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  1. 福岡県議会 2022-02-09
    令和4年2月定例会(第9日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(秋田 章二君) ただいまから本日の会議を開きます。 *決議案上程  このたび、決議案第一一号「ロシア軍のウクライナ侵攻に強く抗議し、恒久平和を求める決議案」がお手元配付のとおり提出されましたので、これを日程に追加し、報告上程いたします。      ────────────────────────────────────────── 2 ◯議長(秋田 章二君) お諮りいたします。本決議案を直ちに議決したいと思いますが、御異議ありませんか。           〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 *採決 3 ◯議長(秋田 章二君) 御異議がありませんのでそのように決定し、これより採決いたします。  決議案第一一号について、原案を可決することに賛成の諸君は御起立願います。           賛 成 者 起 立 4 ◯議長(秋田 章二君) 起立多数であります。よって、決議案第一一号は原案のとおり可決されました。  日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。野原隆士君。(拍手) *野原議員質問 5 ◯四十九番(野原 隆士君)登壇 皆さん、おはようございます。福岡市西区選出、自民党福岡県議団の野原隆士です。服部知事の初めての本格的な予算議会である二月議会において、会派を代表して、また自民党福岡支部連合会政務調査会長として質問に立つ機会を与えていただきましたことは、誠に光栄と存じます。御指導を賜りました自民党福岡県議団藏内勇夫相談役松本國寛会長をはじめとする先輩議員の皆様方、会派の皆様方に心から感謝を申し上げます。  さて、世界情勢を見れば、ヨーロッパではウクライナで戦争が起きています。戦争は愚かな行為です。戦争の早い終結を望むばかりです。  それでは、福岡県のよりよい発展に向けて、しっかりと意義のある代表質問にしてまいりますので、よろしくお願いいたします。  まず最初に、二年連続で二兆円を超え最大規模となった二兆一千五百億円余の令和四年度県当初予算案についてお尋ねします。服部知事が知事就任当初、初めて編成された当初予算案であり、これまで二十六年にわたって続いた通産省出身の麻生、小川両知事とは異なる、県政史上初の県庁生え抜きの知事として、思い切った斬新さを込めた予算案だと自負されているものと拝察いたします。服部知事は約一年前の選挙において、まずはコロナ対策と災害対策が重要であるとした上で、目指す三つの挑戦を公約とされております。次世代を担う人財の育成、世界と勝負し、世界から選ばれる福岡県の実現、人獣共通感染症に取り組むワンヘルスの推進がその三つです。私は知事の選挙の際に、いわば未来への投資とも言うべき福岡県発展のための様々な政策を服部知事の口からお聞きし、わくわくしました。今回、その政策を初めて知事自らの手で形にしたわけですが、まずは、どのような基本的な考え方で予算編成に臨まれたのか、麻生、小川知事とは異なる特色がどこにあるのか、お尋ねします。  一般会計予算案の規模は、対前年度〇・八%増、地方財政計画の伸び〇・九%とほぼ同等であります。歳入面では、県税と地方消費税清算金を合わせた実質的な県税の伸びは八・五%増と、ほぼ地方財政計画の見込みに沿った計上になっています。バブル経済崩壊後およそ三十年にわたってGDPがほぼ横ばいで推移し、今、コロナの災い、コロナ禍が続いている厳しい経済状況の下で、県税収入に高い伸びを見込める背景は何か、本当に県税の確保は大丈夫なのか、よもや地方財政の参考書とも言える地財計画とほぼ同じだからと安逸をされているわけではないでしょうが、県民の不安、不信解消のためにも、本年の本県経済の動向をどのように見込んでおられるのか、簡潔明瞭ながらも県民の理解を得られるようにお答え願います。  次に、県債発行額については、対前年度の約半分になっています。地方財政計画では地方債は全体で三二%減ですが、そのうち臨時財政特例債は七〇%近い減少になっています。令和三年度の臨財債がコロナ禍の影響を受けて大幅増になった反動でしょうか。本県の臨財債発行額はどの程度の減額となったのか、お尋ねします。  臨財債総額は、平成二十三年度以降、令和三年度を除いて漸減傾向にありますが、あくまで地方交付税の増額に代わる臨時的な緊急避難だったはずです。それが制度創設以来三十年以上も続き、その残高は約九十兆円にも膨らんでいます。国の令和三年度補正予算では地方交付税が四・三兆円増額され、そのうち一・五兆円分が臨財債を償還するための償還基金の積立てに要する経費として、同年度分の地方交付税に上乗せされました。また、令和四年度地方財政計画では国との折半対象財源不足を解消し、臨財債の発行額を過去最低水準まで抑制されています。そろそろ臨財債に依存する地方財政対策を終了し、安定的に地方交付税総額を確保する抜本的な改革に取り組む時期ではないでしょうか。政治家になられた服部知事の考え方と対処方針をお尋ねします。
     財政調整基金など三基金については、前年度に比して百六十八億円、約九四〇%増になっています。その内容と理由をお尋ねします。  また、本年度末で計画期間が満了となる財政改革プラン二〇一七では、財政調整基金など三基金の残高を四百五十億円確保する計画となっていますが、その達成状況についてお尋ねします。  この際、今後の財政改革についても併せ、お尋ねします。現行プランでは、この年度末にプライマリーバランスを二百二十六億円の黒字とし、通常債の残高は平成二十八年度から七百八十一億円減少させる計画でした。現時点の達成状況をお尋ねします。  また、本年一月の県総合計画審議会の答申では、服部県政の新しい総合計画を推進する基盤づくりとして、歳入歳出の改革とガバナンスの強化が挙げられ、新たな財政改革プランの策定と行政運営の適正化を確保する仕組み強化が提言されています。令和四年度以降の財政改革プランの計画期間や目標設定の考え方など、服部知事の基本的な考え方をお尋ねします。また、ガバナンスの強化として、どのような仕組みを検討されているのか、この点についてもお尋ねします。  次に、歳出面についてであります。新総合計画答申に沿って、服部県政の特色を打ち出す様々な工夫を凝らされているものと思慮するところですが、特に重点を置かれた分野や新しい手法についてお尋ねします。  次に、歳出予算に関して幾つかお尋ねします。知事就任後の最初の六月議会で披瀝された今後の抱負では、世界の舞台で勝負ができる福岡県を実現する戦略として、半導体産業の育成を念頭に置かれているように拝察しました。振り返ってみますと、麻生元知事以来、多額の県費をつぎ込んできた産業分野です。一方、今や半導体産業は我が国の没落産業の代表のように厳しい評価がされています。近く台湾の企業が熊本市に進出するような話も聞かれます。服部知事が今後とも半導体産業に対する麻生県政以来の支援を継続される方針だとすれば、衰退産業と言われる中で、これまでの県の政策がどのような役割を果たしてきたのか、県民が十分に納得できる成果を上げてきたのか、データに基づいて客観的に評価し、県民に対して分かりやすく説明責任を尽くす必要があると考えます。知事の見解をお尋ねします。  また、未来を見据えた対応として、デジタル化や脱炭素社会の実現に向けて取り組む意欲を示されました。新年度の予算でどのような新規施策を盛り込まれたのか、お尋ねします。  一方、福岡県では、かつての産炭地域に象徴されるように、福岡都市圏など一部の都市を除いて疲弊が進む多くの地域を抱えています。平成の市町村合併によって、地方都市周辺では衰退が加速する旧町村地域も増加しているのが現実です。このような地域の活性化は、主として大都市を舞台とする成長戦略だけでは対応できない課題です。知事は、県民が安心して、たくさんの笑顔で暮らせる県を目指して、地方創生を基本に、誰もが住み慣れたところで働き、長く元気に暮らし、安心して子供を産み育てることができる地域づくりを着実に進めていくことを表明されています。しかし、半導体産業の振興に多くを語られるほどには、具体的な施策への言及がないのは少々バランスに欠けるのではないでしょうか。政令市を二市抱える本県ですから、むしろ県としては、政令市以外の地方都市とその周辺地域の活性化にも努力を傾注すべきではないでしょうか。最近、国会では人口急減地域における特定地域づくり事業協同組合労働者協同組合が議員立法で制定され、先進的な過疎地域などでは、こうした制度を活用して新しい地域づくりが模索されつつあります。こうした実情を考慮しますと、県は目線をもっと下げて、地域の疲弊や衰退に立ち向かう市町村にこそ積極的な支援の手を差し伸べるべきではないでしょうか。このことが我が自民党の岸田内閣が提唱する新しい資本主義の形成にもつながるものだと想像するところです。取り組まれる意欲があるか、知事の見解をお尋ねします。  さらに、デジタル化や地方創生に関連して知事の基本的な政治姿勢をお尋ねします。我が会派は、昨年の代表質問で、辞任された小川知事の職務代理者を務めた当時の服部副知事に対し、行政のデジタル化や地方創生に潜む為政者の中央集権的な発想、志向に対する懸念を提起しています。地方自治体としてこれらの政策が重要な課題であるとしても、管理と自由、集権と分権の平衡感覚を持って常に政策を再点検する保守的な態度の重要性を指摘しました。中でも、象徴的な事例として、マイナンバーを含め行政が保有する個人データの管理方法を取り上げ、デジタル庁が統一的に管理するのではなく、分散管理を大前提に、適切なアクセスコントロールの下での有効活用が推進されるべきであると提言させていただいたところです。昨年も申し上げましたが、私どもは、デジタル化の推進を決して否定するものではありません。むしろ、国際情勢から見て緊急な取組に迫られていると考えます。しかし、利便性、効率性を追求すればするほど、しばし立ち止まって、その危うさを懐疑し、再点検することも重要であります。最近では、大容量の個人情報をはじめ多種多様なデータを蓄積するデジタル関連企業の持つサーバーの所在が不明瞭な現状が政治問題化しております。国家の安全保障上からも極めて重大な問題だと考えます。しかし、福岡県知事に限らず全国の知事が率先してその善処方について、時の為政者に強く申し入れた事実があるのか、寡聞にして聞いたことがありません。行政にとどまらず社会全体を丸ごとデジタル化しようと、デジタル庁の創設やデジタル社会形成基本法の制定を進めながら、デジタル化の最も重要な基盤となるサーバーの所在問題をどう考えるのか、知事の見解をお尋ねします。  地方創生に関しても、当時の服部副知事の答弁では、国への財政依存が高まる状況に問題意識を持たれながらも、全国知事会などの働きかけで地方創生臨時交付金の大幅な増額を勝ち取ったことは評価いたしますが、問題はこれからです。交付金とはいえ、県税など自治体自前の財源と異なり、国からの補助金です。地方六団体では、安倍第二次内閣が地方創生構想を提唱した当初から、地方創生推進交付金などの交付申請手続の簡素化をはじめ、弾力的で柔軟な取扱いを求めて毎年毎年要望せざるを得ない状況が続いています。その打破を目指したのが地方分権改革だったのではないでしょうか。服部知事もよく認識されているはずであります。一年前の二月議会で答弁されているように、感染症の拡大など将来の状況変化に見通しが立たない緊急事態に際し、国が地方に必要額を適時に財政措置するほうが地方の機動的な対応に資するという考え方はよく理解できます。全面的に否定するつもりはありません。ただ、本県のコロナウイルス感染症対策予算については、令和元年度から令和三年度の間に三十回を超える補正予算を含めて一兆五千四百二十二億円の予算額が計上され、そのうち国庫支出金は一兆九百六十六億円、約七〇%を占める一方、融資などを除く一般財源と県債は合わせて六百八十四億円、全体の約四・四%にすぎません。本県に限らず自治体の持ち出しがあまりにも少ない状況が今後も長く続きますと、当面はよいとしても、その後コロナ禍が収束、経済状況も回復をして、国、地方を通じる財政再建が政治課題に浮上した際、検討される税財源のほとんどが国に占められてしまう懸念はないのでしょうか、お尋ねします。  振り返りますと、平成九年度に消費税が三%から五%に引き上げられたとき、消費税収の国、地方の税源配分は、地方交付税も含めますと、消費税率換算で国が二・八二%、地方が二・一八%でした。ところが、民主党政権下で社会保障と税の一体改革が実現し、消費税率一〇%の方針が決められた際、地域主権が唱道されながらも、引上げ五%分の国、地方の配分は、国三・四六%、地方一・五四%になりました。消費税一〇%時代の地方への配分割合は、明らかに五%の時代よりも下がりました。国民、住民のために仕事を増やし自前の財政負担をしなければ、自主財源は増えないのであります。地方分権は、国との厳しい税源獲得競争でもあります。デジタル化政策によって中央集権的傾向が強まる昨今、地方分権との調和を保つことがいよいよ厳しくなりつつあります。服部知事は、そのような時代の地方分権の充実に向けてどのように取り組むのか、その覚悟のほどをお尋ねします。  次に、この際、新年度予算に合わせて発表されています新しい財政健全化計画財政改革プラン二〇二二について若干触れておきます。令和四年度当初予算を含む十六か月予算が服部知事の当面の県政、財政の運営方針であるとすれば、この新しい財政改革プランは一期目の服部県政の期間を超える令和八年度までの財政運営の羅針盤ということになり、取りようでは深い意味も込められているようです。国、地方ともこの二年間、いまだ収束しないコロナ禍に振り回されてきました。国も本県も過去最多の補正予算を積み上げながら、その対応に追われる日々だったと考えます。現状では、まだコロナ後を云々するのは早計であり、大変な状況下に置かれている県民が多数おられることは十分に承知しております。しかし同時に、感染対策をしっかり行いながら、これから五年間の本県の財政運営を真剣に考えることが大変重要であります。もちろん財政運営は重要であり、誰にも異論はないでしょう。しかし、そのために歳出削減、事業の縮小ばかりでは、本末転倒、到底県民の皆さんに理解を得られないことは自明の理であります。必要な県民サービスなくして県がある意味はありません。収束後を見据え、いち早く本県経済を成長軌道に乗せ、同時に足腰の強い財政構造をつくることが、財政の健全化と成長戦略、二律背反にも似て極めて困難なことではありましょうが、本県はこの二兎を追って進むべきであります。  そこで知事に伺います。今回の新しい財政改革プランは、どのような方針で策定されたのでしょうか、知事の思いと併せてお答えください。  また、令和四年度以降の財政改革プランの計画期間や目標設定の考え方など、服部知事の基本的な考え方についてもお答えください。  次に、新プランにおける改革目標と改革措置の内容についてであります。新プランの改革方針には、財政調整基金など三基金の取崩しをせずに実質収支が黒字となる財政構造への転換を目指すとされています。当たり前に聞けば、もっともらしい文言と受け止められますが、地方財政の仕組みが分かる人たちにとっては、またかよと、空々しい言葉としか聞こえないと判断します。一体、このような表現をするのに、どんな意味があるのか、こうした字句を使うとするいわば参考書的なものでもあるのかどうか、詳しく説明ください。  また、改革措置の内容には事務事業の見直し、建設事業の重点化など五つの項目があります。しかし、これは現在のプランの改革措置と同じで、正直代わり映えがしません。特に事務事業の見直しは、長年にわたって実施され、もはや限界との声も聞き及ぶところであります。これらの項目についてどのような取組を実施していくのか、またどのような目標額を設定しているのか、具体的に説明願います。  次に、いまだ衰えを見せず、県民生活に依然として不安を投げかけている新型コロナウイルス感染症問題についてお聞きします。