君登壇〕 ◆(吉本賢児君) 公共下水道は土木部、合併浄化槽は衛生部、農業集落排水は農政部と言われるように、縦割りの行政では今後いろんな問題が生じるのではないかと思われます。下水道、合併槽、農業排水、この三つを合わせたエリアマップを作成し、土木、衛生、農政の各部が横割りになって一緒になってプロジェクトを組み、水質保全、浄化対策に当たるべきではなかろうかと思うのであります。 また、現在の県の補助率では、財源の乏しい市町村では十分な対応ができないのではないかと思われますので、県のなお一層の助成をお願いいたしたいと思います。  〔議長退席、副議長着席〕 次に、地域づくり施策についてお尋ねいたしたいと思います。 地域の活性化を図るために企業誘致が大変有効な手段であることは改めて申し上げるまでもありません。企業の誘致は、直接的な効果だけでも、新たな雇用の場をつくり、地元への受注機会の増加による地場企業の活性化、また、関連地場企業への新規高度技術の移転等ももたらすものであります。 昭和四十年以降に誘致された企業は、六十三年三月末現在で、現在操業中のものだけでも二百四十三社、従業員数が三万四千人で、県下全従業員数の三〇・七%、また、出荷額に至っては九千三百億円で五一・三%と既に県下全出荷額の半数を超えているわけであります。しかしながら、企業誘致はただ数をふやせばいいというものではありません。企業誘致の効果を最大に生かすためには、企業誘致が県土の均衡ある発展と活力ある地域づくりにまで結びつくことが必要であろうと思います。 例えば、御承知のとおり、御船町と嘉島町にまたがる北甘木台地上の約四十二ヘクタールにサントリー株式会社が進出することになったわけでありますが、現在御船町と嘉島町の両町では、サントリー操業開始に向けて、工場の建設を核として、豊かな水と緑を生かした活力と潤いのある地域づくり構想を進められ、また、県でもそれに御助力を計画しておられるようにお聞きしております。 このように、それぞれの地域が、その地域の特性と歴史や伝統を生かして、例えば農業と工業の並進とか、観光を核としたまちづくりとか、文化の薫り高いまちづくりとか、活力ある地域づくりをするためにはどのような企業を誘致するのがいいのかを十分検討し、また、県は県土の均衡ある発展を図るという観点からも十分バックアップをしていただきたいと思うのであります。 熊本の首都圏からの距離的条件などを勘案すればなかなか難しい面もありましょうが、幸い我が国の景気の動向もここしばらくは順調に推移するだろうと予測されており、企業の地方への展開意欲も旺盛であります。また、国でもふるさと創生事業を積極的に展開されておられますので今が絶好の機会だと思いますが、こうした企業誘致による地域づくりについて商工観光労働部長のお考えをお尋ねしたいのであります。 次に、ただいまも申し上げましたサントリー株式会社の進出については、現在県で鋭意用地の購入に努力をしておられるところでありますが、サントリーは、大体いつごろ工場建設に着手され、いつごろから操業を開始される予定なのか。また、昨年七月の進出協定のときには、豊富な水と緑を生かした公園工場を建設したいということでありましたが、その具体的な事業計画が既に策定されていればお教えいただきたいと思います。 例えば、建設予定地の近くには野鳥の森や浮島等の湧水がありますが、これらとサントリーのバードサンクチュアリー構想とを連携してもらえば、モデル的な緑の公園工場と相まって、今後の熊本における工場立地の際のまさに好例になると思うのであります。 ちなみに、サントリービール工場の中では最も新しい群馬県千代田町の利根川工場では、昭和五十七年に二十四万平方メートルの工業団地に上物だけで三百五十億円前後という最新鋭の工場を建設されたが、この税収だけで町の税収の五分の一を占め、貴重な自主財源になったことはもちろんのこと、さらに、進出から二、三年の間に隣町を含めて瓶をつくるガラス工場や製缶工場、ラベルや段ボールの印刷工場ができ、それに伴うサービス業も張りついたと聞いております。 また、毎年地元との交流を深めるために開かれるビール祭りには町内外から二万五千人が集まり、同町最大のイベントになっており、さらに、このほかに工場見学者が年間二、三万人訪れ、それまでは何もなかった同町の貴重な観光資源になっているということであります。 本県では、現在新しい田園文化圏の創造を目指して、活力と潤いのある地域づくりを進めておられるところで、農業と工業、観光を含めたソフト産業がバランスよく整った御船町、嘉島町並びにその周辺町村の魅力ある地域づくりに御助力をお願いしたいと思いますが、このサントリーの工場建設の時期並びに事業計画はどうなっているのか、商工観光労働部長にお答え願いたいと思います。  〔商工観光労働部長森弘昭君登壇〕 ◎商工観光労働部長(森弘昭君) 企業誘致が活力ある地域づくりにつながるように、地域の状況等に応じたきめの細かい誘致対策を図るべきではないかというお尋ねでございますけど、御指摘のとおりでございまして、企業誘致の最終的な目的は、地域に新たな雇用の場を創出し、下請企業並びに関連企業への受注増と、新規技術あるいは高度技術の移転等を通じて地場企業の活性化を図り、ひいては所得水準の向上や経済規模の拡大により県土の均衡ある発展を図ることでございます。 県といたしましては、これまでも過疎地域や農工地域への企業誘致や地域の状況等に応じて、一般製造業だけでなく、リゾート関連産業あるいはソフトウエア業や研究所の誘致を図るなどの誘致活動を行ってきたところでございます。 また最近では、お話にもありましたように企業の地方への進出意欲が旺盛でございまして、誘致に当たっては各県との競争も強まっている現状にございます。このため、今議会におきましても、企業立地関連基盤整備事業補助金の対象地域の拡充や新規雇用力の大きい大規模投資企業に対する補助限度額の引き上げ、あるいは企業立地促進のための資金融資の対象者の条件緩和並びに対象地域の拡充や利率の引き下げ等について御審議をお願いしているところでございます。 いずれにいたしましても、今後さらに市町村とも十分連携をとりながら、企業誘致が県土の活力と均衡ある発展に役立つよう取り組んでまいりたいと思っております。 次に、サントリー株式会社の工場建設の日程と事業計画についてのお尋ねでございますが、まず工場建設の日程につきましては、用地造成完了後関係官庁への諸手続を行い、現在のビール業界の需給状況からいたしますと、平成二年中に工場の建設に着手し、平成四年中には竣工、操業の予定であると伺っておるところでございます。 また、事業計画につきましては、関係官庁への諸手続の関係でまだ詳細に策定されてはおりませんが、進出協定の際の計画によりますと、約四十二ヘクタール程度の用地に縦四百メートル、横七百メートル程度の長方形の工場を核といたしまして、基本的には、群馬県のサントリー利根川工場と同様の、最終的には二十万キロリットル程度の生産能力を持つ最新鋭のビール工場を建設したいということでございます。また投資額は、利根川工場の例からいたしますと三百億円程度ではないかと思っております。 いずれにいたしましても、建設予定地は県下でも有数のわき水や多くの河川など水と緑に囲まれたすばらしいところでございまして、空港や高速道路インターチェンジ並びに熊本市の中心部までの距離的条件からいたしまして、これまでのビール工場をはるかに上回る見学者が予想されるところでございます。 会社といたしましても、恵まれた自然環境を十分に生かした技術と緑の公園工場として建設し、見学者につきましても積極的に受け入れることができるよう、施設面あるいは運営面で工夫していきたいということでございます。 県といたしましても、サントリーのビール工場建設が観光振興や地域文化の振興を含めまして地域発展の核となるよう大いに期待いたしておるところでございまして、基盤整備や地域振興計画につきましても、地元町と十分連携をとって進めてまいりたいと思っているところでございます。  〔吉本賢児君登壇〕 ◆(吉本賢児君) 企業誘致に関する県の熱意と大きな成果に深く敬意を表したいと思います。とりわけサントリーの進出は、御船町、嘉島町両町にとってはまさに地域振興のカンフル剤であります。担当部課の御苦労もこれから大変だろうと思いますが、一日も早い操業開始を待つ地元のために格段の御尽力をお願いいたしたいと思います。 続きまして、地熱開発の現状と今後の見通しについて、公営企業管理者並びに企画開発部長にお尋ねいたしたいと思います。 地熱発電所の建設については、従来から地元の北里先生初め二、三の方々が質問をされておりますが、本県初の地熱発電所建設の早期実現を願う県民の一人として、また、現在まで長きにわたって地熱発電調査に積極的に協力してこられた地元小国町の方々のお気持ちを酌みながら質問を進めてまいりたいと思います。 申すまでもありませんが、地熱開発を取り巻く環境は、円高・原油安の経済情勢、大企業における自家発電の普及等に伴う電力需要の伸び悩み等から厳しい状況にあります。反面、これまで代替エネルギーの主役とされていた原子力についても、ソ連のチェルノブイリ原発事故等を契機として原子力発電所の建設が難しくなってきているやに聞いております。また、現在発電の主力である火力発電につきましても、燃料である石油や石炭等はそのほとんどを外国からの輸入に頼っているわけで、国民生活に欠くことのできないエネルギー源をこのような状態のままにしておくことは極めて憂慮すべきことであります。 このようなことから、私は、火山国である我が国にとっては、自国の資源を活用した地熱発電がナショナルセキュリティーの確保という観点からますます重要性が高まるものと思われるのであります。今こそ純国産エネルギーとして、あるいは燃料を全く使わないクリーンエネルギーとして、その開発は積極的かつ早急に取り組まなければならない課題であると考えているところでございます。 さて、本県では、御承知のとおり小国町の岳湯、はげの湯地区におきまして、昭和二十六年から県独自の調査として、四十年以降は通産省と熊本県の共同調査として、地熱発電所建設のための各種基礎調査、調査用井戸のボーリングと、その井戸による観測並びに熱水の有効利用調査とその実験が実施されてきたところであります。さらに、五十八年度後半から国の指導のもとに、当地区において電源開発株式会社が地熱発電調査を開始し、現在まで十六本の調査用井戸のボーリングを行い、開発推定規模としては二万キロワットの発電が可能であるとの目安を得たと聞いております。 とりわけ、既に掘った調査用井戸の中で、GH―十号井、GH―十二号井及び最近掘り上げたGH―十二号井は、その性能がよく、蒸気量、熱水量ともに豊富で、三本の井戸とも発電所の蒸気井戸として活用が期待できるものであるということであります。