まず最初に、今日、我々の市民生活を脅かしているオミクロン株への対応についてであります。第六波で主流となったオミクロン株は、デルタ株と比べ感染力が強く、急速に感染が拡大し、病床使用率も一気に上昇するなど、これまでのコロナとは全く異なる感染症と言ってもよいほど特徴が異なっていると言われています。このようなオミクロン株に対して、県としては今日まで、どのような方針で県民、事業者へ感染拡大防止を働きかけ、かつ医療提供体制の確保に取り組んでこられたのか伺います。  次に、医療提供体制についてであります。オミクロン株による感染拡大により、高齢者の入院が増加しています。二月十四日には過去最高の病床使用率八六・七%となりました。県としては、今日最大の課題となっている病床の逼迫を防ぐため、どのような取組を行い、また行われているのか分かりやすく説明ください。  次に、感染者数の急増に伴い、疫学調査や健康観察を行う保健所業務が大きな課題となっていますが、県では保健所の体制強化や支援にどのように取り組んでおられるのでしょうか、併せて説明願います。  さらに、飲食店への時短要請の継続についてであります。県単独措置から引き続く蔓延防止等重点措置において、飲食店へ時短を要請されているが、その協力状況や指導についてはどのような状況にありますか。また、認証店でも営業時間の短縮要請に応じていない店舗や、感染防止対策が不十分な店舗もあるとした話をしばしば耳にするところです。認証制度の実効性を確保するためにも、これらの認証店への指導を的確に行うべきと考えますが、見解をお聞かせください。  最後に、ワクチンの追加接種、要は、三回目への取組についてであります。ワクチンの三回目接種は、感染力の強いオミクロン株の発症予防、重症化予防の要だと伝えられています。しかしながら、三回目の接種率はいまだ低く、ワクチンメーカーが異なることで、敬遠されている方も多いと聞いています。自民党福岡支部連合会からも自民党本部に対して、ワクチンの安定的供給、交互接種における効果、安全性などの情報について、総理総裁から国民に対して積極的に周知、啓発することの要望をさせていただきました。本県における三回目のワクチン接種の進捗と今後の取組について伺っておきます。  また、蔓延防止等重点措置の期限は三月六日ですが、期限どおり解除できるのか、あるいは延長となるのか、現在の見通しを併せてお伺いいたします。  次に、知事も選挙の際に三つの挑戦の一つとして挙げられておりましたワンヘルスの推進について質問いたします。我が会派はさきの十二月議会において、新型コロナウイルス感染症が蔓延する昨今、福岡宣言がなされた福岡県でワンヘルス国際フォーラムが行われることの意義が、より重要になっているという考えの下、フォーラム成功に向けての取組についてただしました。知事からは、本フォーラムの成功に向け、開催機関にも周知に協力していただくなど広報に力を入れ、多くの方の会場への参加と動画視聴数の増加を図ってまいると答弁されました。オミクロン種の感染拡大による新型コロナウイルス感染症の第六波の到来により、感染防止の観点から、残念ながら観客を会場に入れず、ウェブでの開催となりましたが、本フォーラムの成果を踏まえ、知事は今後このフォーラムをどう発展させていくのかお答え願います。  次の質問です。いよいよ我が国での二十七年ぶりとなるアジア獣医師会連合大会通称FAVA大会の本県での開催が本年の十一月に迫ってまいりました。この大会は第四十回日本獣医師会獣医学術学会年次大会との連携により行われるものです。先ほども申し上げましたとおり、新型コロナウイルス感染症は瞬く間に全世界に蔓延し、パンデミックとして人類を恐怖に陥れました。特にアジア地域は、本感染症をはじめ、新型インフルエンザ、SARS、MERS、SFTSなどの動物由来の新興、再興感染症の発生源となっていることから、アジア各国が連携、協力して早急にワンヘルスの実践体制を構築しなければなりません。このような状況を踏まえFAVAは、FAVA戦略プラン二〇二一─二〇二五を策定するとともに、具体的な活動方針として六分野に関する五年間のアクションプランを策定し公表しました。このうち、ワンヘルス薬剤耐性対策、獣医学教育、食の安全、安心の四分野は、日本の専門家が主導して推進しています。FAVA大会は、新型コロナウイルス感染症を克服しポストコロナ時代の幕開けとして通常の日常生活や経済活動の再出発を期す記念すべき国際大会であり、アジアからのワンヘルスアプローチをテーマに開催されます。福岡県におきましては、平成二十八年十一月に第二回世界獣医師会世界医師会ワンヘルスに関する国際会議が開催され、世界におけるワンヘルス実践の礎となる福岡宣言が採択、発信されました。さらに、令和四年一月に福岡県ワンヘルス推進基本条例を公布、施行し、県民一丸となってワンヘルスの実践活動に取り組んでおります。  この福岡県におけるFAVA大会開催の重要性に鑑み、二月十六日、我が会派の相談役である藏内勇夫日本獣医師会会長は、総理官邸で岸田総理にFAVA大会への出席と支援を要請いたしました。報道によると、岸田総理は福岡県のワンヘルスに関する取組を評価し、大会への出席も調整中とのことです。このことは、服部知事もワンヘルスの推進に頑張られているからこそ、総理がこの発言をされたのだと思います。雄県福岡の存在感を日本のみならず世界に示すこの大会を成功させることができるかどうかは、県の協力にかかっていると言っても過言ではありません。県による大枠の支援につきましては、前議会で知事にお答えいただいたところではありますが、今回は予算議会でもありますので、さらに具体的な支援についてお聞かせ願います。併せて、知事の意気込みについてもお答えください。  我が会派といたしましても、福岡県が大会の成果を踏まえFAVA戦略プラン二〇二一─二〇二五に基づくワンヘルスアプローチを発展させ、その具体的な実践活動をアジアから世界に向けて発信し続けることにより、今後のアジア及び世界におけるワンヘルス実践活動をリードしていくべきであると考えます。そして、このワンヘルスなどのFAVA活動を継続的に推進していくためには、日本獣医師会が服部知事に要望されましたように、現在、FAVA大会の準備を主目的として期限付で福岡県に設置されておりますFAVA日本事務所を常設のものとして、引き続き我が国に設置することが不可欠です。思い起こされるのは、九州でただ一つの国連機関、ハビタット福岡本部の誘致の際のことです。ハビタット福岡本部が担当するのはアジア・太平洋地域二十八か国で、アジアの国々に近く、仕事がしやすいという理由で福岡に事務所を構えており、日々災害や戦争、貧困などで住まいに困っている方々の手助けをしているそうです。この誘致の際には、福岡県の活性化、国際化に貢献、知名度の向上や経済的波及効果も見込まれるとして、県主導の下、福岡市や経済界が一体となって誘致促進協議会をつくり、他の有力都市を破り見事誘致を実現させました。このときと同じように、FAVA日本事務所の設置について、県民が一体となって誘致に取り組む必要があると考えますが、知事の意気込みをお聞かせください。  次の質問に入ります。世界中が注目する重要な国際会議であるG7サミットを福岡に誘致することは極めて大きな意味を持つという知事の考えに、我が会派も賛同し、さきの十二月議会において、代表質問で知事の誘致に向けた意気込みについてただしました。その際に、知事からはサミットを誘致する意義や、サミット誘致に対する強い気持ち、そして福岡県と福岡市が連携してしっかりとアピールしていくことについてお答えをいただきました。知事の十二月議会での答弁のとおり、一月十四日には、知事は高島市長と九州経済連合会倉富会長と共に官邸に行き、G7サミット福岡市開催の要望を行ったとお聞きしております。前知事では、なし得なかった福岡市と協力しての世界から選ばれる福岡の実現のための取組も高く評価したいと思います。また、一月二十日には、自由民主党を代表して、我が県選出の松山政司参議院議員が国会で代表質問を行っております。そこで松山参議院議員には、二〇一六年、日本医師会横倉会長と日本獣医師会藏内会長の御尽力により、北九州市小倉でワンヘルス国際会議を開催し、福岡宣言を取りまとめたことや、福岡県議会が議員提案でワンヘルス推進基本条例を議決したこと、そして十一月の福岡でのFAVA大会開催のことにも触れ、福岡県の先進的な取組を取り上げていただきました。その後、昨年のG7サミット・カービスベイ保健宣言にて推進が合意されたワンヘルスへの支援を総理に質問していただいたわけですが、まさしく我が会派といたしましても、コロナ禍の中で、ワンヘルスの機運が高まりつつある今だからこそ、福岡県によるワンヘルスの世界的先進地を目指す取組をG7を通じて世界中に発信することで、福岡県をワンヘルスの世界的拠点にし、さらには世界的なワンヘルスの推進ができると考えます。  そこで質問です。既にサミットの候補地も出そろい、国による現地視察も行われたことかと思いますが、これまでの活動の手応えについてお答えください。  また、既に誘致に向けた手続は一通り終了したと聞いております。しかし、G7サミットを福岡に本気で誘致するためには、さらなる活動が必要になることは言うまでもありません。これからの活動についてお答えください。  さて、次に移ります。昨今、いろんな問題をはらみながらも避けては通れなくなっていますデジタル技術の活用による県下各地域の活性化についてをお聞きします。一昨年の十万円の特別定額給付金の支給においては、政府と市町村のシステムがスムーズに連携できず、全住民に迅速な給付が実現されなかったことは記憶に新しいところです。市町村の業務システムが、これまでそれぞれ独自の仕様で開発されてきたことが給付の遅れの原因の一つと言われております。この市町村による独自のシステムは、特別定額給付金のような全国一律に迅速な遂行が求められる業務の実施に支障があるだけではなく、システムの維持管理など市町村の負担増加にもつながっていると聞き及んでいます。こうしたことから、政府は、令和二年十二月二十五日にデジタル・ガバメント実行計画を閣議決定し、令和七年度までに、仕様を統一した業務システムを事業者を通じてインターネット上のサービスとして提供し、市町村の共同利用に取り組むとしました。さらに、この取組を実効的に推進するため、政府は、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案を第二百四回通常国会に提出し、令和三年五月十二日に可決、成立しました。本法案で、仕様を統一した業務システムの利用は地方公共団体の責務とされたところです。そしてまた、この取組は岸田内閣が掲げているデジタル田園都市国家構想においても重要な取組の一つに位置づけられております。  この統一仕様のシステムへ移行することで、政府と市町村のシステム、将来的には県のシステムも連携が容易になり、支援を必要としている人に対して、申請不要の給付が可能になることが期待されているところです。さらには、転居時の手続が一度で完了することや、確定申告の手続がより簡便になることなども国は計画しているところです。また、個別に業務システムを開発する必要がなくなることにより、システム開発コストの削減が図られ、システム管理の大部分から職員が解放されることにより、企画立案や住民への直接的なサービス提供など職員でなければできない業務に注力することができ、行政サービスの向上も期待できます。一方で、仕様が統一される二十の業務システムの中には、生活に直結する住民基本台帳や住民税などデータの量が多く、かつ大変重要なシステムも含まれます。移行作業に伴って住民サービスに支障が出ないよう、全ての対象システムを令和七年度末までに移行させる必要があり、どこから手をつけてよいか、また、どう取り組んでいけばよいのか分からないといった声や、役場で着実に移行が果たせるのか大変不安だとの声が市町村から聞こえてきています。  そこで知事にお尋ねします。まず、政府が事業者を通じてインターネット上のサービスとして提供する統一仕様のシステムへの移行を着実に進めるに当たって、市町村の課題をどのように認識しているかお伺いします。  また、市町村が課題に取り組み、解決していくために、県はどのような支援を行おうとしているのか具体的な支援内容についてお伺いします。  また、デジタル田園都市国家構想は、成長戦略の最も重要な柱であり、地方の豊かさをそのままに、利便性と魅力を備えた新たな地方像を目指すもので、仕事、交通、教育、医療をはじめとする地方が抱える課題をデジタル技術で解決し、誰一人取り残されず全ての人がデジタル化のメリットを享受できる心豊かな暮らしを実現するとされています。市町村においては、デジタル技術を活用し、個性を生かした地域活性化が求められています。その解決に向かっては県に期待されている役割も大きいのではないかと思っているところです。知事は九月議会で、市町村のDX推進に向け、県は様々な相談に応じるなど支援を行っている旨を答弁されました。  そこで知事に伺います。デジタル技術を活用した県内各地域の個性を生かした地方活性化について、今後県はどのように市町村を支援していくのか、知事の考えをお聞かせ願います。  次に、我が県におけるPFIの導入促進について御質問いたします。近年の急速な高齢化の進展により社会保障費が増大する中、五年連続で発生した豪雨災害からの復旧、復興事業により多額の経費が必要となっています。さらに、昨年度から続く新型コロナウイルスの影響は、コロナ対策による経費の増加だけでなく、大幅な県税収入の減少を招いており、県の財政状況は大変厳しい状況にあります。このような中、大型の公共施設の建設を進めていくことは、県の財政にも大きな負担となることから、公共施設の整備に当たっては、民間の資金、能力を活用するPFIの活用が有効と考えます。福岡県も国のアクションプランに従い、PPP/PFI導入検討基本方針をつくり、平成二十九年四月一日から施行していることは皆さんも御存じだとは思いますが、現在、福岡県の公共施設整備事業において、PFIの導入実績はないのが現状です。我が会派といたしましても、この状況をしっかりと受け止め、四回の勉強会を通じ、県内外のPFIをはじめとした民間の資金、能力の活用事例について研究を行いました。その中で、民間の事業者からもPFIの長所、短所についてお聞きしたところです。県のPFI導入検討基本方針では、事業費の総額が十億円以上の公共施設整備事業が検討の対象事業に当たるということですが、近々の事業では新福岡県立美術館整備事業が対象になっておりました。実際に検討が行われ、参加事業者数の問題から、設計、建設、維持管理、運営の全ての業務を民間事業者に一括して発注する、いわば一気通貫型のPFIにつきましては導入が見送られたと聞いております。しかし、一口にPPP、PFIといっても、基本設計と実施設計、施工、運営を切り離すようなものもあるのではないかと考えます。  そこで質問です。新福岡県立美術館をはじめとする大規模な公共施設の整備を今後実施する場合において、PFIをはじめとした民間資金、能力の活用をこれまでより積極的に図るべきと考えますが、知事の見解を求めます。  次に、農林水産問題についてただします。初めに、水田農業の振興についてであります。今年一月、トンガ沖で発生した海底火山の大噴火は、八千キロも離れた我が国にまで津波被害を及ぼすなど、その影響の大きさに改めて自然の力のすごさを感じました。我が国にまで影響を及ぼした海外の災害で思い起こされるのが、平成三年に発生したフィリピンのピナツボ火山の大噴火です。この噴火では、二年後に記録的な冷夏や日照不足を引き起こし、全国的な米の不作により、海外からタイ米などの緊急輸入が行われるなど、平成の米騒動へと発展しました。ここにいる皆さんも、我が国の米や米作りのありがたみを改めて感じさせられたことを覚えているのではないでしょうか。しかしながら、飽食の時代と言われる現在において、危機的な状況に陥らない限り、国民の誰しもが、こうした思いを持つことはないのかもしれません。特にここ数年、本県では不作が続いておりますが、全国的には、米どころの新潟県や北海道など東日本を中心に大豊作が続いており、米消費の大幅な減少と相まって、米余りが騒がれている昨今ではなおさらであります。  こうした状況にあっても、米を作る意義は、単に水田を守り、農業の持つ多面的機能を維持するということだけではなく、最低限、主食だけは自国で確保するという食料の安全保障の観点で見直されるべきと考えます。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、農産物の輸出制限を行う国が出てきたように、食料を海外に依存し過ぎることの危うさは明らかであります。我が会派としても、米を中心とする本県の水田農業を今後もしっかりと守っていく必要があると考えておりますが、これまで水田農業を支えてきた団塊の世代が近い将来、大量にリタイアし、水田農業の担い手不足が生じるのでないかと不安を覚えます。また、水田農業、特に稲作においては、昭和四十年代から五十年代にかけて機械化が飛躍的に進みました。兼業でも米作りができるようになったことと引換えに、機械代の返済が経営に重くのしかかり、機械貧乏と言われるなど、もうからない産業の代名詞となってしまいました。このことが、子供に農業を継がせたくないという気持ちを生み、現在の農家減少の一因になっていると思います。また、米と並び水田農業にとって重要な品目である大豆については、生産者の努力により、その品質は豆腐などの加工業者から高い評価を受け、日本一の販売価格で取引されておりますが、近年は、集中豪雨などによる影響から、収量が低迷しています。水田農業の担い手を確保し、将来にわたって本県の水田農業が発展していくためには、こうした状況を打開し、水田農業を稼げる産業にすることが重要であると考えます。知事は、昨年の知事選における選挙公約の中で、農林水産業は本県の基幹産業であり、稼げる、魅力ある産業にすることを訴えておられました。また、今後五年間の本県農林水産業の指針である県の次期農林水産振興基本計画でも稼げる農林水産業を掲げておられます。  そこでお尋ねします。稲作を中心とする水田農業を、どのように稼げる産業に育てていかれるのか、お伺いします。  次に、園芸農業の振興についてであります。米余りを背景に、昭和四十四年に始まった米の生産調整、いわゆる減反政策が年々強化され、本県では、農家所得を確保するため、園芸農業を推進してこられました。また、これを強力に推進するために、今から約三十年前、我が会派が主導して創設した全国でも例を見ない県単独事業が、今に続く高収益型園芸産地育成事業であることは、今さら語るまでもありません。こうした取組により、農業産出額に占める園芸品目の割合は、昭和四十年代半ば、三割程度であったものが、現在は六割程度にまで拡大しております。コマツナやミズナといった葉物野菜の生産者の中には、家族経営から脱却し、雇用を導入した企業的経営に移行した方も多く、年間の売上げが一億円を超える経営も出現するまでになっており、このほかの品目でも同様に一億円プレーヤーが増加していると聞いております。しかしながら、園芸品目の産出額全体は近年減少傾向で、一千億円を少し超える程度であります。この要因の一つは、度重なる豪雨災害による被害や、新型コロナウイルス感染症の影響による業務用の野菜や花の需要の減少なども考えられますが、最も大きな要因は、高齢者のリタイアによる生産量の減少分を既存の生産者の規模拡大や新規就農者の参入による増加分で補えていないことは明らかであります。このことは、本県の園芸農業を代表し、農業産出額の約一割を占めるあまおうでも同じような状況と聞いており、他の園芸品目については推して知るべしであります。つまり、今後、高齢者のリタイアがさらに加速することは明らかであり、このままでは本県の園芸農業は縮小の一途をたどる、ひいてはブランドが喪失するというような可能性も否定できません。それなのに、これまでと同じような取組を漫然と続けるだけでいいのか、今だからこそ、生産拡大に向けた新たな手だてを打つべきではないのかと思うわけであります。一方で、販売対策についてもしっかり取り組んでいくことが肝腎であります。本県でも、福岡の食材を使ったフェアを首都圏や関西圏のレストランで開催されておりますが、ポストコロナを見据えて、もっともっと他産地に負けないような積極的な取組が必要であると考えます。生産拡大と販売促進、この双方を強化することが、本県園芸農業の振興に必要なものであると確信しています。  そこでお尋ねします。本県園芸農業が直面している、こうした状況を打開するためには、生産拡大に向けた取組を一層進めるとともに、併せて販路を確保し、価格を維持するための販売促進の取組を強化する必要があると考えますが、知事はこれらの取組をどのように進めるつもりなのか、お聞かせください。  それでは、次に教育問題に移ります。まず、学校における新型コロナウイルスの感染者及び臨時休校などの状況についてであります。今年に入り、県内の小中学校や高校などでも児童生徒の感染者数が急増し、多数の学校が学級閉鎖、学年閉鎖、そして臨時休校に追い込まれたようであります。学校などは保護者が仕事を続けるための子供の預かりの場でもあります。また、学校には新型コロナウイルス感染拡大の防止と学びの保障の両立が求められていますので、臨時休校を決断された学校も苦渋の選択であっただろうと察するところであります。学校における臨時休校などの増加に伴い、短縮授業の実施、修学旅行の延期、部活動の休止など、教育活動に大きな影響が出ています。とりわけ、現在、高校や大学の入学試験シーズンの真っただ中でもあり、教職員はもちろんのこと、受験生と保護者の皆様の負担や不安は相当なものであろうと思います。  そこで教育長にお伺いします。初めに、本県で新型コロナウイルスの感染が急拡大した年明け以降、県内の小中学校、高校及び特別支援学校の児童生徒と教職員の感染者数の最新の状況はどうなっているのか、また昨年末までの感染状況との比較について、お示しください。また、県内の公立学校における臨時休校の最新の状況についても、併せてお示しください。  次に、臨時休校を行った学校の学習指導と進路指導に関する取組についてであります。新聞報道によりますと、県内のある高校では、生徒の兄弟姉妹が濃厚接触者となり、自宅待機となる生徒が昨年よりも多いということや、例年であれば、大学入試を控えた県立高校三年生の自宅学習は二月から始まるところ、これを一月に前倒しで取り入れている学校が多くなっているとのことであります。大学入試や高校入試に臨む高校三年生や中学三年生への影響にとどまらず、間もなく学年末を迎える一、二年生の学業への影響が危惧されるところであります。今は学びの総仕上げの時期に当たり、各学校では難しい対応に迫られているのではないかと思います。  そこで教育長にお伺いします。現在、県立高校では、臨時休業などにより、大学入試を控える生徒への指導の難しさや、授業時間の確保がままならずに学業の遅れが生じるおそれがあるなど、大きな課題に直面されているのではないかと、非常に気をもむところであります。このような中、県立高校においては、この緊急事態を乗り切るために、どのように対応しておられるのか、お伺いします。  また、来週には県立高校の一般入試が実施されますが、志願者が新型コロナウイルスに感染するなどして受験ができなかった場合に、どのように対応するのか、お伺いします。  次に、県立高校における一人一台端末の整備によるICT教育の推進についてであります。服部知事は、知事に就任されて初めて臨まれた昨年四月の県議会臨時議会での就任挨拶の中で、御自身がこれから挑戦していくことの一つとして、次代を担う人財の育成を挙げられました。知事は、将来の福岡県をつくっていくのは人であり、県立学校におけるICT教育環境の整備を進め、県内のどの地域においても充実した教育を受けられる環境の整備に取り組んでいくと、熱く語られていました。そして、本議会に、県立高校への一人一台のタブレット型パソコンを整備するための予算を提案されています。我が会派が、本県高校教育の充実のため、ICT教育環境の整備を大変重要かつ喫緊の課題と捉え、強く要望してきた全ての県立学校における一人一台端末の整備が、来年度いよいよ実現することになります。この県立高校の一人一台端末の整備につきましては、令和二年九月議会における我が会派の代表質問において、国のGIGAスクール構想に基づき、一人一台端末が整備されることになった小中学校と同様に、県立高校においても、一人一台端末環境を整備することが必要であるということを申し上げたところであります。これに対して、当時の城戸教育長からは、生徒所有のスマートフォンやタブレットなどを学習に活用する、いわゆるBYOD方式による一人一台端末環境を構築していくとの答弁がなされています。今回、県教育委員会では、服部知事の思いを受け止められ、県立高校で進められてきたBYOD方式による教育活動の成果や課題を鋭意検証された上で、BYOD方式からの方針転換を決断されたものと考えます。我が会派としましては、国のGIGAスクール構想により小中学校で整備された一人一台端末が、来年度以降、県立高校においても整備されることで、小学校から中学校、そして高校までの、いわば切れ目のない一貫したICT教育環境が構築されることになり、大変喜ばしいことであると思っています。  そこで教育長にお伺いします。本県の県立高校においては、昨年九月からBYOD方式による教育活動を開始されていると聞いております。実際に、ある学校では、授業の動画や授業で使用した資料を教員と生徒で共有し、生徒は各自のスマートフォンなどを使用して、いつでもどこでも授業の振り返りができるようにしているそうです。また別の学校では、英語のリーディングテストで生徒が回答した音声を生徒のスマートフォンから教員のパソコンに送信し、それをALTと呼ばれる外国語指導助手が採点するという活用がなされています。このようなBYOD方式による教育活動を実施した結果、その成果とともに課題が浮かび上がり、このBYOD方式の見直しを決定されたものと考えますが、今回の方針転換の要因となった検証の総括について、お示しください。  現在、ICT機器は、デジタル社会を生きる生徒にとって、鉛筆やノートのような文房具であり、これを教員も生徒も当たり前のように使いこなして、ICTを活用した教育を充実発展させていくことが今後の目標になろうかと考えます。  そこで、来年度以降、県立高校にタブレット型パソコンが導入された暁には、授業での、さらなる効果的な活用がなされることを期待するところでありますが、学校におけるICTによる教育活動は、どのように進化していくと考えておられるのか、具体的な事例を用いてお示しください。  また、県立高校では、BYOD方式による教育活動が始まったばかりであり、ICT機器を使いこなしている教員がいる一方、不慣れな教員もいると聞き及んでいます。実際に教員の指導力にばらつきがあるとすれば、解決すべき喫緊の課題ではないのでしょうか。  そこで、県教育委員会として、県立高校におけるICT教育を推進していくためは、学校や教員への支援体制づくりが必要であると考えますが、教育長の見解をお尋ねします。  以上、終わらせていただきます。(拍手) 6 ◯議長(秋田 章二君) 服部知事。 *知事答弁 7 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 おはようございます。御答弁を申し上げます。  まず、予算案の基本的な考え方についてお尋ねがございました。私は、県職員そして副知事として、これまで四十年以上にわたりまして県行政に携わってまいりました。県民の皆様からは、その経験を生かし、即戦力として、待ったなしで県政の諸課題に取り組むことを求められているものと考えております。このため、就任直後から、コロナ対策はもとより、様々な施策をスピード感を持って推進することを常に心がけてまいりました。今回の予算編成におきましても、このような思いの下で各部局との政策協議を鋭意進め、前年度よりも七十件多い二百二十二件の新規事業を企画したところでございます。私は、今回の予算を福岡県の未来に向けて新しく一歩を踏み出す予算とし、新型コロナウイルス感染症や五年連続で発生しております大雨災害などから県民の皆様の命と生活を守り、誰もがたくさんの笑顔で安心して暮らしていける社会をつくっていきたいと考えております。そして、世界を視野に、未来を見据えて、福岡県の成長発展の歩みを力強く進めていくため、新しい取組といたしまして、グリーンデバイスの開発・生産拠点の形成、電動化や自動化などCASEに対応する北部九州自動車産業グリーン先進拠点の形成、大規模データセンターの立地促進、宇宙ビジネス、ブロックチェーンといった成長産業の創出、福岡市や地元経済界と連携をいたしましたG7サミットの誘致などを進めていきたいと考えております。この予算を生かし、県民の皆様と手を携えて未来への扉を開いていきたいと思います。  次に、来年度の県税収入についてでございます。来年度の県税収入は、今年度当初予算比で一一・五%、七百六億円増の過去最大の規模となる六千八百二十六億円余を見込んでおります。この背景といたしましては、企業業績が堅調に推移していることに伴います法人二税の増及び原油高による輸入額の増加に伴う地方消費税の増を見込んでおります。各税目の算定に当たりましては、今年度の県税収入の状況を基に、県内における経済指標や法人への聞き取り調査等を踏まえまして、本県の実情に即して適切に見込んでおるところでございまして、当初予算に係る税収は確保できるものと考えております。この裏打ちとなります本県経済の動向につきましては、飲食サービス業などに一部に弱さが見られますものの、製造業では、基幹産業でございます自動車産業で部品供給不足の緩和に伴って生産が回復いたしますなど持ち直しの動きが見られます。今後、感染症による影響、また様々な要因に伴います供給面での制約や原材料価格の上昇による下振れリスクに十分注意をする必要がございますが、各種政策の効果や海外経済の改善もございまして、景気は持ち直していくことが期待されるところでございます。  令和四年度当初予算における本県の臨時財政対策債の発行額についてでございます。企業業績の改善などによりまして、前年度に比べ県税収入の大幅な増加が見込まれますことから、地方交付税の振替財源でございます臨財債の発行額は、前年度比一千十六億円の減、七二・七%の減少を見込んでおります。大幅な減少となりましたのは、令和三年度当初予算におきましては、新型コロナの影響により県税収入の大幅な減少が見込まれ、臨財債の発行額が前年度比六百三十五億円の増、八三・三%の増加となりましたことが主な要因でございます。なお、今年度の税収は回復基調となり、国、地方とも当初の見込みを上回りましたことから、国において、地方交付税を増額する再算定がなされました。これにより、本県の臨財債の発行額は三百七十七億円の減額となり、これを踏まえました二月補正予算を明日、提案させていただくことといたしております。  臨時財政対策債に依存する地方財政対策についてお尋ねがございました。地方財政計画における地方の財源不足額につきましては、国と地方が折半して負担することとされておりまして、地方の負担分につきましては、平成十三年度以来、臨時財政対策債により措置をされております。本来、財源不足額につきましては、地方交付税の法定率の引上げにより交付税原資を確保して対応すべきであります。しかし、臨時的な制度である臨時財政対策債による措置が続いておりまして、地方団体においては、その残高の累増が問題となっているところでございます。このため、臨時財政対策債につきましては、その廃止や地方交付税の法定率の引上げを含めた抜本的な改革を行い、安定的に交付税総額の確保を図る必要があると考えております。今後も引き続き、全国知事会を通じて国に対し粘り強く要望を行ってまいります。  次に、財政調整基金等三基金繰入金についてでございます。令和四年度当初予算では、三基金から百八十八億円を繰り入れることといたしております。このうち二十二億円は収支均衡を図るためのものであり、百六十六億円は令和四年度における普通交付税の精算のための充当財源でございます。三基金繰入金が令和三年度に比べて増加する主な要因は、この普通交付税の精算によるものでございます。普通交付税では、基準財政収入額の算定に使用いたしました税収見込みと実際の税収が乖離いたしました場合、その額が翌年度以降の三年間で精算されることとなっております。