また、これらの三本を合わせると、開発推定規模二万キロワットに対し、その半分である一万キロワット分の蒸気量が確保できる見通しがついたと聞き及んでおり、私は発電所の建設に向け一歩前進したと思っております。 これまでの調査に対して県が投下された長い時間と大きな経費を考慮すると、せっかくのことだから県独自で発電所の建設に取り組むことができたらと思うのでありますが、しかしながら、具体的に発電所の建設に取り組むにはさらに多額の建設費を要し、また、十分な調査がなされたとはいえ地下深いところのことであり、まだ相当のリスクを伴うわけであります。 そこで、この地熱発電所の建設について、民間活力導入による第三セクター方式の開発体制について検討する必要がありはしないかと思うのであります。公営企業管理者は発電所建設についてどういう見解をお持ちなのか。これまでの調査の状況と、わかることなら開発規模、着工可能な時期等についてお聞かせいただきたいと思うのであります。 また、地熱の多目的有効利用について企画開発部長にお尋ねしたいと思いますが、このことについては、石油ショック以後のエネルギーの多様化を推進するために、あるいは特性を生かした地域の振興、活性化等を図るために、その多目的有効利用の開発に大きな期待が寄せられているところであります。したがって、地熱からは電力というようなこれまでの概念にとらわれることなく、その多目的有効利用についても開発を進めていく必要があると考えるのであります。 県及び町等においては、熱水を、地元の老人憩いの家のふろ、ウナギ、テラピアの養殖、桑苗生産施設での桑苗の芽出し、あるいはガラスハウスの中でのわせミカンの試作試験等に利用しておられると聞いております。また、先日の新聞、テレビによると、地熱を活用した室内人工スキー場建設構想実現に向けての人工造雪実験が成功したということでありますが、地元の方々はもとより私どもとしても地熱の多目的有効利用については大きな期待を寄せているところであります。 執行部では、このことについてどう考えておられるのか、企画開発部長にお尋ねいたしたいのであります。  〔公営企業管理者道越温君登壇〕 ◎公営企業管理者(道越温君) 地熱発電所建設のこれまでの調査の状況と今後の見通しについてお答えいたします。 まず、調査の状況についてでございますが、昭和二十六年から着手をいたしまして開発可能な地域の絞り込みを行ったところでございます。その結果、小国町の岳湯、はげの湯地区におきまして有望な地域の絞り込みができたわけでございますが、昭和四十年以降は、この地域におきまして本県と国が共同して地熱発電所建設の可能性を探る各種基礎調査を実施したところでございます。 その後、昭和五十三年になりまして、国におきましては大規模深部地熱開発調査を行うこととなりまして、この地域がその対象地域として選定されたわけでございますが、この調査が成功すれば大変大規模な地熱開発、二十万から三十万キロワットと言われておりますが、そういったことが可能になるものでございまして、その成果を期待したわけでございますが、結果的には、当地域にはそういった地下の深いところでは地熱開発の可能性が極めて薄いということが明らかになったわけでございます。 そこで、国とも協議をいたしまして方針を変更しまして、もうちょっと浅いところ、まあ千メートルから二千メートルぐらいのところでございますけれども、そういったところにおける可能性の調査を行うことにいたしまして、昭和五十八年に、お話がありましたように、電源開発株式会社に調査をお願いし、今日に至っているわけでございます。 電源開発におきましては、これまで十六本の井戸を掘りましたけれども、そのうちお話のありました三本の井戸は大変口径も大きいわけでございまして、そのまま発電に使用できるような規模のものでございますが、この調査データから見ますと、既に一万キロワットの発電が可能な蒸気の量が確保できる見通しがついたというふうに考えております。 そこで、今後の見通しについてでございますが、ただいまお話がありましたとおり、地熱発電の可能性が一歩前進したというふうに受けとめております。ただ、地熱発電所建設にはかなりのリスクを伴うものでございますので、できるだけ調査の精度を高める必要がございます。そのため、平成元年度におきましては、さらに三点にわたって調査をいたしたいと考えております。 一つには、長期にわたって継続的かつ安定的に蒸気の確保ができるか、いわゆる連続噴気テストを行うことにいたしております。 二つには、現時点では発電規模を一応二万キロワット程度と考えておりますけれども、これをさらに三万キロワット程度に引き上げることができないかどうかということについて調査、検討をいたしたいと考えております。 それから三つには、大変大量の蒸気、熱水が出てくるわけでございますが、これをいかにして地下に還元するか、還元用の井戸を掘りまして還元テストを行いたいというふうに考えているわけでございます。 以上のような調査の結果を踏まえながら、お話がありましたように電力需要が伸び悩んでいるといったような大変厳しい環境下ではございますけれども、今後地元、電源開発、国などとも協議いたしまして、開発規模とか、それから着工時期などの建設のスケジュール、それから開発主体などにつきましてできるだけ早くめどがつきますように今後努力してまいりたいと考えておりますので、今後ともよろしく御支援のほどをお願い申し上げておきます。  〔企画開発部長五味廣文君登壇〕 ◎企画開発部長(五味廣文君) 地熱の多目的有効利用開発につきましては、御指摘をいただきましたように、国のエネルギー多様化政策の推進ですとか地域特性を生かした地域振興などのために、県としても率先してその開発に努めていかなければならないと考えております。そのため、県及び地元小国町などにおきましては、企業局の調査井を使いまして、御質問にありましたような地熱を多目的に有効利用するためのさまざまな事業を行っておるところでございます。 造雪実験のお話がございましたが、県では昭和六十二年度に新たに地熱の有効利用開発促進調査というものを実施しまして、地熱を活用した室内人工スキー場を核とする山岳大規模リゾート構想及び大型冷蔵庫建設による地熱の農林業への活用を主に検討いたしました。昭和六十三年度、今年度は、この調査を一歩進めるために、国の補助事業を導入いたしまして、地熱から冷熱源を造成するシステムを構築いたしまして室内における造雪実験を実施いたしました。 お話にありましたように、このたびの実験において、摂氏マイナス二十五度という冷熱、それから人工雪の造成に成功したところでございます。来年度も引き続き人工造雪実験を実施することとしております。あわせて、室内スキー場を核とする山岳大規模リゾート開発可能性につきまして総合的な調査を実施したいと考え、本議会にそのための予算案を御提出しております。 また、小国町におきましても、この冷熱源造成システムの農林業への活用につきまして検討を進めておられます。そのための大型冷蔵庫の建設に既に着手したところでございます。 地熱の有効利用開発につきましては、現時点ではその利用に関して採算性その他課題がございますが、今後これらについて段階的に開発調査を進めまして、貴重な国産エネルギー資源の一つであります地熱の多目的有効利用に努めてまいりたいと考えております。  〔吉本賢児君登壇〕 ◆(吉本賢児君) 先日熊日の紙上で、電源開発による涌蓋山ろくの地熱の噴気試験が非席にいい結果である旨の報道がなされ、私どもも大変意を強くしているところでございます。また、地熱利用についても大規模リゾートの建設開発構想があると伺い、大きな期待をいたしております。今後ともなお一層の御努力をお願いいたしたいと思います。 次に、道路整備について土木部長にお尋ねいたします。 道路の持っております性格は、例えば地域住民と密着した形での日常生活道路であるとか、農産物や工業製品を満載した運搬車等が頻繁に往来する産業用的な性格を帯びた道路であるとか、あるいは観光地に通じる道路であれば性格上観光道路としての位置づけがなされるわけであります。中でも道路政策等の理想的な姿としての第二空港線は、熊本市内と空港を結ぶアクセス道路そのものであるといえましょう。道路体系の理想像といたしましては、それぞれの道路が目的に従って利用されるのが一番望ましいと考えますが、車が全国で五千万台を突破している現状におきましては、道路行政もなかなかままならぬ事態が次々に生じておるのが現状であると思います。 地元のことで大変恐縮でございますが、御船町の道路状況は、熊本市中心部と御船町から矢部町に通じる国道四百四十五号が大動脈の役割を果たし、主要地方道の大津甲佐線が南北に補完している状態であります。また、日常生活道路の色合いの強い県道田代御船線が、御船地区と上野・田代地区を結ぶ唯一の幹線道路となっております。 その田代地区は、御船町人口の約半数が生活しており、その沿線には、木倉、古閑迫、古閑原、茶屋ノ本等の集落も点在し、その間に、中学校一、小学校二、保育所二と文教施設があり、通学路ともなっているにもかかわらず、歩道の長さは三百メートル程度で、朝夕の登下校時には子供たちが車を避けて田や水路に落ちんばかりに小さくなって歩いている姿が目につき、父兄及び住民から、田代御船線の道路拡幅と歩道の設置を再三にわたり町及び県に陳情されたと聞いておりますが、何ら進展は見られません。 この田代御船線のうち六キロメートルの間にカーブが大小七十カ所と、曲がりくねった急勾配の道路であり、その幅員は五メートルにも満たないところが大部分で、大変狭く、ラッシュ時には離合ができず渋滞を繰り返している現状であります。また、吉無田高原とも連結しており、近年のレジャーブームにより、春のワラビ狩りや夏のキャンプ等で、土曜、日曜ともなりますと、多いときには一日四、五千人という人出で交通混雑が生じ、昭和六十年度に御船町は吉無田高原の駐車場を新たに設置したほどであります。 また、木倉地区、古閑原地区は、熊本市内にも近いことから最近宅地化が進んでおり、今後の改良工事にも支障が出てくるのではないかと地域住民は憂慮するとともに、子供たちが事故に遭ってからでは遅いということで、沿線住民とその地権者とを含めた期成会づくりが進められております。 また、西木倉地区では、沿線に家が密集している現状での拡幅は困難であるとし、その北側にバイパス建設をも含めて土地区画型の事業で圃場整備計画を進め、それによって道路用地を確保すべく住民の会合が持たれております。 そこで、県では、この道路の整備について今後どのように取り組まれる考えなのか、土木部長の所信をお尋ねしたいと思います。  〔土木部長小野満司君登壇〕