令和三年度におきましては、法人二税等が見込みより回復いたしましたことから、税収が基準財政収入額を四百九十八億円上回り、一年当たり百六十六億円が令和四年度から六年度の三年間で精算される見込みでございます。このため、明日提案させていただきます予定の二月補正予算におきまして、普通交付税精算分として四百九十八億円を三基金に積み立て、令和四年度に百六十六億円を繰り入れることとしているものでございます。  次に、現行の財政改革プランの達成状況についてお尋ねがございました。令和三年度末の見込みは、プライマリーバランスは九百六億円の赤字、通常債残高は平成二十八年度末に比べ二千六百五十四億円の増となっておりまして、いずれもプランで示した目標を達成することができておりません。しかしながら、プラン策定時に見込むことができませんでした災害からの復旧、復興対策など、やむを得ない要因というものを除きますと、プライマリーバランスは五百四十二億円の黒字、また通常債残高は平成二十八年度末に比べますと千百七十八億円の減となっておりまして、目標を達成しているところでございます。また、財政調整基金等三基金の残高につきましては、累増する社会保障費や新型コロナウイルスの感染拡大に伴う税収減などによりまして、三基金を取り崩しながらの苦しい財政運営となったところでございます。しかしながら、これまでの財政改革措置による累積効果に加えまして、令和三年度において、新型コロナウイルスへの対応として地方交付税が大幅に増額されましたこと、税収が回復傾向となり見込みを上回りましたこと、こういったことが相まって、三基金の今年度末残高は五百八十八億円と、プランの見込額でございます四百五十億円を上回る見通しとなっております。  次に、ガバナンスの強化についてお尋ねがございました。ガバナンスを強化することにより、組織のマネジメントが強化され、政策的な課題に対し重点的に資源を投入することが可能となります。また、職員にとっても、安心して働くことができる職場環境が実現をされ、県民の皆様の信頼に足る行政サービスの提供につながるものと考えております。このため、職員倫理の保持、財務会計、文書管理、個人情報管理事務及び情報セキュリティー対策につきまして、これまで行ってまいりました研修や点検、また一元的な指導監査などの充実に努めますとともに、関係部局間で連携を図りながら取組を継続また反復し、職員一人一人の意識の徹底を図ってまいります。ガバナンスの強化には、何よりも明るく一体感のある職場風土づくりが肝要であると思います。私自身県職員でございました経験を生かしまして、若手職員に対しても積極的な提案、アイデアを出していただくよう呼びかけるなど、様々な機会を通じて職員の皆さんに声をかけ、そして意見を聞き、またコミュニケーションを取るよう努めているところでございます。引き続き活発に意見交換を行いまして、上司や仲間に気軽に相談できる職場づくりに率先して取り組んでまいりたいと考えております。  次に、予算案の重点分野及び新しい手法についてでございます。令和四年度は、特に次の四つに重点を置いて取り組むことといたしております。第一に、次代を担う人財の育成でございます。本県の発展を担うのは人であります。子供たちが県内どこでも格差なく充実した教育を受けられる環境を整え、その上で、夢に向かってチャレンジする若者を応援をいたします。また、産業、経済、スポーツ、文化芸術など様々な分野で活躍する人材の育成に力を入れます。  第二に、世界から選ばれる福岡県の実現でございます。将来の発展基盤となる社会資本整備を積極的かつ着実に進めますとともに、戦略的な企業の誘致、育成、人材の集積を図ってまいります。  第三に、成長産業の創出でございます。脱炭素化や自動車産業における百年に一度の技術革新など世界の大きな潮流を捉え、県全体でグリーン社会の実現を進めますとともに、未来を見据えて、バイオ、宇宙ビジネス、ブロックチェーンといった新たな成長産業を創出してまいります。  第四は、ワンヘルスの推進でございます。人と動物の健康及び健全な環境が調和した社会を構築し、次世代につないでいくことを目指します。ワンヘルスセンターの整備やアジア獣医師会連合大会を契機とした県の先進的取組の国内外への発信を行ってまいります。  また、多岐にわたる政策課題に効果的に対応いたしますため、県庁内の横断的な連携はもとより、市町村、大学、研究機関、企業、NPOなどとの協働、連携をこれまで以上に推進をしてまいります。例えば、海外の企業県人会と連携した国際人材の育成、九州大学の持つ研究成果や高度な知見を活用した脱炭素、医療、環境等の分野での新プロジェクトの創出、県医療機器協会との連携による医療用資材の流通、備蓄体制の構築などに新たに取り組んでまいります。  次に、半導体産業振興策に対する評価についてお尋ねがございました。我が国の半導体産業は、多額の投資が必要な半導体製造分野は大きく世界シェアを下げました。しかし、高度なノウハウ、技術が要求されます材料、製造装置、センサー、そして電動化を支えますパワー半導体については依然として高い競争力を有しておるところでございます。本県におきましても、平成十二年度から半導体産業の振興に取り組んでまいりました結果、半導体材料で世界シェア一位でございます北九州市八幡西区の三菱ケミカル、直方市の住友ベークライト、大牟田市のデンカ、画像センサー世界第一位でございます福岡市早良区のソニー、パワー半導体世界第三位でございます福岡市西区の三菱電機、次世代半導体で注目を集めております筑後市のロームなど、二百七十三社から三百九十六社へと集積が進んでおるところでございます。また、産学官共同研究では、製品開発百九十二件、特許の取得五十一件の成果が上がっており、世界的半導体メーカーと取引するベンチャーも育ってきております。人材育成では、システム開発技術カレッジにおいて実践研修を継続的に行い、二十年間の累計で約二万一千名の技術者を育成をいたしております。これまでの取組により、本県には、高い国際競争力を持つ企業や優れた人材が集積しております。今後は、こうした本県ならではの強みを生かし、半導体の安定供給に資する革新的な技術開発、実証事業に対する助成、三次元半導体研究センターへの最新機器整備による企業の新製品開発の支援、県立工業高校における半導体人材の育成などに取り組みまして、これから北九州空港や福岡空港を持っている本県の強みも生かしながら、大きな成長が期待されるパワー半導体などグリーンデバイスを中心とした電動化や脱炭素化に資する企業を呼び込んでまいります。  デジタル化や脱炭素社会の実現に向けた新規施策についてでございます。令和四年度当初予算では、デジタル化への対応といたしまして、中小企業生産性向上支援センターにデジタル支援ユニットを新たに設置をいたしまして、中小企業のデジタル化を支援いたします。また、デジタル社会を支える大規模データセンター等の誘致を図るため、直方・鞍手工業用地の造成を進めてまいります。教育分野では、公立、私立問わず一人一台のパソコン整備を進め、県内どこでも格差なく充実した教育が受けられる環境を整えてまいります。グリーン社会の実現では、洋上風力発電の導入やCO2フリー水素の製造・供給拠点化に取り組みますほか、工場の脱炭素化などの水素グリーンイノベーション戦略、電動化など百年に一度の技術革新に対応するための北部九州自動車産業グリーン先進拠点の形成を推進してまいります。加えまして、県有施設の太陽光発電設備の導入及び省エネルギー化の可能性調査を実施するなど、県といたしましても、グリーン社会の実現に率先して取り組んでまいります。  次に、地域の活性化に向けた県の支援についてでございます。本県では、福岡都市圏以外の地域の多くは人口の減少が進み、とりわけ過疎地域の市町村では、一人当たりの所得や総生産が県平均の八割程度にとどまるなど、厳しい状況にあるものと認識をいたしております。そのような中、県では、誰もが住み慣れたところで働くことができるよう、各地域の経済、雇用を支えていただいております中小企業の新たな事業展開や事業承継など、きめ細かく支援をしてまいります。地域の基幹産業でございます農林水産業を稼げる夢のある産業にするため、生産力の強化、ブランド化や輸出の拡大などに力を入れてまいります。また、新たな産業団地を整備し、戦略的な企業誘致にも取り組んでまいります。さらに、地域おこし協力隊への支援を拡充するなど、移住、定住の促進に向けた施策も強化してまいります。併せまして、地域の次世代のリーダーとなる人材を育成する取組も拡大をしてまいります。このような取組を市町村の皆さんと積極的に連携して行いますとともに、市町村が抱える多様な課題も吸い上げまして、その規模や地域の実情に応じ、行財政の両面からきめ細かに支援をしてまいる考えでございます。これらは持続可能性や人を重視し、新たな投資や成長につなげる新しい資本主義の考えにもつながるものと考えております。また、御指摘のございました協同組合に関する新たな制度につきましては、多様な働き方や担い手確保に注目したものでございまして、その活用について研究をしてまいります。  次に、デジタル化の基盤となるサーバーの所在の問題についてでございます。国は、データを格納するサーバーを集積したデータセンターにつきましては、金融、物流の拠点と並んで国の競争力に直結するものであり、また政府、自治体が保有する機密情報や個人情報は適切に管理されるべきであるという観点から、国内にこのデータセンターを設置することが不可欠であるとしております。さらに、国の成長戦略実行計画におきましても、広域での災害時に電力や通信網の断絶などによりデータセンターの機能が損なわれるリスクが存在いたしますことから、東京圏に現在集中しているデータセンターの分散化が必要であり、今後、地方への立地を促進していくこととしております。本県では、データセンターにつきましては、県内企業のデジタルトランスフォーメーションを推進し、大量のデータを迅速に処理するAIやセンサーなどの関連企業の集積に資するとともに、東京圏で大規模災害が発生した際の県民や県内企業への影響を避けるために、県内への誘致、集積が重要であると考えております。このため、現在、直方・鞍手地区を候補地の一つとして誘致の取組を進めているところでございます。  次に、コロナ収束後の地方の税財源についてでございます。コロナ対策として創設されました臨時交付金や包括支援交付金は、国と地方が一体となってコロナを収束させるため、地方が実施する飲食店の時短協力金や病床の確保をはじめとした対策に対し、国が責任を持って財源を措置したものであると理解をいたしております。地方におきましては、これらの国の財政措置を活用しながら、感染拡大の防止や医療提供体制の強化、事業継続の支援など、コロナ対策に全力で取り組んでいるところであります。このため、コロナが収束した後に、コロナ対策による国の財政難を理由として、国が地方の税財源にマイナスの影響を与えるようなことはあってはならないものと認識をいたしております。  次に、地方分権の充実に向けた取組でございます。本県では、AIによるオンデマンド交通の推進、また東峰村での5G、バーチャルリアリティーを活用したイベントの開催やデジタル拠点施設の整備など、デジタル技術を活用し、地域活性化の取組を行っております。地方が自らの責任と判断の下、このような地方の実情に応じた施策をさらに実施するためには財政的な自立が不可欠でございまして、地方分権改革を一層進めていかなければなりません。今後も、全国知事会と連携し、国に対し、自主財源である地方税の充実、偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築、国と地方の税源配分を五対五とすることなどを求めてまいります。また、県といたしましても、中小企業の振興、先端産業の育成、企業誘致の推進などにより本県経済を成長させ、税源の涵養を図ってまいります。  次に、財政改革プラン二〇二二の策定方針についてお尋ねがございました。私は、本県の自主財源の大宗を占めます税収を増やし、財政基盤を強くしていくことが本県が未来に向けて飛躍、発展していくための基礎になると考えております。このため、県内雇用の八割を担っていただいております中小企業や本県の基幹産業でございます農林水産業の振興、先端成長産業の育成など、本県経済の成長戦略を進めてまいります。このことにより、法人二税などの税源の涵養を図りますとともに、雇用の拡大による個人県民税の増収につなげてまいります。一方で、事務事業の不断の見直しや財政収入の確保、将来の負担となる県債残高の圧縮など、歳入歳出両面からの財政健全化に取り組み、ただいま申し上げました成長戦略を着実に実施していくための財源を確保してまいります。成長戦略の推進と財政健全化、この両輪の取組を推進することによって、財政調整基金等三基金の取崩しに頼らない財政構造への転換が図られるものと考えております。このような考えの下、財政改革プラン二〇二二を策定したところでございます。  次に、プランの改革措置についてでございます。御指摘がございました事務事業の見直しにつきましては、これまでも事務経費の削減や事業の廃止、終了を対象として実施をしてまいりましたが、この見直しが経費の一部にとどまりますなど、これ以上の縮減が困難なものも多く見られるところでございます。財政改革プラン二〇二二では、社会経済の変化を踏まえ、事業の必要性や効果、成果を改めて検証いたしますとともに、民間活力の活用など事業手法の見直しを行ってまいります。このように多角的かつ不断の見直しを徹底いたしますことにより、成長戦略を実施していくための財源を捻出してまいります。このほか、社会保障費の増加の抑制、建設事業の重点化、効果的、効率的な組織体制の整備、財政収入の確保に取り組みまして、五年間で千二百五十億円の財政効果を上げていきたいと考えております。プランの期間でございますが、上位計画となります行政改革大綱に基づきまして、令和四年度から八年度までの五年間といたしております。目標につきましては、財源不足額を解消しつつ、経済急変や災害発生などへの対応力を持ちますため、通常債残高を五百億円程度圧縮すること、三基金残高を四百億円から五百億円確保することといたしております。  次に、新型コロナウイルス感染症対策につきまして、まずオミクロン株への対応についてお尋ねがございました。これまで県では、県民の皆様が安心して暮らせるように、いつでも医療が受けられる体制を構築してまいったところでございます。具体的には、第五波の経験を踏まえまして、感染力が二倍となった場合にも対応できるよう、医療提供体制の強化や福岡コロナ警報の見直しを行ってまいりました。そのような中で、昨年十二月二十五日、県内で初めてオミクロン株の陽性者が確認をされました。これを受け、直ちにその翌日から、感染不安を感じる県民を対象とした無料検査を開始いたしました。病床使用率が一五%を上回ることが見込まれました一月二十日には、直ちに福岡コロナ警報を発動いたしまして、飲食店の時短営業など、県民、事業者の皆様に対しまして、蔓延防止等重点措置と同等の措置を要請をいたしました。その後、感染拡大に伴い、主な感染の場が学校、保育所、高齢者施設等に移り、広がってまいりました。このため、二月四日に国の分科会の提言が出されましたので、これを踏まえまして、基本的対処方針の変更を待つことなく、これらの施設に対し、オミクロン株に対応した感染防止対策の徹底をいち早くお願いをしてきたところでございます。コロナ病床につきましては、国の基準以上の千五百六十四床を現在確保しておりまして、感染拡大に先んじて前倒しでこれを稼働したほか、宿泊療養施設の早期立ち上げや追加確保などにより、個々の症状に応じて適切に患者を受け入れる体制を整備してきたところでございます。  医療提供体制についてでございます。県では、その個々の症状に応じ適切な医療が提供できますよう、陽性が判明したときのトリアージというものを徹底してまいりました。そのような中で、若い世代の方に比べて回復に時間を要する方が多い六十代以上の世代の方に感染が拡大をし、現在、入院者数の九割近くを占める状況となりまして、入院期間が長期化いたしました結果、病床使用率も上昇したところでございます。このため、コロナ患者受入れ病院及び後方支援病院の病院長を集めた会議を開催をし、退院基準を満たした方の転院や退院、軽症者の早期退院や宿泊療養施設への入所を積極的に進めるよう要請を行いました。その際、病院間での転院調整を円滑に行うためには、後方支援病院の受入れ可能数や条件といったものを共有できるシステムが必要であるとの意見をいただきましたので、直ちに新たなシステムを構築し、現在運用しているところでございます。加えまして、オミクロン株感染に対する発症予防効果や入院予防効果が期待されますワクチンの高齢者等への三回目の接種を促進をいたしております。これらの取組の結果、病床使用率は、二月二十七日時点でございますが、六七・二%にまで減少、改善をしております。引き続き、医療提供体制の強化に努めてまいります。  保健所の体制強化についてお尋ねがございました。第五波の収束後、次の感染拡大に備えまして、昨年十二月までに保健師等の会計年度任用職員を三十六名増員いたしますとともに、濃厚接触者等のPCR等行政検査業務を外部委託いたしまして体制を強化いたしました。その後の急激な感染拡大に伴い保健所の業務逼迫に対応するため、人材派遣による看護師等を一月上旬には三十一名配置、さらに一月下旬からは大幅に増員をいたしまして、最大百七十三名を配置いたしました。このほか、県庁各部の本庁、出先の職員及び市町村の保健師の応援によりまして、さらなる体制の強化に取り組んでいるところでございます。また一月下旬からは、濃厚接触者の調査を高齢者施設や医療機関等重症化リスクのある方が多くいらっしゃる施設に絞って実施をするとともに、新規陽性者からの聴取内容を健康状態に限定すること等により、一層の業務効率化を図っているところでございます。  次に、飲食店への時短要請についてでございます。県の調査では、度重なる厳しい要請にもかかわらず、全体の九七・五%に当たります二万四千八百九店舗に御協力をいただいているところでございまして、心から感謝を申し上げたいと思います。要請に応じていない店舗に対しては、繰り返し要請に応じるよう指導しております。中でも、店舗が混雑し、感染防止対策が徹底されていないなどクラスター発生のリスクが高い九店舗に対し、二月十六日に特措法に基づく命令を行っておりまして、命令に従わない店舗に対しては、裁判所への過料通知を発することといたしております。認証店の感染防止対策については、昨年十一月から、事前の予告なく店舗を訪問して再調査を行っております。二月二十七日までに、認証店一万九千四百七十九店舗のうち六千七百五十五店舗を再調査いたしまして、二千四百店舗を指導し、千四百四十六店舗の是正を確認をいたしております。是正が確認できていない店舗につきましては、引き続き指導、助言を行っているところでございます。また、県の要請に応じることを認証の要件としておりますことから、時短要請に応じていない四十六店舗につきましては、その認証を取り消したところでございます。飲食店の皆様にこの認証制度に御協力いただくことにより、感染抑制に大きな効果を上げております。県といたしましては、そのような御協力をいただいている方々の不利益にならないよう、認証制度の実効性を確保してまいります。  次に、ワクチンの三回目接種につきましては、対象者でございます二回接種した十八歳以上の方のうち、二月二十七日時点では、二六・二%に当たる約九十八万人の方が接種を受けておられます。このうちでございますが、六十五歳以上の高齢者の接種率は五二・二%となっております。現在県では、高齢者、保育士、教職員などをはじめ六か月経過した方々が速やかに接種をしていただくことができますよう、市町村の要望を踏まえ、県内三か所の接種会場を設置し、多くの方に御利用いただいております。さらに、本議会で議決いただきました補正予算によりまして、働いている方や学生の皆さんにとって利用していただきやすいよう、博多駅周辺に新たな接種会場を設置いたします。この会場では、平日の夜間にも接種を実施することによりまして、この三回目接種のさらなる促進を図ってまいります。また、県民の皆様に、ワクチンの種類にかかわらず積極的に接種を検討していただきますよう、交互接種における抗体価の上昇効果や副反応における安全性について、ホームページや広報紙等で周知、啓発を行ってまいります。  今月六日に期限を迎えます蔓延防止等重点措置についてお尋ねがございました。このところ新規陽性者数は減少傾向が続いております。病床使用率も、先ほど申しましたように、改善傾向が続いております。また、重症病床の使用率は継続して低い水準で推移をしております。しかしながら、新規陽性者数の減少速度は鈍化しておりまして、連日三千人前後と高い水準にとどまっております。一方では、ただいま御答弁いたしましたように、ワクチンの高齢者の皆さんへの三回目の接種が進んでいるという状況もございます。措置の解除あるいは延長につきましては、こうした足元の状況、そして今後の推計等を踏まえ、社会経済活動等に与えます影響も考え合わせながら、専門家の皆さんの意見を伺いますとともに、市町村の皆さんとの協議を行い、慎重に検討を進めているところでございまして、近日中に判断をしたいと考えておるところでございます。  次に、福岡県ワンヘルス国際フォーラムの成果及び発展についてでございます。今回のフォーラムでは、生きがいを与えるペットと暮らす意義や野生動物の生息地の破壊、乱獲による人獣共通感染症の発生、森林浴の医学的効果といった研究成果につきまして、世界トップクラスの研究者に御講演をいただき、国内外の約六百名の方に参加、視聴していただいたところでございます。また、フォーラムの録画映像につきまして、本日から国内外に配信をしておりまして、インターネット広告などにより視聴者数の増加を図ってまいります。今後も、世界トップクラスの研究者が福岡に集うハイレベルなフォーラムを毎年開催し、本県をワンヘルスの世界的な先進地に押し上げていきたいと考えております。来年度のフォーラムは、第二十一回アジア獣医師会連合(FAVA)大会と同時開催をいたしまして、本県の先進的なワンヘルスの取組について、大会に参加される方々をはじめ世界に向けて発信をしてまいります。  FAVA大会への具体的な支援と意気込みについてでございます。県では、FAVA大会を契機とし、本県のワンヘルスの先進的な取組を国内外に発信し、県民の理解を促進していきたいと考えております。具体的には、新たに創設をいたしますワンヘルス認証制度を会場で御紹介いたしますとともに、歓迎レセプションにおいて認証された本県の農林水産物を提供し、PRをしてまいります。また、ワンヘルスの森として整備をいたします四王寺県民の森に大会参加者をお招きし、森林浴やセンダンの植樹を行っていただきます。こうした先進的な取組につきましては、この大会と同時開催を予定いたしております福岡県農林水産まつりでも県民の皆様にお伝えし、PRをしてまいる考えでございます。加えまして、県民向けのシンポジウムを開催をいたしますとともに、今後のワンヘルスを担っていく県内の医学部や薬学部などの学生の皆さんの大会への参加を支援してまいります。藏内日本獣医師会会長におかれましては、先日、岸田首相に対しFAVA大会への出席と支援を要請されるなど、大会成功に向け御尽力をされておりますことに、改めて敬意を表します。県といたしましても、大会準備室と連携を図りながら、できる限りの支援を行い、本県がワンヘルスの世界的先進地と認められるよう目指してまいりたいと考えております。  FAVA日本事務所の福岡県への誘致についてでございます。先月二十五日、日本獣医師会藏内会長から、FAVA日本事務所の誘致の検討について御要請をいただきました。要請書におきましては、現在、期限付で設置されております日本事務所を常設のものとし、アジア及び世界におけるワンヘルス実践活動をリードしていくお考えが表明をされております。この事務所が本県に設置されますことは、ワンヘルス実践の礎となる福岡宣言がなされ、全国で初めてワンヘルス推進基本条例を施行し、ワンヘルスの世界的先進地を目指しております本県にとりまして、大変意義があることであり、さらには九州地方知事会と一緒になって国に要望いたしておりますアジア新興・人獣共通感染症センター(仮称)の九州への誘致の強力な後押しとなるものとも考えております。このため、国連ハビタット福岡本部の誘致の取組も参考にいたしまして、日本事務所の本県への誘致につきまして、今後、県獣医師会、関係自治体、地元経済界の皆様とも相談しながら取り組んでまいりたいと考えております。  次に、G7サミット誘致活動の手応えについてお尋ねがございました。二〇二三年G7サミット福岡開催の実現に向けまして、昨年十一月十七日には、秋田議長と共に福岡県の強みなどを林外務大臣にアピールをいたしました。さらに一月十四日には、私と高島福岡市長、九州経済連合会の倉富会長の三者で岸田総理を総理官邸にお訪ねし、要望を行ったところでございます。その際、私が岸田首相に申し上げたことは、日本そして世界各国にとって、安全保障の面からも、経済の面からも、東アジア、東南アジアの安定と繁栄が欠かせない、我が福岡は、アジアに近いだけでなく、歴史上深いつながりがあり、アジアとの親和性が高い地域である、このため日本で唯一、アジアに向いた大都市である福岡市にG7の首脳が集まることは、各国首脳がアジアに対し強い関心を持っていることを世界に発信することになる、などでございます。岸田首相からは、熱意の籠もったプレゼンをいただいた、開催地は政府全体として十分に調査を行った上で選定していくとの御発言をいただきました。また、候補となる会議場や宿泊施設、メディアセンターなどの設備、アクセス、警備などにつきまして国の現地調査が行われているところでございまして、福岡市と協力し、しっかり対応いたしております。  これからの活動でございますが、G7サミット福岡の開催は、福岡のすばらしさを世界に発信するまたとない機会でございまして、ぜひこのチャレンジを成功させたいと考えております。このため、開催地が決定されるまで、福岡市と協力しながら、県、市が提案している施設や設備などに対する国からの問合せに適切に対応してまいります。また、G7をテーマとしたセミナーあるいは出前講座の実施などを通じ、福岡開催の意義やメリットを広く周知いたしますことで、県民の皆様の理解を深めてまいります。  次に、市町村のデジタルトランスフォーメーション推進支援について、業務システムの統一化に当たっての課題と支援についてお尋ねがございました。市町村が行います税や健康保険、年金などの業務システムは、これまでそれぞれが独自の仕様によりIT事業者に発注をして運用してまいりました。これを政府は、令和七年度末までに二十の統一仕様の標準システムに移行させ、より効率的で便利な行政サービスを実現しようとしております。このためには、それぞれの業務手順や書類の様式などを一つ一つ標準システムに合わせていくという膨大な作業が必要となりますほか、標準システムに含まれない市町村独自の行政サービスを今後どのように行っていくかなどの検討も必要となります。このような中、多くの市町村において現在大きな課題となっておりますのは、こういったことを実行するための知識、ノウハウを持った人材が不足しているということでございます。このため本議会において、システムの移行計画の策定などを適切にサポートできる外部の専門人材を支援が必要な市町村に派遣し、標準システムへの円滑な移行を支援するために必要な予算を提案させていただいているところでございます。  次に、デジタルを活用した地域の活性化についてでございます。地域の産業振興や交通、物流の確保、また福祉の充実といった様々な課題を解決し、活性化を図るためには、ICTやAIなど先進技術を有効に活用していくことが大変重要であると考えております。このため本議会におきまして、県内四地域でローカルスマートシティ構想会議を設置するために必要な予算を提案をさせていただいております。この会議におきましては、地域のDXに積極的に取り組む市町村と共に、ドローン配送による買物弱者の支援やAIを用いた一人暮らし高齢者の見守りなど、デジタル技術を活用した取組の具体化、展開を図ってまいる考えでございます。  次に、PFIの導入促進についてお尋ねがございました。新県立美術館整備事業におきましては、設計、建設、管理運営業務を別々に発注します従来型の手法と、これらの業務を一括して民間に発注いたしますPFIの手法を比較検討いたしましたところ、PFI手法を採用した場合、一定の事業費削減効果やサービス水準の向上が見込まれたところでございます。しかしながら、県立美術館につきましては、大濠公園や日本庭園と調和し、地域のランドマークとなる質の高いデザインが求められますため、多くの提案の中から優れた設計者を選定することが重要でございます。これまでPFI手法を採用した事例を見てみますと、参加事業者が少数にとどまっておりますことから、多くの提案が期待できる従来型の手法を採用することとしたところでございます。また、御質問の基本設計と実施設計を分け、実施設計以降の業務をPFI事業で実施するという方法についても検討いたしました。しかし、事業費削減効果が見込めないこと、またPFI法に定められております実施方針策定、特定事業の選定、事業者の公募、事業契約締結といった一連の手続に必要な期間を考慮いたしますと、令和十一年度の開館には間に合いませんことから、従来型の手法を採用することといたしました。県では、これまで、ふくおか会館や福岡東総合庁舎跡地におきましてPPP方式でございます定期借地権方式を導入いたしましたほか、天神中央公園や大濠公園におきましてPark─PFIを実施してまいりました。また平成二十九年には、PPP/PFI導入検討基本方針を策定をし、事業費の総額が十億円以上の公共施設整備事業等一定の要件に該当するものにつきまして、PPP、PFIの導入の検討を行うことといたしております。現在議案として提出いたしております次期行政改革大綱案におきましても、民間活力の活用を図る観点から、新たにPPP、PFIの推進を改革事項として明記をいたしました。今後実施いたします大規模な公共施設の整備に当たりましては、この方針の下、PFIをはじめとした民間の資金、能力の活用に取り組んでまいります。  次に、水田農業の振興についてでございます。本県の水田農業を稼げる産業にしていくためには、生産コストを低減いたしますとともに、売れる米作りや大豆の収量向上などに取り組みまして、生産者の皆様の所得向上を図る必要がございます。このため県では、農地中間管理事業を活用した農地の集積、集約化や大区画化などによりまして担い手が生産コストを低減できる条件を整えますとともに、規模の拡大を図る経営体に対し、スマート農業機械の導入を支援しているところでございます。また、米につきましては、本県育成の品種でございます元気つくしの作付拡大を進めますとともに、品質向上に取り組む生産者に対し、土壌改良資材などの購入経費を助成し、消費者から選ばれる、おいしい米作りを進めてまいります。大豆につきましては、梅雨末期に播種作業を行いますため、近年の大雨により作業の遅れや冠水被害が生じ、収量が低下いたしております。このため、現行品種より播種に適する期間が二週間ほど長く、収量も一割程度多い本県育成の新品種、ちくしB5号への切替えを進めてまいります。また、消費者に親しまれますネーミングやロゴマークの作成を行い、販売促進に取り組んでまいります。県といたしましては、こうした取組により水田農業を稼げる産業へと育ててまいります。  園芸農業の振興についてでございます。県では、将来の園芸農業を担う人材を確保いたしますため、当面の生活費等に不安がある新規就農者に対し、就農前後の資金を交付をいたしております。来年度からは新たに、就農前に栽培技術を習得できるJAの研修用ハウスの整備や営農開始に必要な機械等の導入を支援してまいります。また、経営の発展を目指す農業者に対し、規模拡大や効率的な生産を実現できますよう、高収益型園芸事業を活用いたしまして、ハウス施設の整備やスマート農業機械の導入を支援しているところでございます。特に本県の園芸農業を牽引いたします、あまおうにつきましては、労働時間の五割を占める収穫及び出荷調製作業を省力化できるよう、新たに民間企業と連携したロボット開発に取り組みます。三年後のこの産地への導入を目指すことによりまして、生産拡大を進めてまいります。