    ◎土木部長(小野満司君) 一般県道田代御船線の整備についてお答えいたします。 この路線は、御船町田代を起点とし、同町木倉の主要地方道大津甲佐線との交差点を終点とする約十キロメートルの道路でございます。現在、御船町古閑原地内で広域農道整備事業が行われておりまして、本年度は本路線との交差部分の事業が実施されております。 隣接地の茶屋ノ本地内には、七滝中学校、上野小学校、上野保育園があり、朝夕は児童生徒等の通学路として利用されていることから、当面広域農道と交差する付近から学校側に向けて本年度より改良に取りかかっておりまして、現在測量、設計を終えて関係者と協議を行っているところでございます。また、古閑原地内から古閑迫地内にかけましては今後調査を行いたいと考えております。 次に、西木倉地内の整備につきましては、圃場整備事業と同時施行したらどうかとの提案でございますが、当該地域には主要地方道大津甲佐線があり、この道路の整備計画とも調整する必要がございまして、今後町及び関係機関と十分調整を行ってまいりたいと考えております。  〔吉本賢児君登壇〕 ◆(吉本賢児君) モータリゼーション社会の発達とともに道路の果たす役割は大きく、産業、経済、文化、福祉に至るまでその盛衰のかぎを握っているところであります。県土の均衡ある発展をうたった県政の進め方からしても、この田代御船線の整備については特に細心の御配慮をお願いしたいと考えているものであります。 なお、道路行政についてはまだまだ申し上げたいことがありますが、時間も参りましたので、次回に譲りたいと思います。 知事初め執行部の皆さん方には、私のなれない質問に対しまして懇切丁寧に御答弁をいただき感謝を申し上げます。また、議員各位におかれましては長時間にわたって御清聴いただき、本当にありがとうございました。これをもって質問を終わります。(拍手) ○副議長(古閑三博君) 昼食のため午後一時まで休憩いたします。  午前十一時三十一分休憩      ―――――――○―――――――  午後一時三分開議 ○議長(米原賢士君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 柴田徳義君。  〔柴田徳義君登壇〕(拍手) ◆(柴田徳義君) 日本社会党の柴田です。大分議場が寂しくなりましたが、私の方はひとつ気合いを入れてやりたいと思います。通告の順に従って質問をいたしますので、ひとつ執行部の明快な答弁を期待いたします。 最初に、予算に対する消費税の転嫁についてでございます。 知事は、本議会に消費税を転嫁した新年度の予算案を提案していることは皆さん御存じのとおりでございます。これに対して我が党の酒井議員並びに公明党の今井議員、それに共産党の中島議員もそれぞれ消費税の矛盾や不当性を指摘し、予算案から外すよう求めました。しかし、知事はこれを拒否しました。私は、さらにその矛盾を指摘して、予算案から消費税の撤廃を強く求めたいと思います。 昨年末消費税が強行採決され、あと数日後の四月一日から施行されるというのに、毎日のように各新聞で問題点が指摘され、投書欄にも疑問点や不満を訴える投書や廃止、延期を求める投書が続いております。 私は九時ごろ家を出ますが、ちょうどそのころNHKのラジオで消費税に関する質疑が行われています。いろいろな方の質問が出されてきますが、一番多いのは、消費税を取られる方の消費者ではなくて取る方の小売店のようです。聞いていて、この消費税が売る方にも買う方にとっても大変迷惑なものだということを実感しております。余り関係のないと思われるサービス関係の業者にも複雑に関連することを教えられました。 多くの問題点の中から幾つか拾ってみたいと思いますが、これまでの質問との重複を避けたいと思いますが、幾らかの重複については御了承ください。 まず、法の施行後準備期間が極めて短いということです。参議院で強行採決されたのが十二月二十四日、法が施行されたのが十二月三十日。歴史上初めての改革、しかも複雑な内容を持っているものを、わずか三カ月の準備で強行することがこのこと自体大変に無理があるのです。 内容についてもいろいろな矛盾があります。例えば三%の四捨五入、そうなると鉄道運賃は区間ごとに誤差が生じてくるんです。医療費は非課税ですが、医療機器や薬品には課税されておる。免税店三千万円について考えてみましても、例えば、運輸省は個人タクシーに対して、同一地域同一料金の建前から料金値上げを指導しております。一方建設省は、収入三千万円以下の家主に対して、一律三%の家賃値上げは不当と指導を行って混乱しております。タクシーの場合もガソリン代や車の維持・修理費、アパートの場合も家屋の維持・補修費など、すべて消費税が含まれており、一層複雑になっております。 消費税の課税方式には外税方式と内税方式とありますが、内税方式の場合には、消費者にとっては消費税がどのように課税されておるのかわかりません。ですから、恐らく混乱が起こることは間違いありません。商店街の半分以上は免税業者と言われておりますが、これに対しては大手業者から三%の上乗せの圧力がかかっていると言われます。こうなるとここでも消費者との間に摩擦が起こるのは当然です。 このような混乱の中で、便乗値上げも当然起こります。知事は本議会の答弁の中で、物価モニターを三十七人から七十八人に倍増すると言っていますが、消費税の複雑な仕組みの中で摘発ができるかどうか。 大蔵省の試算でも、消費者が支払った消費税のうち、国庫まで届かない金額が五千億に上ると言われております。簡易課税適用業者は売上高の二〇%をマージンとみなし、その三%を消費税として納めることになっております。マージンが二〇%を超えるとその分は業者の懐の中に入るわけです。ちなみに、運輸・通信業のマージンは四三・五%、電気ガス・水道業は三〇%と言われております。 さらに政府は、消費税反対の声を抑えるために、このような内容を積極的に宣伝をしている節があります。便乗値上げそのものが複雑な要素の中で行われるのに、一方で、このような利便供与が行われるような状態の中で摘発ができるかどうか疑問です。 揺りかごから墓場までと言われるこの消費税の矛盾点や問題点は挙げれば切りがありませんが、既に指摘されておりますのでこれ以上述べませんが、地方自治体にとって許すことのできないのは、消費税が地方自治を侵害するということです。消費税を中心とした税制改革で、地方の財源が中央に吸い上げられ、財政の中央集権化がさらに進むわけです。 このことについては昨年の九月定例会でも指摘しましたが、あえて繰り返しますと、県の場合、料理飲食等消費税、娯楽施設利用税、たばこ消費税、不動産取得税が消費税との併課調整のため制限を受けます。市町村の場合、電気ガス税、木材引取税が消費税に吸収されて完全に中央に吸い上げられることになっております。住民税、法人税が減税されるが、それと抱き合わせの消費税は国に吸い上げられていきます。 これで県税収入が約百十億円、市町村税収入約百億円の減収、消費税による県の歳出増がざっと五十億円、これは国の収入になるわけです。もちろん減税分の穴埋めとして、消費税の二〇%が地方消費譲与税として、残り八〇%のうち二四%、すなわち一九・二%が交付税として自治体に交付されることになっておりますが、それでも本年度の県の歳入減は三十五億円、これは税の自然増収で賄えということです。自然増が少ない場合は地方が犠牲になれということになっております。 これに対して、知事は答弁で「地方財政の確立のためには、税源の偏在や窮乏地方自治体の財政の安定性ということを考えますと、譲与税や交付税方式であっても明確な方式によって財源が確保されるのであれば、」「やむを得ない」と言いながらも、一方では「地方分権を進めていく上では、第一義的には地方税によって財源が確保されることが望ましい」としております。 ちなみに新年度の予算案を見ますと、収入の中で自主財源の構成比は三二・四%、三割自治と言われて久しいのですが、それでも六十年度は三六%、その後また減り始めて、六十一年度三四・六%、六十二年度三四・二%、六十三年度三三・三%、本年度は消費税強行のため三二・四%に下がりました。今後税率が引き上げられることになると、さらに自主財源の構成比が下がり、中央集権化が進みます。 知事は、ここで、日ごろ一極集中の排除と地方分権を強く主張している立場から、さらには消費税に反対する大多数の県民の代表として、当初予算に消費税転嫁を見送ってもらいたい。そのことで政府の反省を求めることができると思いますが、いかがですか。 知事は、今井議員の代表質問に対し、県民の皆さんにはこれから理解を求めていく旨の答弁を行っていますが、理解を求めるなら転嫁する前です。転嫁してからではそれは押しつけです。 もちろん消費税の制度が変更されない限り、不転嫁をずっと続けることは行政としては不可能でしょう。しかし、全国には不転嫁で政府に抵抗している自治体が多くあることも御存じのとおりです。知事がここで腹を決めたら、県内商工団体はもちろん大多数の県民が万歳を叫ぶものと思います。知事の決断を求めます。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 消費税問題につきましては、今議会でも質問にたびたびお答えをしておりますとおり、全国の大多数の道府県と同様に、法の趣旨にのっとって原則転嫁の方針で臨むべきものと考えております。 今後とも県民各位に消費税の負担の転嫁についての御理解が得られるように、国税当局の種々の取り組みにあわせまして、県としても適切な対応を講じてまいるつもりでございます。 今回の税制改革は減税超過型であって、また、消費税の導入で地方の自主財源である県税収入の減をもたらしたことは事実でございます。このことは、地方分権を進める上から、第一義的には地方税収入で財源が確保されるべきだという観点からは、前から申し上げておりますとおりいろいろと議論のあるところでございます。 ただ、税源の偏在是正を行うため、また、窮乏地方自治体の財政安定を図るという観点から、地方税と同様の一般財源である地方譲与税あるいは地方交付税として枠を拡充し配分されるという限りにおきましては、財源の均てん化が進むわけでありますし、新年度の地方財政計画で、地方一般財源が戦後の制度発足以米最高の六七・八%になっていることなどを考えますと、それなりに地方自治の強化につながる側面があるのも事実でございます。 いずれにしろ、国と地方との税源配分のあり方、地方間の税源均てん化の問題には今後に残されている課題も多いわけで、新行革審の場での今後の論議に大いに注目をしてまいりたいと思っております。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) これ以上いろいろ要望しても知事の答弁は変わらないと思います。この件に関する限り知事の考え方は県民の要望とかけ離れているということを指摘したいと思うんです。 たまたまきのうの熊日の夕刊の「ハイ こちら編集局」ですか、これに出ておりました。ちょっと読ませてもらいます。  うーばんぎゃーな消費税のやり方  消費税のことですが、あぎゃん、うーばんぎゃーなやり方はなかですバイ。品物によって税がかかったり、かからなかったり、納税方法にしてもバラバラで、全体に理念が感じられまっせんな。それと思うのが、零細な年金受給者に対する配慮のなさ。年間百五十万円ぐらいで細々と生活しているものにとって、長い目でみると今回の消費税は確実な負担増ですよ。パーティーやら、何やらでお金ば集めらるっ人とは、私ら違いますモン。導入まで二十日もありまっせんが、大混乱は目に見えとっですな。熊本市内の七十歳の男の方です。 これが、やはり老人の声ですけれども、老人を初めとする一般県民の声ではないかと思うんです。 先ほども触れましたように、知事がどれだけ抵抗しても、この税制がある限り永久に上乗せをしないということはできないと思います。しかし、今度一回これを外してそして政府に反省を求める、それが県民の声を代表する知事のあり方だと思うんですが、その点ぜひひとつ考えていただきたいと思います。 次に、この問題についての県の市町村に対する指導についてお尋ねします。 先日、我が党の議員団に対して複数の市町村から、県の市町村に対する消費税導入についての指導の中で、消費税の三%を予算に転嫁しない市町村に対しては財政的なペナルティーを科すという指導がなされている、おかしいではないかという指摘がありました。そこで地方課に事実を確かめましたが、地方課では、ペナルティーを科すなどとは言っていない、市町村が勘違いをしているのではないかと、こういう回答だったんです。直接ある町の議員が地方課に電話して聞いたんですが、国、県が指導しているように、三%の上乗せをしないと市町村に対する補助金に影響があると、こういう旨の答弁があっておりました。 市町村に消費税の転嫁の指導をする際に、そのようなことが言われていることは事実なんです。もちろんいろいろな面で、市町村が国と違った財政の支出をやる場合に、富裕県あるいは富裕地方と見られて幾らか相対的に補助金などに影響があるかもしれませんけれども、例えばこの消費税について、消費税をそのとおりしないと影響がありますよなんていうことを言える立場じゃないと思うんです。 こういう間違った指導で地方は非常に困っているんです。できることならば今度は見送りたいと思った市町村でも、この県の指導で見送ることができなかったという話も聞いております。この辺のところは一体どうなっておるのか、お答え願いたいと思います。  〔総務部長佐藤達三君登壇〕 ◎総務部長(佐藤達三君) 消費税に関しまして市町村に対する指導についてでございますけれども、たびたび本議会でも知事から申し上げておりますとおり、消費税は、物品・サービスの消費に広く薄く公平に負担を求めるものでございまして、国、地方公共団体といえども消費税の納税義務者の立場もございます。また、地方公共団体は今回の税制改革の円滑な推進に資するための環境の整備に配慮しなきゃならないということも法律上されているところでございます。 これらのことを踏まえまして、本県といたしましては、国の指導あるいは国の統一見解等に沿いまして、適正な法の運用を行うべきであると市町村に対して指導しているところでございます。 今お話がありましたように、本県の指導過程において、御指摘のようなやりとりの云々の事柄につきましては、現在平成元年四月一日実施を目途に粛々と指導をしているところでございますので、やらなかった場合がどうのこうのと、そういうことをやりとりすることはないと考えております。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) 市町村に対する指導で、明らかに影響があるという指導がなされているのは間違いありません。この辺についてひとつぜひ――特に補助金については非常に敏感に対応する市町村に、こうした、結果的には説明する方は軽い気持ちで言ったかもしれませんけれども、聞く方は非常に重く感じるんです。こういうひとつ指導は今後ぜひ慎んでもらいたいと、こういうふうに思います。 次に、交通事故の現状と防止対策について警察本部長にお尋ねいたします。 県内の昨年一年間の交通事故は一万百四十件、六年連続して一万件を超えております。そのうち死亡者は百七十三人、これも過去十年間で最悪の記録となっております。 その詳しい内容については、県警交通部で、道路、時間帯、運転者の年齢、職業などさまざまな角度から分析した結果が、去る二月十三日の熊日の夕刊に発表されております。大変御苦労なさったと思いますが、その中で、最も悲惨な死亡事故についてその数を挙げてみますと、死亡者は百七十三名、前年度に比べて三十七名、約二日に一人の死亡となっております。これは九州各県に比べると、十万人当たりの数では佐賀に次いで二位、前年対比では一位となっております。なお参考に、全国比では十万人当たりの数は二十三位、車両一万台当たりでは二十七位、免許人口一万人当たりでは二十三位となっております。 事故の傾向を見てみますと、昼夜別では、夜間が九十九人で五七・二%、昼間の事故が七十四人で四二・八%、道路の形では、交差点及びその付近が六十二名、カーブの死亡者四十五名、合わせて六五・九%。道路別では国道六十九人で約四〇%。状態別では、歩行者五十三人、自転車等十三人で合わせて三八・二%、四輪車乗車中が六十四人で三七%、そのうちベルト着用なしが四十一人。年齢別では、若者四十二人、六十歳以上六十人、六十五歳以上四十八人。第一当事者の年齢別件数は、若者による事故四十八件、うち酒酔い六件、速度違反十六件。三十歳から五十九歳まで七十二件、うち三十代三十三件、高齢者による事故十六件、うち六十五歳以上十二件。原因違反別死者は、最高速度違反が三十六人、酒酔い運転二十三人。曜日別死者、週末・祭日が五十五人、月曜日三十人、木曜日二十九人となっております。 なお参考に、本年一月一日から一昨日の三月十三日までの事故数は、件数千六百六十三、死者二十九、負傷者二千六十八人。昨年同期に比べ、事故の数では六十五件の減、死者は十人減、負傷者は八人とわずかにふえていますが、件数、死者ともに減少しております。この事故のうち、若者による事故十件、女性ドライバー五件、夜間の事故十六件、酒酔い五件、車の中の死亡者十六人中、ベルトなしが十二人、うち六人は着用しておったら助かったということです。 以上、県警の資料から拾いましたが、死亡事故の形態や原因が多様で警察の取り締まりも大変だろうと思います。それに、どれだけ取り締まっても取り締まるだけでは事故はなくならない、それが現実です。 特に事故の原因を見ると、現状では、ドライバーの運転マナーや歩行者の交通マナーの教育指導を徹底させることがさらに必要だと考えられます。もちろん道路事情が事故に大きく影響していることは否めないことですが、これは土木のサイドで十分御検討を願うとして、ドライバー教育をどうするかということです。 現在、定期的な法令講習や免許更新時の講習、違反者に対する再教育、幼児や小学生などへの指導など随分御苦労願っておりますが、それでも事故はふえていきます。 これ以上は警察の能力や守備範囲を超えることになると思いますが、最も苦労し実態を一番よく把握しておられる立場から、幅広い事故防止の対策について警察本部長の見解をお聞きしたいと思います。  〔警察本部長清島傳生君登壇〕 ◎警察本部長(清島傳生君) 現在の交通環境につきまして、参考までに二十年前と比較いたしますと、車の保有台数が二・六倍、免許人口が二倍、道路延長も一五%増となっているのに対しまして、交通死亡事故だけとってみますと一七%の減ということで、交通事故防止のための関係機関並びに県民各層の関係者の努力が功を奏していることは間違いないと思います。しかし、御指摘のとおり、最近においても全国で年間一万人、県下でも百七十三人もの死亡者が出ているということはやはり異常な事態と言わざるを得ず、私どもはもとより関係者のなお一層の努力を要すると考えます。 昨年発生した死亡事故の特徴を見ますと、飲酒運転や著しい速度超過によるものが死亡事故全体の三〇%以上にも及んでいるのを初め統計上表面に出ないものを含めますと、スピード違反絡みの事故が全体の半数以上を占めておること、また、お話にありましたように、自動車乗車中の死者のうち、シートベルトを着用していない者が六〇%を超えていることなどが挙げられ、また、最近の死亡事例を見ましても、酒酔い運転による自爆事故あるいはフルスピードで反対車線を走行して対向車と激突するといった、どうにもやり切れない事故が後を絶たない現状にあります。 さらに、県内の方々や現場警察官の話として、交通信号を守らないドライバーや歩行者、横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいるのにそのまま突っ走る車が大変多いということを耳にいたしますし、現実に車同士の譲り合いがない場面も多く見られます。 このように、事故統計、事故の内容、県民の方々や現場警察官の意見あるいは印象等々を総合しますと、交通事故の直接的な原因は、確かに道路利用者の交通法規無視、ルール無視でありますが、基本的には、これを含めた交通マナーの欠如にあるということは御指摘のとおりだと思います。 警察では、交通マナーの高揚に関して、各種運転者講習を初め交通教室の開催、マスコミ等を通じた交通安全広報、各季の交通安全運動等の推進に努めてまいりましたが、今後はこれらの施策とともに、各種講習会などに参加しない傾向が強い青少年ドライバー、これの把握と彼らに対する教育の浸透、高齢者家庭における主婦など家族の方々に対する働きかけ等々に力を入れてまいりたいと考えております。 しかしながら、交通マナーは、これを突き詰めますと、結局は社会人としてのマナーの問題であります。したがって、交通マナー向上のための指導教育も、一つには、自他の、自分と他人の生命を尊重する人間、二つには、社会の一員として、自己の欲求、感情、情緒というものをコントロールして、他人の立場に立って行動できる人間の育成を目指して、幼児から高齢者に至るまでの生涯教育として社会全体で推進していくべきものと考えます。 今後、さらに関係機関、団体との連携を密にして、幼稚園、学校、家庭、職場、地域等において、それぞれの立場で自主的なマナーアップのための取り組みが行われるように働きかけを強化していきたいと考えております。