また、本県には、八女茶、あまおう、また水産物では福岡有明のりのような日本を代表する農林水産物がございます。本県の農林水産物の魅力、これを国内外に発信するため、来年度から新たに、首都圏、関西圏において、料理界で高い影響力をお持ちのシェフが若手のシェフに対し、県産食材の魅力や調理方法を紹介する料理セミナーを実施いたしますほか、産地とバイヤーを直接つなげる商談サイトを活用しまして、新たな販路開拓につなげてまいります。さらに、インフルエンサーの活用や輸出に向けた産地づくりを通じまして、輸出の拡大を図ってまいります。県といたしましては、こうした取組を通じ、本県園芸農業の競争力の強化を図ってまいる考えでございます。 8 ◯議長(秋田 章二君) 吉田教育長。 *教育長答弁 9 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 学校における新型コロナウイルスの感染状況と臨時休業状況についてでございます。  まず、感染状況につきましては、本年一月から二月十八日までの約一か月半の間に、県内の小学校で九千二百五十六名、中学校で三千四百十名、義務教育学校、中等教育学校で七十一名、高等学校で四千二百四十九名、特別支援学校で三百六十名の計一万七千三百四十六名の感染が判明しており、その内訳は、児童生徒一万六千三百十六名、教職員は一千三十名となっております。昨年一月から十二月までの一年間の感染者数計六千二十二名と比較しますと、本年の一月から約一か月半の間の感染者数は既に約三倍となっております。  次に、県内公立学校の臨時休業の最新の状況についてでございます。先週二月二十二日当日の状況は、小学校四校、中学校一校、義務教育学校、中等教育学校及び高等学校はゼロ校、特別支援学校三校の計八校、公立学校全体の約〇・七%が学校全体の臨時休業を行っております。また、小学校百四十二校、中学校四十校、義務教育学校、中等教育学校一校、高等学校七校、特別支援学校八校の計百九十八校、全体の約一六・四%の学校で一部の学級、学年の臨時休業を行っております。  県立高校における対応についてでございます。県立高校におきましては、感染状況によって、短縮授業、時差登校、分散登校または臨時休業を実施することとしておりますが、その実施に当たっては、学びの保障、心身への影響等を考慮し、必要最小限の範囲内といたしております。臨時休業など生徒が登校できない場合は、同時双方向型のオンライン指導や授業動画の配信、学習支援ソフトの活用などICTを活用した様々な方法により学習指導を行っております。また、基本的な感染防止策を徹底した上で、生徒の進学や就職などの実情に応じて、対面による細やかな個別指導を行っております。高校入試につきましては、新型コロナウイルスの罹患等により三月八日の学力検査を受験できなかった場合は、三月二十二日の追検査を受験することができ、さらにその追検査も同様の理由により受験できなかった場合は、四月初旬までに行われる追選抜を受験することができることとしております。また、濃厚接触者として特定された場合も、入試当日に無症状である場合は別室で受験できることとしており、可能な限り受験生への配慮を図っております。  次に、BYOD方式による教育活動の検証の総括についてでございます。今年度、県立高校九校を実践研究校に指定し、生徒所有のスマートフォンを使った、いわゆるBYOD方式の検証を行いました。検証結果として、ふだん使い慣れた端末であることから、操作やインターネットの検索、閲覧がスムーズにでき、生徒の学びの方法が広がり、授業に対する積極性が向上したなどの成果がありました。一方で、スマートフォンは画面が小さいため、グループ学習での情報共有や共同作業が不便であったり、キーボードがないため小論文の作成やプレゼンテーション資料の作成などに支障があるなどの課題が明らかとなりました。これらの結果を踏まえ、BYOD方式ではなく、一人一台のタブレット型パソコンの整備が必要と判断したところであります。
     ICTによる教育活動の進化と学校や教員への支援体制についてでございます。一人一台タブレットの活用によって、グループで情報を整理し意見交換を行う学習や、あらかじめ授業動画を自宅で視聴し、教室では発展的な学習を行う反転授業など、一斉伝達型ではない生徒主体の効果的な授業が展開できます。また、効率的なプログラミング学習の実施や学習用アプリを活用した学びの充実などが可能となり、これまでの対面による指導とのベストミックスを図ることで、県立高校の授業改善がさらに進んでいくと考えます。学校や教員への支援につきましては、ICT活用を担う校務分掌を全校に設けますとともに、新たに、管理職に対する研修や情報化推進教員によるタブレット活用校内研修を実施するなど、組織的にICT活用に取り組む体制を強化をいたします。さらに、教育庁内に県立高校のICT活用を推進する部署を新設いたしますとともに、教育事務所の指導主事とICT支援員が連携して学校での実地指導などを行う体制を整え、全ての県立高校のICT教育の充実に邁進をしてまいります。 10 ◯議長(秋田 章二君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後二時十分といたします。           午 後 零 時 五十七分  休 憩           午 後 二 時  十一分  再 開 11 ◯副議長(仁戸田 元氣君) 再開いたします。  休憩前に引き続き代表質問を行います。発言を許可いたします。渡辺美穂君。(拍手) *渡辺(美)議員質問 12 ◯二十六番(渡辺 美穂君)登壇 民主県政クラブ県議団の渡辺美穂です。会派の代表質問という機会を与えていただきましたことを、岩元会長をはじめ会派の皆様方に感謝申し上げます。ありがとうございました。  また、感染拡大防止の観点から、人数を最小限に絞って傍聴に来ていただいた後援会の皆様方にも感謝申し上げます。本当にありがとうございました。  それでは、質問に入る前に、ロシア軍によるウクライナに対する侵略に対して、県議会決議同様、強く抗議の意を表します。併せて、核兵器の使用をも示唆する発言も、唯一の被爆国として看過できるものではありません。ロシア政府の暴挙に心から抗議を表すとともに、この侵略で苦しめられている多くのウクライナ国民の生命が脅かされないよう、日本も含め世界各国が人道支援を強力に進めるよう強く要望いたします。  それでは、会派を代表して質問に入らせていただきます。  まず、新年度予算についてお聞きします。服部知事就任後、初めて編成された今回の新年度予算案は、まさに服部カラーが色濃く反映されたものではないかと思います。記者会見において知事は、命、成長、安心の三つのキーワードを示されました。  そこで一点目に、この三つのキーワードにした理由について、今予算案に対する知事の思いも含め、御披瀝ください。  さて、新年度予算案では、ジェンダー平等や学校のICT整備をはじめ、我が会派がこれまで求めてきたものが予算化されています。公約を着実に形にし、県民に寄り添う知事の姿勢が形になったものだと言えます。この中でも、特に県立学校の一人一台端末の整備については、高校生及び教員へ一人一台端末を配備することなど、合計で三十八億円余が予算計上されています。昨年六月定例会の我が会派の代表質問で強く求めた際、知事はBYOD方式による授業を実施した上で、教育委員会においてこの方式による教育の成果と課題を検証していく必要があると答弁されました。  そこで二点目に、BYOD方式の検証結果を教育長にお聞きします。その上で、結果について、知事はどのように感じ、今回の予算案を提出されたのか、併せてお答えください。  また、この端末が整備されても、それらが実際の教育現場で活用されなければ意味がありません。また、現在整備されている小中学校の一部では、電子教科書の配置が不十分であったり、ICT支援員が十分に配置されず、学校内におけるICTに強い教員への過度な負担が生じているという声もいただいています。  そこで三点目に、今回の整備に当たって、ICT支援員の配置、また電子教科書などソフト面の整備については十分なのか、教育長にお聞きします。  続いて、防災、減災への取組についてお聞きします。本県では、全国で唯一、五年連続大雨特別警報が発令されています。毎年続く豪雨災害に対して、災害が起きて復旧、復興を行うのではなく、災害が起きないよう未然に対策することが何よりも重要です。本県が国の補助事業を最大限活用し、防災、減災に取り組んでいることは承知していますが、国の補助予算が充当されない事業については、県単独公共予算で措置している現状があります。この予算を具体的に見ると、例えば、県土整備部においては道路特別補修費や河川改修費、砂防事業費など、防災、減災に資するものが多く、また国の補助事業を補完する際にも、この県単独公共予算が使われています。しかし、この県土整備部の県単独公共予算は、二〇一七年度から始まった財政改革プランによって、ほかの事業費と同じく削減対象になっています。具体的には、本県で初めて大雨特別警報が発令された二〇一七年度は二百六十二億六千三百万円余、その後毎年一貫して減少が続き、来年度は二百三十七億五千七百万円余と、実に六年間で全体の一割に当たる二十五億四百万円余も減少する見込みです。  知事は選挙公約で、防災、減災、県土の強靱化に全力で取り組みますと掲げ、今回の予算のテーマの第一にも命を入れています。しかし、その公約やスローガンとは裏腹に、服部知事として初めて編成する予算案でも、これまでの財政改革プランと同じく、今までどおりの削減が踏襲されています。  そこで四点目に、こうした財政改革プランに基づく削減が、知事が表明されてきたことと矛盾しないのかお聞きします。その上で、当分の間、県単独公共予算については、財政改革プランから除外すべきではないのか、知事の認識をそれぞれお聞きいたします。  次に、十六か月予算の在り方についてお聞きします。知事は、今回の予算案の説明において、切れ目ない十六か月予算という表現が使われています。しかし、本来予算は地方自治法第二百八条第二項において、単年度主義の原則が取られており、繰越明許費や債務負担行為などは、あくまでも単年度主義の例外として存在すべきものとなっています。この単年度主義は、財政に対する民主的コントロールを確保する上で極めて重要な制度です。そのような中、近年、本県でも十四か月予算という表現が度々使われるようになり、今回は十六か月予算という表現に変わっています。来年度予算案を見ると、本来当初予算で計上されるようなものも十二月補正、二月補正に計上されているようです。そのこと自体は、県財政の観点において一定の意味があるとは思いますが、歳出予算を事実上複数年度化することにもつながりますし、法の趣旨から逸脱しないか、仮に来年度に実施される主要施策が補正予算として前倒しされるのであれば、当初予算を審議するために特別に設置される予算特別委員会の審議対象外となってしまい、それでよいのか懸念されます。  五点目に、単年度主義の原則において、十六か月予算は、これまで述べた懸念点を解消しなければならないと思いますが、財政規律等の観点も含め、知事の認識をお聞きします。  次に、行政改革大綱及び財政改革プランについて、とりわけ職員配置の在り方についてお聞きします。福岡県行政改革審議会答申では、一九九九年度以降、知事部局では約二六%、教員を除く教育委員会では約三一%の職員を削減し、人口当たりの職員数は、政令市を有する府県において少ないほうから五番目であること、現在の行革期間における職員数の推移は全国的には増加傾向であるものの、福岡県では横ばいとなっていることが示されています。しかし、現状をひもとくと、新型コロナウイルスの対応では、二百時間を超える残業を強いられている県職員がいること、過去最大を更新した新年度予算に対応すべく膨大な業務に従事しなければならないこと、高齢化や少子化の進行など、多様化、複雑化する行政需要に対応しなければならないこと、そして教育委員会においては、目まぐるしく変わる教育環境の整備に対応しなければならないことなど、様々な場面でそれらを担う県職員が足りないという切実な声を聞きます。  そこで六点目に、二〇一七年度から二〇二一年度までの現計画では、五年間で知事部局の百名削減、教育委員会では二十名削減を掲げていましたが、今回提案される次期計画において、人員問題をどのように対応されるのかお聞きします。  七点目に、県職員の配置については、昨年十二月定例会における我が会派の代表質問において、感染症対策業務に従事する保健師を十三名増員すると表明したように、今後はこれまで述べてきた課題に県行政として向き合うため増員が必要だと思いますが、次期計画においてどのように取り組んでいかれるのかお聞きします。  次に、コロナ対策予算についてです。新型コロナ対策は、実に三年目に入りました。新型コロナ対策の具体的施策については、後ほどただしてまいりますが、この項では新型コロナ関連予算の在り方についてただしたいと思います。過去編成された新型コロナ地方創生臨時交付金を活用した予算案を見ると、その執行率には大幅な差があります。例えば、商工部所管の福岡県感染拡大防止協力金は執行率六五・一%、保健医療介護部所管の飲食店等感染防止対策調査費は五六・二%と、四割から五割が未執行の見込みとなっています。  そこで八点目に、なぜそのような状況になったのかをお示しいただき、今回の予算案で同様のことが起きる懸念はないのか、しっかり新型コロナで苦しむ県民、事業者に行き届く予算案になっているのか、それぞれお伺いします。  また、現在新型コロナ対策の最前線を担う保健所についても、我が会派は何度も知事にその充実をただしてきました。九点目に、具体的にどのように反映されているのか、お聞きします。  次に、ジェンダー主流化についてお聞きします。ジェンダー主流化については、一九九五年の第四回国連世界女性会議、いわゆる北京会議において初めてその概念が明記されたことをきっかけに世界に広まりました。一九九七年の国連経済社会理事会において、ジェンダー主流化とは、あらゆる領域、レベルで、法律、政策及びプログラムを含む全ての企画において、男性及び女性へ及ぼす影響を評価するプロセスであり、女性と男性がひとしく利益を得て、不平等が永続しないようにするために、男性のみならず、女性の関心と経験が全ての政治的、経済的、そして社会的な領域における政策とプログラムを企画、実行、モニタリング及び評価する際に不可欠な次元にするための戦略で、その究極の目標はジェンダー平等を達成することであると定義されています。OECDでも、二〇二〇年にジェンダー主流化作業部会が設けられ、日本を含むOECD加盟各国で意見交換が行われるなど、ジェンダー主流化は世界的な潮流でもあります。つまり知事が政策集でも掲げたジェンダー平等の福岡県の実現には、政策全般に関わる全ての領域、政策分野にジェンダーの視点を入れていくジェンダー主流化が欠かせません。  そこで一点目に、ジェンダー主流化に対する知事の認識をお聞きします。  次に、具体的な政策への反映についてです。昨年六月定例会の我が会派の代表質問において、知事はジェンダー平等の理念の政策への反映について、私をトップとし、各部長を構成員とする男女共同参画推進会議において、他の自治体の先進的な取組も共有し、名称の使用も含め本県の政策への反映について検討してまいりますと答弁されました。また、昨年九月定例会でも、知事は総合計画策定に当たって、ジェンダー平等の施策の充実強化に取り組むと言及しています。  そこで二点目に、総合計画案及び新年度予算案において、どのように反映したのか、知事の思いも含めてお聞きします。  次に、名称変更についてです。先ほど申し上げたように、昨年六月定例会において、知事はジェンダー平等の名称使用について言及しています。  そこで三点目に、ジェンダー平等の名称使用について、具体的にどのように検討を行ったのか。その上で、組織や施策などでジェンダー平等を銘打ったものへの変更について、今後どのように行うつもりなのか、それぞれお聞きします。特に、現在進行中の第五次男女共同参画計画は、ジェンダー平等を進めるに当たって最上位の計画になると思います。