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) 御苦労ですけれども、ひとつ警察としても十分の対策をお願いいたしたいと思います。と同時に、今本部長から指摘のありました人間教育の問題、教育委員会としてもぜひひとつこの点力を入れていただきたい。 人権尊重、それが交通事故を防ぐ大きな一つの要因になると思うんです。人間を大事にする、命を大事にする、そういう教育の徹底方をひとつぜひお願いすると同時に、さらに、やはり今直接には触れられませんでしたが、道路事情が大きく関連することも事実でございます。ひとつ土木部を中心に危険箇所の整備を初め道路の改善にもぜひ意を尽くしてもらいたいと、そのことを要望して次の質問に移らせてもらいます。 次は、障害者の雇用促進でございます。 労働省が毎年六月一日に障害者の雇用状況調査を実施していることは御存じのとおりです。この調査の結果を受けて私は毎年のように本会議でこの問題を取り上げてきました。 特に、昨年度からは障害者の雇用に関する法律が改正され、これまで雇用を義務づけられた身体障害者にあわせて精神障害者も含められることになりました。それに伴って雇用率も一般民間企業一・六%、特殊法人一・九%、国、地方公共団体の非現業的機関二%、現業的機関一・九%とそれぞれ〇・一%ずつ引き上げられました。このことは、まだまだ不十分ではありますが、精神薄弱者にとっては一歩前進であり、関係者はその成果を期待しているところであります。 ところで、昨年六月一日の調査では、精神薄弱者を含めた県内企業の雇用率は一・五八%で、法定雇用率に〇・〇二%の不足、このうち身体障害者の雇用率は一・四八%で一昨年の一・五%から昨年〇・〇一%、ことしはさらに〇・〇一%の減少となっております。まことに残念なことです。 特に、雇用率未達成企業が三七・四%で、調査対象企業四百四十六社のうち百六十七社、この企業がそれぞれ一人ずつの採用をすると雇用率は一気に一・七五%となり、法定雇用率を悠々突破するということになるわけです。 企業規模別の雇用状況では、千人以上の企業の達成率が最低で一・三三%、該当する十二の企業がそれぞれ三人ずつふやすと雇用率を達成することができます。千人以上の企業で三人雇用というのは、その気になれば簡単にできることではないでしょうか。 執行部は、職業安定課を中心に努力をしておられると思いますが、何が障害になっているのか、その障害を除去して雇用率を達成するためにはどのような対策を考えておられるか、お聞かせください。 次に、県並びに市町村の機関ではそれぞれ昨年よりわずかずつ伸びていますが、県の非現業部門では、法定雇用率に対しわずか〇・〇七%のプラスとなっております。そこで、私は前回も知事に要望しましたが、県が思い切って障害者の雇用をふやしていただきたいと思います。そのことで企業の雇用促進に拍車をかけることができるのではないでしょうか。県がまず障害者雇用率日本一を実現する、そうなったら企業の雇用も飛躍的に前進すると思います。 さらに、これまで何度も要請してきましたが、この際ぜひ障害者の枠外採用の制度を実現してほしいと思います。 昭和六十一年度の労働省の調査によりますと、枠外採用を行っている都府県の数は二十に上っております。紹介しますと、茨城、栃木、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、長野、静岡、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、広島、山口、香川、福岡、岩手以上二十都府県、その後二年間にもっとふえているのではないかと察せられます。 知事は、前回の私の質問に対し、いろいろ問題はあろうかと思うが今後検討する旨の答弁を行っております。その検討の結果をお尋ねいたします。  〔商工観光労働部長森弘昭君登壇〕 ◎商工観光労働部長(森弘昭君) 障害者の雇用促進につきましては、御承知のとおり、改正された障害者の雇用の促進等に関する法律の施行にあわせまして、本年度から法定雇用率が〇・一%引き上げられ、民間企業では一・六%となったところでございますが、昨年六月一日に実施いたしました雇用状況調査によりますと、御指摘のとおり、本県では民間企業の実雇用率が一・五八%、雇用率未達成企業の割合が三七・四%となっているところでございます。 この主な原因でございますが、一つには、雇用されている障害者数は増加していますものの、一般の雇用労働者数もそれ以上増加したために、雇用率としては改善が見られなかったこと、二つには、雇用吸収力が拡大傾向にございます卸小売・サービス業等の第三次産業での障害者の雇用が進まなかったこと、三つには、企業において障害者雇用に積極的に取り組む機運は高まっていますものの、必ずしも十分でなく、現実の雇用にまで至っていない企業も少なからず見られること等が影響しているのではないかと考えておるところでございます。 このため、県といたしましては、毎年九月に実施いたします障害者雇用促進月間のキャンペーン行事等を通じまして、障害者雇用の意義につきましての啓発に努めるほか、雇用率未達成の企業の幹部に対し、集中的な指導を行うとともに、重点公共職業安定所に障害者カウンセラーを引き続き配置して障害者の職場適応を高めるなど、就職後の雇用の安定のための施策の充実を図ること等によりまして、雇用率の達成はもちろんでございますが、障害者の雇用の場がより確保されるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。  〔総務部長佐藤達三君登壇〕 ◎総務部長(佐藤達三君) 次に、県におきます雇用促進の関係でございますけれども、県における障害者の方の雇用促進につきましては、本県では職員採用に当たりましては、能力の実証が得られる限り障害者の方についても積極的に採用してきておりまして、新年度も採用を予定しているところでございます。 御質問の中にありましたような障害者の採用試験をいわゆる別枠で実施しているところがあることは承知はしております。ただ、これはあくまでも平等公開、機会均等を原則といたしております地方公務員法の例外的な措置でありまして、それぞれの県が置かれております社会的な背景やあるいは法定雇用率等を勘案して措置しているものと思っております。 本県のように、法定雇用率を満たしている中で、別枠の採用試験を実施することにつきましては慎重な対応が必要と考えておりますが、いずれにいたしましても、障害者の雇用につきましては、法の趣旨を十分尊重しながら今後とも努力してまいりたいと考えております。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) 国際障害者年十年も半ばを過ぎました。そのキャッチフレーズである「完全参加と平等」という言葉があります。ここで私は何回も引用しております。平等は理想です。どんなに努力しても障害者が平等になることはあり得ません。しかし、限りなく平等に近づける努力は、本人ももちろん、行政もあるいは一般国民も続けなければならないと思うんです。障害者対策は雇用の促進だけではございません。福祉面でもいろいろな問題がありますが、その一つとして、やはり障害者雇用の充実のためにもっともっとひとつ努力していただきたい。そのことを強く訴えて次の質問に移ります。 次は、水俣病対策についてでございます。 水俣病の第一号が発見されたのは昭和二十八年と言われております。もちろん当時は原因不明の奇病だったのですが、それから三十六年、水俣病がチッソの有機水銀汚染による公害として公式に認定されてから三十三年がたちました。しかし、今日なお水俣病の医学的病状は完全には解明されていないと言われております。さらに、被害の全体像やそれが及ぼした影響などについても実態の完全な把握はできていないのが実情です。 そしてこの間、水俣病の認定申請者の数は一万二千五百八十四人に上っています。そのうち認定患者は一千七百五十四人、棄却された者七千三百六十七人、保留されている者九百十人、未審査二千五百五十三人となっております。しかも、認定申請者は全国三十二都道府県にわたっているのです。せっかく認定されても死亡する人、認定を待たずに死亡する人もふえております。認定者の死亡七百五十五人、保留者、未審査の死亡者四百二十六人、待機中の保留者、未審査だけでも昨年六月から三十一人が亡くなっております。このような状況の中で、患者救済のための認定業務をめぐって混乱が続いているのは御存じのとおりです。 昭和四十六年に出されたいわゆる疑わしきは認定の次官通達が、昭和五十二年には同じ次官通達で覆され、判断条件が変更されました。県の認定審査に不満の患者が次々に訴訟を起こしています。現在係争中の裁判は、控訴審の三次訴訟の第一陣を初め二陣から十陣まで、さらに、県外では関西訴訟一陣から六陣、東京訴訟一陣から六十二陣、京都訴訟一陣から八陣、福岡訴訟一陣、二陣。このほかに、控訴審の取り消し訴訟、上告審の待ち料訴訟、合わせて原告数千七百四十一名、請求金額は三百二十六億四千七百九十八万円に上っております。なお、けさの新聞にも次の訴訟が行われているということが出ておりました。ますますふえていく一方です。 その中で、裁判で原告が勝利してもチッソ、国、県が控訴する、これではいつ終わるのか見当もつかない状況です。原告はすべて病弱者です。老齢者もたくさんいます。裁判終結まで生き残れるかどうかわからない人もいます。これは明らかに人権の問題ではないでしょうか。 さらに、裁判で認定された患者を認定審査会が棄却するという矛盾も生じています。この矛盾について、昨年二月議会の今井議員の質問に対する知事の答弁は全く意味不明でした。 なお、水俣病ではないと棄却した患者を特別医療制度で救済するということは、本人の救済にはなりましょうけれども、審査のあいまいさをみずから立証することになるのではないでしょうか。 このような状態の中で、今チッソ水俣工場の正門前では患者代表の座り込みが続けられています。昨年九月四日から既に半年を過ぎました。私どもも何とか早期解決をとチッソの現地責任者と会いました。水俣市長にもあっせんの要請をしました。チッソ側との話し合いの条件として、工場内での座り込みも撤去してもらいましたが、話し合いは全く進展しませんでした。 その後、国会議員の仲介などあったことも御存じのとおりですが、解決のめどは全くついておりません。病弱の皆さんをこのまま放置することもこれも人権問題ではないでしょうか。 ところで、水俣病問題の決着を急ぐ知事は、六十三年末の検診終了を目標に認定業務を進めてきましたが、仮に知事のいう認定業務は予定どおり進んだとしても、裁判や座り込みは続きます。このまま放置すればますます混迷を深めるのではないかと危惧するのは私だけではないと思いますが、知事はどのように認識しておられるのか。