本計画の名称変更こそが、ジェンダー平等を推し進める知事としての思いを県民に伝える最も象徴的なものになると思いますが、いかがでしょうか、知事の見解をお聞きします。  新型コロナウイルス感染症対策についてお聞きします。二〇二二年の年明けから新型コロナウイルスの新たな変異株によって、全国的に第六波の感染が爆発的に広がり、本県でも二月五日には五千六百人という陽性者を記録しました。これに先立ち、我が会派は急遽二月三日に服部知事にコロナ対策に関する緊急提言を行ったところです。また、二月二十日までとされていた蔓延防止等重点措置の期間が三月六日まで延長されました。終息の兆しの見えない状況に、多くの県民、事業者は疲弊しています。県としても最大限の努力を傾注されているのは重々承知しておりますが、この厳しい状況を乗り越えるため、一層の取組を求める立場から、以下質問いたします。  まず、自宅待機者への支援についてです。一月から爆発的に感染が拡大した中で、陽性者の自宅待機者は、最大で二月十一日に五万一千五百六十一人となりました。これは県民の百人に一人に相当する深刻なものになっています。また自宅待機を強いられている陽性者の濃厚接触者は、優にその数倍いると思われ、多くの県民が不自由な生活を強いられています。我が会派は、自宅待機者への支援について幾度となく質問し、知事は在宅者の生活支援を希望する市町村へ陽性者の自宅待機者の情報提供を実施しました。その方々に対し、これまでもレトルト食品の送付を県として行っています。  そこで一点目に、県が行っている自宅待機者への生活支援以外に、市町村独自で生活支援を行っている自治体は県内にどれほどあるのか、具体的な中身も含めお示しください。  二点目に、自宅待機者の生活支援は、県が単独で行うには負担も大きく、もはや非効率であると思います。この際、情報提供だけでなく、県が行っている生活支援を市町村にも役割分担してもらい、市町村が独自に行っている生活支援と併せて、より充実したものにすることが肝要であると考えます。県内市町村への生活支援全般の移管について早急に調整すべきと考えますが、知事の考えをお聞きします。  次に、コロナ禍における労働者支援について質問します。長期間に及ぶ新型コロナの影響で、とりわけ非正規雇用労働者など不安定な労働環境にある方々の悲痛な声を我々もいただいています。県としては、さらなる個人向け支援を進めていくべきだと思います。このことに関しては、国の制度として、コロナの影響により休業させられた労働者のうち、休業手当の支払いを受けることができなかった方向けの新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金や、コロナの影響による小学校等の臨時休校などに伴い、子供の世話を行うために仕事を休まざるを得ない保護者の休暇中の賃金相当額を事業主に助成する小学校休業等対応助成金があります。これらは事業主が申請への協力などを拒否した場合でも、個人が厚生労働省に対して直接申請できる制度であるにもかかわらず、周知ができていないために、利用が進んでいないという問題があります。  そこで三点目に、厳しい状況に置かれている非正規雇用労働者をはじめ、広く福岡県内の労働者に、これらの国の制度を知ってもらうことが重要であると思います。県として広報紙への掲載やホームページへの記載をするのみならず、市町村に対しても同様の取組を行ってもらうよう働きかけることで、積極的に周知していく必要があると考えますが、知事の考えをお聞きいたします。  次に、コロナ禍における障がいのある方々への支援についてお聞きします。コロナ禍によって、障がいのある方々も極めて厳しい生活を強いられています。とりわけ重度の障がいをお持ちの方は、感染によってさらなる重度化が心配されますし、障がいのある方が宿泊療養施設を利用可能なのか、細かい情報が届いていないとの指摘があります。また相談窓口の一部では、障がい者の対応が不十分のところも見受けられます。  そこで四点目に、特に重度の障がいのある方が陽性者となった場合、どのように対応しているのかお聞きします。また相談窓口や宿泊療養など、コロナ感染症対策全般において障がいのある方の相談に円滑に対応できるようにするなど、障がい者への合理的配慮を行う必要があると考えますが、このことに対する知事のお考えをお聞きします。  次に、教育現場の対策について、教育長にお聞きします。小中高校では、感染拡大により一月から学級閉鎖などが相次ぎ、十分な教育を受けられない深刻な状況が続きました。  そこで五点目に、長期間の自宅待機などを余儀なくされた児童生徒に対し、学習機会はどのような形で確保されているのかお聞きします。  また県立高校入試が迫っている中、高校受験についても、大学入試同様に陽性者、濃厚接触者の受験生に対する最大限の配慮が必要だと思いますが、どのような方針なのかお示しください。  パートナーシップ宣誓制度についてお聞きします。昨年九月定例会の代表質問で我が会派の中嶋議員が、本県におけるパートナーシップ宣誓制度の導入についてただしたところ、知事は、制度の導入に向けて検討を進めると表明され、本年一月二十五日にはパートナーシップ宣誓制度の導入が正式に表明されました。なお、本日三月一日から予約受付が開始されています。このことは性的少数者の皆様にとって大きな希望となるとともに、知事の掲げるジェンダー平等の推進にも資するものとして高く評価したいと思います。  そこで一点目に、この制度を導入するに当たっての知事の意気込みを披瀝していただき、その上で制度の概要についてお示しください。  二点目に、パートナーシップ宣誓制度の周知、理解促進に関する方策についてお聞きします。この制度をより多くの方に利用してもらうためには、性の多様性に対する理解とともに、本制度の周知及び理解促進が欠かせません。そこで県は、周知、理解促進に具体的にどのように取り組むのかお答えください。県民全体に広く届くような取組を期待します。  三点目に、本県がパートナーシップ宣誓制度を導入した際に、民間で利用できるサービスの拡充についてお聞きします。本県がパートナーシップ宣誓制度を導入すると、それに準じた形で民間の各種サービスを受けることが可能になると考えられます。具体的には賃貸契約や携帯電話などの各種契約において、家族関係にある方々に適用される優待サービス等がそれに当たります。そこで、これらの民間サービスについてもできるだけ拡充していくことが望ましいと考えますが、県としては民間企業に対してどのような働きかけを行っていくつもりなのか、具体的にお示しください。  四点目に、パートナーシップ宣誓制度のさらなる充実についてお聞きします。パートナーシップ宣誓制度は、全国六府県で、もう既に運用が始まっています。そのため本県のパートナーシップ宣誓制度は、これらの自治体の制度を上回る、充実したものであることが期待されています。しかし、具体的に見ると、他自治体では導入されている制度のうち、本県では導入予定がないものもあるようです。そこで、他自治体で導入済みのものに関しても、本県として積極的に導入できるよう、当事者の声なども集めながらしっかりと取り組むべきだと思いますが、知事の認識をお聞きします。  五点目に、県内市町村との連携についてお聞きします。県内で既にパートナーシップ宣誓制度を導入している福岡市、北九州市、古賀市では、パートナーの居住地によって認定要件が異なるなど、必ずしも同じサービスが受けられるとは限らないのが実態です。そういった違いも網羅した上で、本県のパートナーシップ宣誓制度を適用することで、全ての市町村において同等のサービスが受けられるように充実させていくことが重要であると考えます。そこで、本県のパートナーシップ宣誓制度を全体としてリーダーシップのあるものへと昇華させ、全ての市町村に本県のパートナーシップ宣誓制度を適用してもらうために、県は既に導入済みの市も含め、市町村とどのように連携をし、どのように働きかけていくのか、知事の認識をお聞きします。  知事の答弁を期待しております。(拍手) 13 ◯副議長(仁戸田 元氣君) 服部知事。 *知事答弁 14 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  まず、新年度予算案の三つのキーワードを、命、成長、安心とした理由についてでございます。命について、現在の新型コロナウイルス感染症、五年連続で発生しております大雨災害などから、県民の皆様の命と生活を守っていかなければならないと考えております。成長につきまして、私は、これからの福岡県の発展を担っていくのは人であり、人こそが宝であると常々申し上げております。夢にチャレンジする青少年を応援し、産業、経済、スポーツ、文化芸術など様々な分野で活躍する人材を育成し、産業を育て、福岡県を飛躍、成長させていきたいと考えております。安心につきまして、大人も子供も全ての人の人権を守り、県民の皆様が安心して、たくさんの笑顔で暮らしていける、そんな社会をつくっていきたいと考えておるところでございます。私は、今回の予算を福岡県の未来に向け新しい一歩を踏み出す予算にしたいと考えたところでございます。この予算を生かし、県民の皆様と手を携えて、未来への扉を開いていきたいと思います。  次に、県立高校における一人一台タブレットの整備についてお尋ねがございました。現在デジタル化の進展と新型コロナウイルスの感染拡大に伴いまして、小中学校では一人一台端末の整備が急速に進み、大学におきましても自分専用のパソコンが学生にとって不可欠な学びのツールとなっております。また教育委員会においては、生徒所有のスマートフォンによるBYOD方式を検証いたしました結果、スマートフォンでは共同作業や資料作成が不便であるなどの課題がありますことから、一人一台タブレット型パソコンの整備が必要であるという判断がなされ、予算要求があったところでございます。私といたしましても、次代を担う人財の育成に向けて、県内どの地域においても充実した教育が受けられるよう、県立高校における一人一台端末環境を速やかに整えるべきと考え、必要な予算を提案させていただいたものでございます。  次に、防災、減災への取組についてでございます。防災、減災の取組につきましては、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策や、それに続きます五か年加速化対策、これらに係ります国の予算を最大限活用し、昨年度及び本年度の補正予算において必要な予算を計上し、事業を進めておるところでございます。財政改革プラン二〇二二では、県債残高の圧縮を図りますため、県単独公共事業費を毎年度二%程度抑制するということといたしておりますが、県費負担が少なく、財源面で有利な補助、交付金事業をできるだけ活用いたしますことによりまして、必要な事業規模を確保してまいります。令和四年度予算におきましては、この財政改革プラン二〇二二の考え方に基づきまして、補助、交付金事業の確保と県単独公共事業の重点化を行い、防災、減災、県土強靱化のために必要な公共事業をしっかりと実施をしてまいります。  次に、十六か月予算についてでございます。このたびの予算編成に当たりましては、令和四年度当初予算と国の経済対策を最大限活用いたしました令和三年度二月補正予算を一体的に編成をいたしました。これに昨年のうちに着手すべき経済対策として御議決をいただきました十二月補正予算を合わせまして、十六か月予算として一体的に運用をし、来年度にかけて切れ目なく対策を実施をしてまいります。それぞれの予算につきましては、国の有利な財政措置を最大限活用しながら、対策ごとの効果的な着手時期を見極め、会計年度独立の原則に基づきまして編成をしたところでございます。このうち令和三年度十二月補正及び二月補正では、道路、河川の整備やプレミアムつき地域商品券の発行支援など、特に早急な実施が必要な対策に係る予算を計上し、必要な繰越明許費につきましても御議決をいただいたところでございます。これによりまして、会計年度間で谷間をつくることなく、切れ目なく、これらの施策を実施することが可能となるわけでございます。このように地方自治法上の財務に関する制度を最大限活用いたしますことで、十六か月予算の効果を速やかに発揮をさせてまいります。  職員配置の在り方についてお尋ねがございました。次期行政改革大綱におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や少子、高齢化の進行、頻発する大規模災害への対応など、複雑、多様化いたします行政課題に対し適切に対応するための人員を確保していく必要がございますことから、職員数の削減目標は掲げないことといたしました。一方で、そうした中でも職員数の肥大化を招くことのないよう、常に効率的な人員体制の整備に努めていかなければなりません。このため事務事業の見直しやデジタル技術の活用等による業務の効率化、アウトソーシングに取り組むとともに、強化すべき分野につきましては、重点的な職員配置を進めますなど、スクラップ・アンド・ビルドを徹底し、適正な職員配置に努めてまいる考えでございます。  新型コロナ対策予算についてでございます。本県では、国の臨時交付金を活用しまして感染拡大防止、事業継続の支援、地域経済の活性化に取り組んでまいりました。これらの予算を計上するに当たりましては、できる限り実績を踏まえて正確に見込むよう努めてまいったところでございます。御指摘がございました感染拡大防止協力金につきましては、この給付額の基準となりますそれぞれの飲食店の売上高、この売上高が不明でございましたために、国の統計データを活用して見込んでおりました。しかしながら、実際にはデータに比べまして、売上高が低い事業者が多くいらっしゃいましたため、給付額が見込みを下回ったものでございます。その後は、こうした乖離も反映いたしました上で、所要額を見込んでいるところでございます。十六か月予算におきましても、新型コロナ危機を克服するための様々な施策について、必要とする方々に支援が行き渡るよう十分な予算を措置したところでございます。こうした施策を十分に活用していただけますよう、県のホームページをはじめ様々な媒体を通じて、引き続き周知に努めてまいります。  次に、保健所の充実に係る予算についてでございます。来年度も引き続き保健所の体制強化に取り組むことといたしておりまして、感染症対策業務に従事する保健師十三名の増員や、疫学調査等に従事する会計年度職員九十七名の任用、健康観察等に従事する人材派遣及び市町村保健師の受入れに要する経費などの予算を本議会に提案をさせていただいております。加えまして、保健所業務の負担軽減のため、引き続き自宅療養者の休日、夜間等の相談業務や看護師の自宅療養者訪問による健康観察業務、陽性者の搬送業務、こういった業務につきまして、外部委託することとし、これらに要する経費を提案させていただいております。このようなことにより、保健所における新型コロナ対策の充実を図ってまいりたいと考えております。  次に、ジェンダー主流化に対する認識についてお尋ねがございました。ジェンダー平等の福岡県を実現いたしますためには、県のあらゆる政策分野におきまして、男女の置かれている状況を客観的に把握、分析した上で、政策を企画、立案し、施策を実施していくことが重要でございます。このため職員がジェンダー平等の視点を持つことが必要でございまして、今年度は幹部職員を対象に、外部有識者によるジェンダー視点の政策決定などに関する研修会を開催をいたしました。また、性的少数者の方による実体験を交えた講義と意見交換を行い、性の多様性や当事者の方の置かれている状況についてのお話を伺ったところでございます。来年度は、幹部研修に加え課長補佐等を対象に、地域や働く場などにおきますジェンダー問題をテーマに、具体的な事例を用いて課題の把握、分析を行い、解決に導く能力を向上させる研修を新たに実施することといたしております。  次に、ジェンダー平等の理念の具体的な政策への反映についてお尋ねがございました。誰もが社会のあらゆる分野で自分に合った生き方を選択し、個人として持つ能力を発揮できる社会、この実現にはジェンダー平等の推進が重要でございます。そのため次期総合計画では、県民の意識改革や性の多様性に関する理解を促進いたしますとともに、教育、産業、スポーツなど様々な分野において、ジェンダー平等の視点を盛り込んだ施策に取り組んでいくことといたしております。