さらに、水俣病問題の根本的な解決のため、国への対応も含めてどのような考えを持っておられるか、お尋ねいたします。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 水俣病問題の根本的な解決のための対応についてのお尋ねでございますが、水俣病問題の基本的課題は認定業務の促進であると考えておりますし、その認定業務は特別な事情にある方々を除いてほぼ見通しが立ってきつつあるところで、今後さらに特別な事情にある方々の処分の促進に取り組んでまいりたいと考えております。 お話の中で、水俣病でないと棄却した患者を特別医療制度で救済するということは審査のあいまいさをみずから立証するものではないかという御意見でございますが、水俣病対策につきましては、救済すべき手だてはできる限り実施するという基本姿勢に立ちまして、水俣病でないとされた方々の中で原因不明の神経症状のある方については、その健康不安の軽減のため何らかの施策が必要ではないかと判断をし、特別医療事業の実施を国に強く働きかけて実現をしたものでございます。この事業の発足以来既に千二百余名の方々が適用を受けられておりまして、地域福祉的な救済制度として定着をしたものと考えております。 また、患者団体の座り込みにつきましては、昨年九月から今日まで続いておりまして、私も大変憂慮しているところでございますが、いずれにしても、やはり話し合いの場を通じて解決すべきものだと思っております。私も事情は十分承知しておりますし、要請があれば私なりの方法で話し合いが平穏に行われるように考えてみたいと思っております。 ともかく、水俣病問題につきましてはいろいろな経緯と長い歴史があるわけでありまして、大変複雑な問題が残っておりますが、何とか解決の糸口がないものか、いつも念頭にあるところでございます。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) 水俣病についていろいろ考え方の違いもございますが、例えば今の特別医療の場合でも、四十六年通達を忠実に守っておられればそういう人たちは水俣病患者として認定されたはずなんです。そういうことを考えると本当に残念でなりません。 ただ、知事も何とかしなければならない、しかし、なかなか問題は複雑だと言っておられますが、やっぱりその複雑な水俣病問題を何とか解決されるための一つの方式として、私どもは、昨年知事に対して、水俣病に関する特別立法の制定を国に要請するように申し入れました。昨年六月議会でも、我が党の中島議員が代表質問の中で、これに対する知事の考えをただしましたが、知事の直接の答弁は聞くことができませんでした。法案の趣旨については中島議員がその概略を申しましたが、基本的には次のようなことを考えております。  〔議長退席、副議長着席〕 まず、世界の公害の原点と言われる水俣病問題を完全に解決して、二十一世紀における人類生存の基盤をつくる。有機水銀による健康被害、環境破壊などの全体像及びそれが及ぼした各分野への影響などの実態を正しく把握して、加害企業、国、県の責任を明確にして、過去、現在、将来にわたって完全に償う施策をとらせる。全住民の現在、将来にわたっての健康不安に対する健康管理、有症者の治療、機能回復、社会復帰などの体制を完備させる。自然環境、社会環境などを常時科学的に監視するとともに、危険を除去し、環境の完全浄化と社会体制の整備を図る。水俣を中心に不知火海沿岸地域振興のため、国家規模のプロジェクト事業の実現を図ると同時に、チッソ水俣工場を充実強化させ、地域住民に対する責任を果たさせる。 以上のような基本的な考えに沿った事業を実現するためには特別立法が必要と考えますが、知事のお考えをお聞かせください。 なお、特別立法の実現を図るため、患者団体を中心に、近く国会請願の大行動も計画されていると聞いております。知事の英断を求めるものです。 続いて、チッソ水俣工場の雇用対策についてお尋ねいたします。 チッソ水俣工場の雇用の確保については、水俣・芦北地区の振興に重要な役割を果たすものとしてこれまで本議会でも再三にわたって取り上げられてきております。チッソに対してもそのことを要求してきましたが、特に千人の雇用体制をつくることが、チッソ県債発行の条件として論じられ、チッソも努力することを約束しておるのです。 ところが、雇用は、同居する熊本ファインを含めて十年前の五十四年度の九百九十九名が、六十一年度は七百三十六名、その後も減り続けて六十二年七百二十八名、六十三年度七百二十二名、そして平成元年度の補充採用を含めた予定数は六百九十三名、ついに七百名を割ることになっております。この数字を見て知事はどう考えられますか。 ところで、チッソ水俣工場の経営状況は、御存じのように急テンポで改善が図られております。五十四年度に黒字に転じた経常利益は、五十九年度から急激に増加して、五十八年度五億一千万円が、五十九年度は十七億七千万円、六十年度二十七億一千万円、六十一年度四十三億五千万円、六十二年度六十五億一千万円、そして今年度は九十億を上回るのではないかと予想されております。 このような好況の時期にこそ、チッソは、県議会を初め地元から強く求められている千名体制に向けて増員の努力をすべきではないですか。それを逆に年々減少させ、千名どころか来年度はついに七百名を割って六百九十三名という、議会や執行部、地元の要求を無視した、いや余りにもばかにした行為ではないでしょうか。これは許せません。 執行部は、これまでチッソに対してどのような指導を行ってきたのか、これからどのような指導をしていこうというのか、対策をお聞かせください。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 特別立法の必要性についてのお尋ねでございますが、水俣病問題解決のためにいろいろと御意見、御提案をいただきますことは大変ありがたく思っております。 ただ、実現できる案ということになりますと、あくまで県議会初め県民各位の御理解が得られるような現実的な施策でなければならないと考えますし、そのような観点から幅広く検討してまいりたいと思っております。 それから、チッソ水俣工場の雇用確保についてのお尋ねでございますが、県としても水俣工場の雇用確保は地域振興のためにも大変重要なことと考えているわけで、従来から機会あるごとにチッソに対しまして雇用の確保を促してきたところでございます。 水俣工場におきましては、昭和六十一年度にIC封止材製造分野に新規参入するために十億円の設備投資を行いますとともに、六十二年度には液晶などファインケミカル部門の拡充を図るための投資を行うなど、雇用の確保に対する努力はそれなりに見られるところでございますが、その新規事業の一部が伸び悩んでいることや、電気部門におきまして採算性を高めるために進めている発電所の無人化などの経営基盤強化策の影響などで、本年四月の水俣工場の従業員数は、熊本ファインを含めて六百九十三人と、前年と比べて二十九人の減となる見込みでございます。 チッソ水俣工場の従業員数がこのように減少しておりますことは非常に残念でございますが、最近の同社の経常利益の急速な伸びにもかかわらず、水俣病患者に対する補償金支払いを全うするため、累積赤字が毎年増大して一千百億円を超えていることを考えますと、チッソの経営基盤の強化を図るための努力もまた必要なところではないかというふうに思っております。 もちろんチッソが地域経済社会の安定に果たす役割はまことに重大でありますので、チッソがこれまで以上の事業の拡大を図ることによって、チッソ本体やその関連会社、協力会社などを含めた地域全体の雇用の確保を図って地域経済社会の安定に貢献するように、チッソに対しまして今後とも強力に要請をしてまいりたいと考えているところでございます。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) 法案の制定については、知事の言うとおり、地元のコンセンサス、さらには県民のコンセンサスを得るということはもちろん必要でございます。それを得るためのひとつ努力をまずぜひやってもらいたい。そして、一日も早くこういう法案ができて根本的な解決ができるように努力を強く要望したいと思います。 なお、チッソの雇用問題ですが、チッソの経常利益が九十億に達するという、そのうちの一億だけ人件費に割いてもらえば、年間三百万の若い人だったら三十人の雇用ができるんです。そうなると、ことし二十九名の減員だけは防げるんじゃないでしょうか。その分だけ何とか企業の拡張を図る、そういうことをやれば――その努力がなされなければならないと思うんです。 もちろん、いろいろ事業の内容について私どものわからない面がありますけれども、簡単に考えるとそういうことも可能だということなんです。そういう意味で、ひとつぜひ今後とも強く雇用努力がなされるように御努力を願いたいと思います。 次に、原子力発電所の事故対策についてお尋ねいたします。 私は、昨年九月定例会において、チェルノブイリの原子力発電所の事故の実情を挙げて、本県における事故対策をただしました。その際、佐賀県の玄海原発並びに鹿児島県の川内原発が本県に隣接しており、玄海―荒尾間は約百キロ、川内―水俣間は約五十キロ、熊本市までは約百三十キロないし百五十キロ。もし、川内か玄海で放射能を伴う事故が起こった場合どうなるか。通報体制、放射性沃素に対する予防薬の準備、避難計画及び川内、玄海両原子力発電所との安全協定の締結などについてただしましたが、総務部長の答弁は、我が国の原子力施設については、原子炉等規制法に基づき、事故の発生、拡大防止及び災害の防止について十分な安全対策を講じることとされており、周辺住民に放射線障害を及ぼすことのないよう、多重防護の考え方に沿って安全を確保することとなされている、原子力発電所の事故対策については、昭和五十五年六月三十日、原子力安全委員会において、原子力発電所等周辺の防災対策として指針が取りまとめられている、これによると、防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲は、原子力発電所を中心として半径八キロから十キロの周辺地域を目安とされており、玄海、川内両原子力発電所から相当離れている本県は指針の対象地域には含まれていない、通報体制及び避難対策については、昭和五十四年七月十二日の中央防災会議で定められた緊急時の連絡体制としては、事故の発生した原子力発電所は、国及び地元地方公共団体に通報し、国は、この事故が緊急時に係る事故か否かを判断した上で関係機関に通報することになっている、本県としては、万一放射能漏えいなどの事故が隣接県の原子力発電所において発生し、本県への影響が懸念される場合は、災害対策本部等を設置して、国の専門的な指示、指導を受けて、関係市町村と密接な連絡をとりながら、迅速かつ的確な情報の収集、伝達に努めるとともに、住民の避難対策等の安全措置を講ずる、医薬品の用意については、これも原子力安全委員会の指針に基づく対象地域外であるから沃素剤の整備などはしていない、川内、玄海両原子力発電所との安全協定についても、対象地域の範囲内にないのでこれは行わない、こういうことでした。 ところで、通産省資源エネルギー庁は、本年一月六日、日本で営業運転されている三十五基の原子力発電所の昨年の設備利用率を発表しました。それによると、五十八年以降伸び続けてきた利用率が前年の七九・四%から七〇・四%と急落をしております。定期検査に入る原発が多かったためですが、故障やトラブルの発生が検査を長引かせる例が目立っていると言われております。 そして本年二月三日、東京電力福島第二原発三号機で、再循環ポンプ内の回転軸を支える水中軸受けと羽根車が破損、軸受けの取りつけボルト八本のうち五本が外れ、四つの座金がなくなっていることが判明しました。東京電力は、一月一日、異常振動が起きたことを確認しながらそのまま運転を続け、五日後の一月六日にようやく原子炉を停止させ、点検を始めています。そして、福島県衛生部に報告があったのが二月三日なんです。しかも、同じ福島第二原発一号機も、昨年七月点検中に同じ再循環ポンプの軸受けにひび割れが見つかっているのに、三号機はそのまま運転を続けていたのです。 その後福島県に入った連絡によると、破損した羽根車の破片十個と金属粉が圧力容器底部で、十三個がジェットポンプ内で見つかり、炉の中の燃料集合体二十五本にも金属が付着していることがわかりました。さらに、軸受けを固定するための座金五個がなくなっており、うち三個は見つかったが、残り二個は破片が見つかっておりません。原発の炉心から金属片が大量に見つかったのは初めてで、そのまま運転を続ければ放射能漏れなど大事故につながる危険もあったと専門家は指摘しております。 原発は人間がつくったものです。そして運転にも人手が絡みます。だから、どんなに多重防護が施されても事故の危険はつきまといます。 先ほど述べました総務部長の答弁にも、万一放射能漏れなどの事故が「隣接県の原子力発電所で発生し、本県への影響が懸念される場合」とのことが述べられております。 ところが、万一川内原発で放射能漏れ事故が起こって本県に影響がある場合、それから災容対策本部を設置して、国の専門的な指導を受け、関係市町村と密接な連絡をとりながら、迅速かつ的確な情報の収集、伝達に努める、こんなことをしていて間に合いますか。 風が強ければ放射能はすぐ飛んでくるのです。日ごろの備えがなければだめです。万一の場合に備えて、通報体制の確立、予防薬の準備、住民の避難計画、九州電力との安全協定の締結など完全に実現すべきです。執行部の答弁を求めます。  〔総務部長佐藤達三君登壇〕 ◎総務部長(佐藤達三君) 原子力発電所の事故対策についてのお尋ねでございますけれども、我が国の原子力施設の安全規制につきましては、原子炉等規制法に基づきまして、原子炉の区分に応じて所管する大臣、原子力発電所の場合は通商産業大臣が安全審査を行い、その後、さらに原子力安全委員会が科学技術に基づいた客観的立場からの安全審査を行う、いわゆるダブルチェックの体制がとられているなど十分な安全対策を講ずることとされております。 しかし、これらの安全対策にかかわらず万一にも放射性物質が周辺に放出されるような事態が生じた場合の対応といたしましては、原子力安全委員会が技術的、専門的事項についてさまざまな角度から慎重な検討を行い、昭和五十五年六月三十日に取りまとめました「原子力発電所等周辺の防災対策について」を指針として防災対策を講ずることとされているところでございます。これによりますと、防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲は、原子力発電所を中心として半径八ないし十キロメートルの周辺地域であるとされております。 さらに、原子力安全委員会は、昭和六十一年四月のソ連・チェルノブイリ原子力発電所事故に関し調査、検討を行い、昭和六十二年五月に、我が国の原子力防災体制及び諸対策を基本的に変更すべき必要性は見出せないとの結論に達したと聞いております。 お尋ねの四点につきましては、いずれも昨年の九月議会にお答えしたところでございますが、ただいま質問の中に御丁寧にるる御紹介いただきましたので、その辺は割愛いたしますけれども、いずれにいたしましても、本県は防災対策を講ずる先ほどの対象地域には含まれておりません。 なお、原子力発電所立地県である佐賀、鹿児島県におきましても、全国的、統一的に示されているこの指針に基づいて防災対策が講じられているのは、原子力発電所周辺八ないし十キロメートルの地域であると聞いております。 また、御質問で触れられました福島県を初め全国の他の都道府県におきましても同様の対応と聞いております。 いずれにいたしましても、原子力問題は極めて高度な科学的、技術的問題で、基本的には全国的視点で国において考えられる性格のものであるかと思われますので、国の専門的、技術的な情示、指導を受けながら対処してまいりたいと考えております。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) 八キロないし十キロのところできちっと避難対策、予防薬その他の準備がなされていると。これはやっぱりまさかの事故があるときというんです。原発の事故に、八キロ、十キロで限られる、五十キロは大丈夫と、そういうことが考えられますか。 私は、ここで原発をやめさせなさいと言うんだったら、それはノーという返事が返ってくるのは当たり前です。私は、今ここで原発をやめなさいと言っているんではなくて、今ある原発がもしものときがあったら、それに備えて準備をしておきなさいと言っているんですね。ということは、結局、総務部長は、絶対に今の原発では熊本県の住民に危害を与えることはないと、そういうふうに断言できるかどうか、もう一遍ひとつはっきりしてください。  〔総務部長佐藤達三君登壇〕 ◎総務部長(佐藤達三君) たしか昨年の議会でもお答えいたしましたけれども、県民百八十万人の安全性の問題と同様に、全国一億二千万人の日本国民の安全の問題は共通でございます。 狭い日本の国土の中で現在三十五基が稼働しているようでございますけれども、この中で、日本国民の安全をどうやっていこうか、万一の事故の発生の場合にどうして対応していこうかと、そういう点をるる勘案いたしまして、先ほど申し上げましたとおり、万一の場合に備えて、日本の国民の原子力からの安全については、先ほど申し上げたような指針で対応していくというのが原子力安全委員会等初め政府で示された答申でございますし、また、全国都道府県それに沿った対応をいたしておるところでございます。 そういった意味で、この問題につきましては、今先生がおっしゃるように、八キロないし十キロでいいのか、あるいはもう少し広げるのか、あるいは日本国土全部にするのか、その辺の基準のあり方については、原子力安全委員会等いろんなところで検討した先ほどの指針の内容そのものについても高度な技術的な議論が必要だと思います。 私どもは、先ほども、また去年も申しましたとおり、現在の原子力安全委員会で定めました指針に沿って全国の都道府県と同様の対応をとってまいりたい、以上のように考えております。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) 事故対策というのはやり過ぎて悪いということはないんです。ぜひ県独自でもひとつ今後検討していただきたいと思うんです。そして、やはり最低限度の対策は立ててもらいたい。この対策を立てることが原子力発電所に対する何かこう反対運動を触発すると、そういうにおいがしてくるわけです。そういうこととは別に、やっぱり人間の、県民の命を大事にするという立場から考えると、やはりその辺のことはさらに検討を続けてほしい、そのことを要望して次に移ります。 次は、郡築農協の合併問題についてですが、このことについては一昨日我が党の鬼海議員が取り上げましたが、さらに執行部の指導のあり方等についてただしたいと思います。 郡築農協が合併の議決をめぐって紛糾し、組合長に対する総会のやり直し要求から、知事に対する取消申立書の提出、そして本日十日には、ついに総会決議効力停止等仮処分申請事件にまでエスカレートしております。 仮処分申請の理由によると、その主たる原因は、合併の決議が総会による採決でなく書面議決書によって行われたこと、そして書面議決書の回収に当たって、農協の幹部や職員による事実上の意思の拘束が行われたということになっているようです。回収に際して農協中央会が作成した「書面議決書回収についての留意事項」が配付され、その要綱に従って回収が行われたことも鬼海議員が指摘したとおりです。この留意事項によりますと、班編成、回収方法、回収結果の検討など詳細な指針が示されています。 その内容についてはあえて繰り返しませんが、例えば回収方法について、鬼海議員も指摘しましたけれども、第一ステップ、第二ステップ。「第一ステップ」は、「賛成の場合……そのまま回収する。」「反対・保留の場合……理解・協力を求め説得し、ダメなら再度訪問を告げ未回収」で帰ってくる。「第二ステップ」、「事前対策を講じ、上司とか」仲のよい人など「を再度訪問させる。」。 鬼海洋一議員はここまで指摘しましたけれども、このほかに「第三ステップ」というのが出ております。これは「再度訪問し、絶対反対なら強制的に回収する必要はない。」括弧して「反対票を取りすぎると三分の二の重荷になる」と。反対票がふえないように反対票はもらってくるなと、こういう指導です。 執行部の説明によると、この第三ステップは中央会の方で検討の結果、ちょっと行き過ぎだからというので取り除かれて農協の方に連絡されたと、こういうことですけれども、この文書が出回って、そしてまた、このような指導が現に行われているということなんです。これでは自由な判断ができない場合も出てくるのは当然ではないでしょうか。組合員の賛否を求めるのではなくて、結果的には合併の押しつけと言われても仕方がないと思います。 もちろん書面議決も定款の定めに従って行われたものと思いますが、農協の合併は組合員にとって最も重大な問題です。このような重大な意思決定は、より民主的な方法でなされなければならないことは論をまちません。定款に基づいて総会を開き、そこで論議を尽くし議決を行う、それが最も好ましい姿ではないでしょうか。指導的立場にある県執行部はなぜこのような指導をしなかったのか。 次に、配付された「書面議決書回収についての留意事項」は、さきに申しましたけれども、内部資料とはいっても行き過ぎです。議決の最も民主的な方法は投票です。この書面議決書も意思表示の投票に準ずるものでなければならないのです。それに対して個人の意思を拘束するような措置をとることはこれは絶対に避けなければならないことです。 執行部は、このような文書の配付、そしてそれに基づく行動についてなぜ取りやめるように指導しなかったのか、その点についてひとつお答えを願いたいと思います。 なお、この問題の解決のために今後どのような指導を行おうとしているのか、その点についてもお尋ねします。  〔農政部長木村剛勝君登壇〕 ◎農政部長(木村剛勝君) 農協合併の推進は、国際的には農畜産物の輸入自由化、国内的には産地間競争の激化という厳しい現実を踏まえ、農業の将来への生き残りをかけた取り組みとして、農協合併助成法の第六次延長とともに、昭和六十年三月、県農協中央会総会で機関決定され、さらに、同年十一月の第十五回県農協大会におきまして農協系統組織を挙げて決議されたものでありまして、農協合併は農家の経営安定に大きく寄与することは御承知のとおりであろうと存じます。 したがいまして、三月十三日の鬼海議員の質問にお答えいたしましたとおり、農協の合併という最も重要な事柄の決定につきましては、できるだけ多くの組合員の方々の意思を反映させる必要があるとの観点から、農協法で認められた組合員の議決権行使の一つの方法として書面議決を指導してきたところでございます。 「書面議決書回収についての留意事項」という文書についてでございますが、この文書は農協中央会によって作成されたと聞いております。 書面議決の取り扱いにつきましては、個人の意思を拘束しないよう指導してきたところでございます。 また、この問題の解決のための今後の指導でございますが、現在議決取り消し申し立てに関し、関係者からの事情聴取等を含め調査を進めている段階でありまして、この調査に基づき今後対処してまいりたいと考えております。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) 農協合併の推進について何ら異議を差し挟むものではございません。優秀な農協ができ上がるということはこれはもう本当に私どもも期待するところなんです。しかし、その合併の方法については、やっぱり民主的な方法がとられなければならないと思うんです。より民主的です。 先ほど法律改正ということがありましたけれども、この定款の中にはちゃんと総会で決めるということも可能になっております。そういう指導がなぜなされなかったのか。結局、そういう事態を予想しなかったということになるかもしれませんけれども、今後の指導は一体どうなるのか。 もちろん調査も必要でございましょうが、けさの新聞によると、八代の市議会でも何とかうまくいくようにというような発言もあっているようでございます。執行部としては、ぜひひとつ反対派の人たちも何かこう満足いくような、そういう解決の方法についてひとつ十分検討してもらって後にしこりが残らないように、せっかくの合併がしこりが残らないように、そういうことでひとつぜひ頑張ってもらわなきゃならぬと思うんです。 今までの指導については、私はやっぱりこれは結果的には間違っていたと、こういうふうに思うわけです。 次に移ります。リゾート基地の建設についてお尋ねいたします。 この問題については、昨年十二月の我が党の中島議員に続いて、一昨日公明党の広瀬議員が取り上げました。そこで、私はできるだけ重複を避けて二つの点についてお尋ねいたします。 一昨年六月、総合保養地整備法が成立して、全国各地でリゾート開発の機運が急速に高まってきました。最近の国民の余暇に対する関心の高まりと企業の金余り、さらに、地域の開発に対する期待とが相まって全国的なブームを巻き起こしております。本県も、天草全域と三角町、八代市の大築島にまたがる九万三千百四十一ヘクタールを対象にした天草海洋リゾート基地の建設構想を決定、昨年十二月基礎調査を提出したということは、一昨日の本会議で明らかにされたとおりであります。 知事の説明によると、投資総額は一千百四十三億円、計画期間の十年後には利用者数約百四十万人、雇用者数二千人程度の増、まさに夢のような計画です。圏域内の六つの重点整備地区のうち四地区では、既に事業主体が決定して計画が進められ、既に用地買収が進められているということですが、巨大なリゾート開発については、やはり夢が大きいだけに心配もたくさんあります。 この構想は、各重点整備地区ごとに、それぞれの歴史と文化、経済的な特性を生かして、進出企業の施設を核に地域全体が活性化に取り組み、地域に経済効果をもたらす、このことを大きなねらいの一つとしていますが、そのための指導体制はどうなっているのか。 地域の取り組みがまずければ、せっかくの開発が、経済的には進出企業の利潤追求に終わるということになりかねないのです。具体的な取り組みは事業の進展に伴って行われると思いますが、現在の方針についてお伺いします。 次に、リゾート開発は整備法によるもののほかにも全国に数多く計画されており、大規模リゾートだけでも百五十カ所に及ぶと聞いております。本県の場合も、荒尾市を中心にした三井グループによるアジアランド構想、それを初めとして既に工事に着手している西武グループの阿蘇山ろく大規模リゾート基地、さらに、現在営業中の二十九のゴルフ場のほかに建設中、計画中、打診中のゴルフ場が三十四カ所とメジロ押し、そして阿蘇には複数のサーキット場が予定されております。これはもちろん全国的な傾向でもあるのです。 このようにリゾートがひしめく中で、十年後の利用者百四十万はどのような基礎をもとに計算されたものか。 特に、国民の余暇に対する関心が高まったとはいえ、一昨日も広瀬議員が指摘しましたように、日本人の労働時間は世界の先進国に比べると比較になりません。年次有給休暇の取得日数の平均はわずかに十日、年間総労働時間は世界一、フランスに比べて五百時間も多く働いているのです。それに長期間有給休暇の制度も確立されておりません。 知事は、一昨日の答弁の中で、週休二日制の促進を図ることを明らかにしましたが、現状は、週休二日でも土曜勤務を余儀なくされている企業も多いということです。 このような状態の中で、果たして計画どおり事業が進むのかどうか。事業の内容は全然違いますが、有明・不知火地区の産振計画の例もあります。十年後の利用者百四十万、雇用二千名の大まかな根拠についてお聞かせください。  〔企画開発部長五味廣文君登壇〕 ◎企画開発部長(五味廣文君) 天草のリゾート基地は、リゾート法に基づきまして民間活力活用を重視した整備ということを考えておるわけです。 したがいまして、まず民間事業者が採算性などを考慮しながら施設の整備を図るということが必要でございますが、さらにこれを核として、その地域がその持てる資源を活用して、ソフト面も含めた個性的な充実を図るということが求められてまいります。すなわち、リゾート整備が単なる工場誘致的な企業誘致に終わることなく、それをきっかけとした地場産業の自律的発展のサイクルを確立できるような、こういう方策を探ることが重要だと考えております。 そこで、天草海洋リゾート基地構想におきましては、六地区の重点整備地区につきまして、その各地区の地域特性、個性をどう出すか、特にリゾート開発を地場産業などの育成にどうつなげるか、あるいは進出企業と地元企業との役割分担や連携をどう図るか、こういったことを考慮しながら進めることにしておりまして、例えば第三セクターの手法というのを活用するなどいたしまして、行政、民間一体となった整備に努めてまいりたいと考えております。 ○副議長(古閑三博君) 残り時間が少なくなりましたので、答弁を簡潔に願います。 ◎企画開発部長(五味廣文君) (続) 次に、利用者数及び雇用者数の見込みでございますが、これは、最近の五カ年間におきます熊本県全体並びに天草地域への観光客の入り込み傾向を踏まえました見通し、あるいは天草地域に今後整備が計画されております各種の施設の利用者増などとともに、県内外における他のプロジェクトのネットワークとの可能性も勘案いたしまして予測をいたしたものでございます。 御指摘のように、実現にはいろいろ課題がございますが、時代背景の中で目標の実現に向けて努力をしてまいりたいと考えております。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) いずれにしても既に実行に移っている問題でございます。ぜひひとつ私が危惧しておりましたような問題がないようにひとつ慎重にやっていただきたい。と同時に、こういうリゾートの開発には自然破壊がつきものです。天草の青い海、緑の山に囲まれたこの自然を守ることは開発に当たって一番大きな課題になると思います。 今、日本列島から海岸が姿を消しております。天草もその例に漏れません。残された海岸をどう守るか、そのことも天草にとっては大変大事なことだと思います。 ○副議長(古閑三博君) 残り時間が少なくなりましたので、質問を簡潔に願います。 ◆(柴田徳義君) (続) 昨年、知事は、中島議員の質問に答えて、自然保護と同時に自然を生かすことを考える、自然環境の保全には十分留意するということを答弁しております。執行部の責任者は時がくればかわります。しかし、関係地区の住民の皆さんは孫子の代までここに住まなければなりません。皆さんが本当に安心して住めるように、自然破壊については十分のひとつ考慮を払っていただきたいと思います。 なお、ゴルフ場規制について質問予定でございましたが、時間がございませんので簡単に要望だけをいたしておきます。 一%以内に抑えるという規制を発表されました。私はこの規制をされたことについて賛意を表するものですが、この一%でも多過ぎると。簡単に計算しましても、一つのゴルフ場、百ヘクタールとすると七十四のゴルフ場が実現するということになるんです。しかも、これから一%という数字を見て駆け込み建設というものがどっと押しかけるんじゃないかと、そのことも心配しておるわけです。その辺どのように規制をされるのか、十分ひとつ将来の見通しを立てて、この規制がきちっといきますようにやられることを特に要望して、私の質問を終わらせていただきます。御協力ありがとうございました。(拍手) ○副議長(古閑三博君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明十六日は午前十時から会議を開きます。日程は、議席に配付の議事日程第九号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後二時三十四分散会...