来年度予算案におきましては、新たに経済分野におけるジェンダーギャップの解消を目指しまして、多様な働き方が普及しておりますIT産業において女性が活躍できる仕組みをつくる。農業経営改善計画の作成や新たな品目の生産に必要な資材等の導入を支援しまして、女性認定農業者を育成する。新たに導入するパートナーシップ宣誓制度及び性の多様性についての啓発を進める。このような取組に要する経費をお願いをしているところでございます。  次に、ジェンダー平等の名称使用についてでございます。男女共同参画は、ジェンダー平等と目指すところは同じではありますが、ジェンダー平等に対する認知と理解が徐々に広がっておりますことから、名称について、男女共同参画審議会の委員の皆さんや性的少数者の方々の御意見を伺ったところでございます。男女共同参画という名称は、性別を男女に限定した印象を与えるという御意見もある一方で、男女共同参画を使用しないと、男女間の格差が解消したという誤った認識を持たれるという御意見もございました。このようなことを踏まえまして、次期総合計画では、ジェンダー平等・男女共同参画の推進を施策として掲げますとともに、ジェンダー平等の名称を使用した新たな事業を構築いたします。また庁内の推進組織の名称を、ジェンダー平等・男女共同参画行政推進会議に改めます。なお、男女共同参画計画につきましては、法令に基づく計画でございまして、また依然として存在いたします男女間の格差の改善、これを目指すことを示しますため、現計画は現在の名称を使用してまいります。  次に、新型コロナウイルス感染症対策として、市町村による自宅療養者等への生活支援についてお尋ねがございました。現在県内では、県による生活支援に加えまして、四十四の市町村がより生活に密着した生活支援を実施していただいております。具体的には、二十三の市町が県が対象としていない濃厚接触者等への食料品の配送、十八の市町が買物の代行、二つの市が定時の配食サービスを実施しておられます。このほか、ごみ出しや薬の受け取りの代行、地域の特産品の配付、困り事全般の支援などを実施している市町村もあります。  生活支援事業の市町村との役割分担についてでございます。市町村は、住民にとって身近な存在でありますために、陽性となった方の中には、そのことを市町村に知られたくないという方もいらっしゃいます。このようなことを踏まえますと、県が生活支援を行うことも必要であると考えております。一方で、県が実施しております生活支援を踏まえて、市町村が買物あるいはごみ出しの代行といった、より生活に密着した取組を行いますことによりまして、自宅療養者の方の生活支援を充実させることができると考えております。このため市町村の副市町村長会議を活用いたしまして、実施していらっしゃる市町村の事例を紹介をし、こうした取組が広く行われますよう働きかけを行ってきたところでございます。引き続き、取組を行っていない市町村には個別に訪問をいたしまして働きかけるなど、生活支援の充実に努めてまいる考えでございます。  次に、国の休業支援金等の労働者への周知についてお尋ねがございました。コロナ対応休業支援金・給付金や小学校休業等対応助成金につきましては、これまで実施主体でございます国のみならず、県といたしましても、ホームページやSNSでの情報発信を行いますほか、県の労働者支援事務所におきまして、相談者に対し制度の説明あるいは国のコールセンターの紹介を行っております。先月九日には、両制度のさらなる周知を図りますため、市町村宛てに県と国の福岡労働局との連名で、ホームページや広報紙への掲載、SNSでの情報発信、公共施設へのチラシの配架などによる周知、広報を依頼したところでございます。小学校休業等対応助成金につきましては、事業主から休業の事実確認が得られていない場合でも、労働者の方が申請できるように運用の改善が図られたところでございます。保護者の皆様にそうした情報をお届けするため、先月十四日、市町村に対し小学校、保育所、放課後児童クラブ等の関係機関への周知を依頼したところでございます。今後とも、福岡労働局や市町村と連携をしまして、労働者の皆様へ必要な情報をお届けできるよう周知を徹底してまいります。  次に、障がいのある方への対応についてお尋ねがございました。重度の障がいのある方につきましては、症状がある場合は入院を、軽症、無症状の場合は自宅や、現在入所されていらっしゃいます施設での療養をお願いをしておりまして、その際、必要に応じ保健所から感染対策についての指導を行っているところでございます。障がいのある方からの相談に対しましては、ホームページの音声読み上げソフトの活用やファクスでの相談を受け付けておりまして、陽性となった場合の宿泊療養に当たりましては、療養生活の留意事項についての筆談による説明や、あるいは入所されるときに職員が同行いたしまして室内設備の確認などを行っております。引き続きまして、これまでの対応を点検し、障がいのある方が円滑に相談できるよう、また陽性となった場合に安心して療養生活を送っていただくことができますよう、その方の障がいの特性に応じた合理的な配慮を行ってまいります。  次に、パートナーシップ宣誓制度についてでございます。性的少数者の方々への偏見や差別をなくし、社会生活上の障壁を取り除くことによって全ての県民の人権を守り、安心して生活できる、そのような福岡県にしたいと考えまして、四月一日からパートナーシップ宣誓制度を導入することといたしました。今回県が導入することで、これまで制度を導入していない市町村にお住まいの方でも、パートナーシップを宣誓できるようになります。この制度が利用できますのは、双方または一方が性的少数者であるカップルでございます。日常生活において相互に協力し合い、人生を共にすることを誓うパートナーシップ宣誓書に署名し、県に提出していただきます。県から交付いたします宣誓書受領証、この受領証を示すことによりまして、県営住宅や県住宅公社の賃貸住宅の入居申込み等ができるようになります。  この宣誓制度の周知と性の多様性についての理解促進についてでございます。まず、私自ら、一月二十五日に記者会見を行いまして、宣誓制度導入の目的や内容、実施時期を発表をいたしました。また各戸配布広報紙「福岡県だより」の三月号で、宣誓制度を開始することや性の多様性について当事者の声も取り入れた記事を掲載したところでございます。今後も県民の皆様に宣誓制度を知っていただき、性の多様性への理解を深めていただけるよう啓発ポスターやチラシを公共施設に配布いたしますとともに、啓発動画を作成しまして、街頭ビジョンや映画館で放映をしてまいります。  次に、民間事業者への働きかけについてでございます。性的少数者の方々の意見や要望を踏まえまして、現在、福岡県宅地建物取引業協会を通じ、不動産業者に対しカップル向け賃貸住宅情報を提供していただくよう、また県医師会を通じ、医療機関に対し病状説明や手術の同意等の対象者として認めていただくよう、それぞれ協力要請を行っております。このほか生命保険や銀行の住宅ローン、携帯電話の家族割など、業界でも独自に性的少数者へのサービス導入が進んでおります。県といたしましても、こうした取組例を紹介しながら、広く民間事業者に対する説明会を実施をいたしまして、性の多様性への理解促進、そして利用可能なサービスの拡充に努めてまいります。  利用できる県の行政サービスについてお尋ねがございました。今回決定をいたしました本県の行政サービスは、当事者の方々の意見や要望を基といたしまして、有識者で構成いたします福岡県人権施策推進懇話会にお諮りしました上で、県営住宅、県住宅供給公社の賃貸住宅の入居申込み、県立太宰府病院での病状説明や治療方針の同意、生活保護の申請、障がいのある方に対する自動車税の減免申請、この四サービスといたしました。今後とも他県の導入事例も参考にいたしながら、当事者の方々のニーズの把握に努めてまいりたいと考えております。  次に、県内市町村との連携についてでございます。既にパートナーシップ宣誓制度を導入していらっしゃいます福岡市、北九州市、古賀市の三市とは、例えば、市の宣誓書受領証で県営住宅の申込みができる、県の宣誓書受領証でそれぞれの市営住宅の申込みができるといった相互利用について、四月一日の開始に向け協議を進めておるところでございます。また先月、県内全ての市町村に対するウェブ説明会を実施をいたしまして、県の制度の説明を行いました。併せまして、市町村の公営住宅の申込み、公立病院での病状説明など、行政サービスの提供を要請いたしますとともに、それぞれの市町村がいつから、どのような行政サービスが提供できるのか、現在照会を行っているところでございます。今後は、市町村が提供するサービスの情報を取りまとめまして、これを全ての市町村と共有し、さらなる拡充につなげてまいる考えでございます。 15 ◯副議長(仁戸田 元氣君) 吉田教育長。 *教育長答弁 16 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 県立高校の一人一台端末整備に関わるBYOD方式の検証結果についてでございます。今年度、県立高校九校において、生徒所有のスマートフォンを使った、いわゆるBYOD方式による教育活動の検証を行いました。検証結果として、ふだん使い慣れた端末であることから、操作やインターネットの検索、閲覧がスムーズにでき、生徒の学びの方法が広がり、授業に対する積極性が向上したなどの成果がありました。一方で、スマートフォンは画面が小さいため、グループ学習での情報共有や共同作業が不便であったり、キーボードがないため小論文の作成やプレゼンテーション資料の作成などに支障があるなどの課題が明らかとなりました。これらの結果を踏まえ、スマートフォンではなく、一人一台のタブレット型パソコンの整備が必要と判断したところでございます。  県立学校におけるICT支援員の配置やソフトの整備についてでございます。ICT支援員につきましては、今年度から国が配置目標としている四校に一人の割合で、全県立学校に配置をしております。併せてヘルプデスクを設置をし、教員がいつでも電話やメール相談ができる体制を整えます。また今回導入予定のタブレット型パソコンには、インターネット接続をはじめ教師と生徒が情報をやり取りする機能や文書作成、表計算、プレゼンテーション資料作成などの機能を有するオンライン教育ソフトが装備をされており、現時点ではソフトの整備は必要ないものと考えております。  次に、コロナ禍における児童生徒に対する学習機会の確保及び高校入試における受験生への配慮についてでございます。児童生徒が登校できない状況においては、ICTを活用した同時双方向型のオンライン指導、授業動画の配信、学習支援ソフト等を活用した学習やプリント等の配付など、多様な方法により学習機会の確保が図られております。県教育委員会としましても、各学校の取組を支援をするため、効果的な指導事例の周知に努めてまいります。  高校入試におきましては、新型コロナウイルスの罹患等により、三月八日の学力検査を受験できなかった場合は、三月二十二日の追検査を受験することができ、さらにその追検査も同様の理由により受験できなかった場合は、四月初旬までに行われる追選抜を受験することができることとしております。また、濃厚接触者として特定された場合も、入試当日に無症状である場合は別室で受験できることとしており、可能な限り受験生への配慮を図っております。 17 ◯副議長(仁戸田 元氣君) 渡辺美穂君。 18 ◯二十六番(渡辺 美穂君)登壇 それでは、二点再質問、一点要望をいたします。  県単独公共事業について、知事に再質問いたします。知事は、県単独公共事業の重点化を行うと答弁されましたが、既に来年度予算は、二〇一七年度比で約一割の二十五億円も減っています。その上で、さらに減額すれば重点化もできない状態に陥るのではないでしょうか。  そこで一点目に、次期財政改革プランにおいて県土整備部、県単独公共事業の予算配分の増減について明確にお示しください。  二点目に、今後減額を続けた場合、再来年度以降、防災、減災に関わる県単独公共事業に影響はないのかも、併せてお答えください。  なお、この県単独公共事業は、防災以外にも道路の簡易な補修の依頼や草刈りといった要望にも応える予算でもあります。県土整備事務所に寄せられる地域要望において最も多いのは、県単独公共事業に関わるものであることを、知事は御存じであるはずです。このことにも今回の答弁は大きな影響を及ぼします。県民の要望にしっかり応えるための十分な予算を確保することを要望いたします。  次に、職員配置の在り方について再質問いたします。先ほど知事は、職員数の削減目標は掲げないとの答弁でしたが、今回掲げてある財政改革プランを見ると、人件費について、今後五年で二十四億円削減することを明記しています。結局は、職員数の削減は明記しなくても、金額面で実質的に明記しているのと同じではないかと危惧いたします。  そこで、財政改革プランにおける収支見通しにおいて、人件費が削減となっていることについて、職員削減を行うことを前提としたものになっていないのか、また人件費計算はどのような根拠に基づくものなのか、またその上で増員はあり得るのか、それぞれお答えください。  ジェンダー主流化に関して、知事に要望します。まず、現男女共同参画計画は、現在の名称を使用していくとのことでした。ということは、次期計画については十分検討いただけるものと思います。政策組織体制において、名称の使用も含め、引き続き検討、実施を強く要望いたします。  来年度以降、事業においても具体的にジェンダー平等の名称が使用され、いよいよジェンダー平等に向けた知事の取組が本格化する年になります。ジェンダー平等の理念を広く県民に知っていただく、そして理解を深めていただくためにも、知事が先頭に立って県の施策のあらゆる場面でジェンダー平等を使用し続けていただくことを、併せて強く要望いたします。  それでは、回答をお願いいたします。 19 ◯副議長(仁戸田 元氣君) 服部知事。 20 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 お答えを申し上げます。  まず、防災、減災に関わる予算についてでございます。財政改革プラン二〇二二における県土整備部の県単独公共事業費でございますが、これは令和三年度の当初予算と比べますと、最終年度では二十二億円減少する見込みでございます。  また重点化ということについてお尋ねがございました。重点化といたしまして、公共インフラ施設の長寿命化やコストの縮減などを図りながら、防災、減災、県土強靱化を着実に進めるために必要な予算を確保することといたしております。今後も県債残高の圧縮を図りますため、県単独公共事業費を抑制していく必要があるわけでございますが、先ほど御答弁申し上げましたとおり、財源面で有利な補助、交付金事業の確保、県単独公共事業の重点化を行いまして、防災、減災、県土強靱化のために必要な公共事業をしっかりと実施してまいる考えでございます。  次に、職員配置の在り方についてお尋ねがございました。財政改革プラン二〇二二では、令和四年度の職員数を基にいたしまして、今後の退職者数の減少に伴います退職手当の所要見込額の減、そして災害復旧事業の終了や児童相談所、保健所の機能強化など、現時点で見込まれます職員数の増減を反映させて人件費を推計をいたしております。先ほど申し上げましたとおり、次期大綱におきましては、複雑、多様化する行政課題に対応するための人員を確保していく必要がございますことから、職員数の削減目標は掲げないことといたしました。一方で、そうした中でも職員数の肥大化を招くことのないよう、常に効率的な人員体制の整備に努めていかなければなりません。このためスクラップ・アンド・ビルドの観点から事務事業の見直し、またアウトソーシングなどに取り組みますとともに、強化すべき分野につきましては重点的な職員配置を進めてまいる考えでございます。 21 ◯副議長(仁戸田 元氣君) 渡辺美穂君。 22 ◯二十六番(渡辺 美穂君)登壇 では、次に、建設アスベスト対策についてお聞きします。建設アスベストの繊維は、肺に吸い込むことで石綿じん肺や肺がんを起こす危険性があります。その潜伏期間は長く、中には四十年経過した後に発症する病気もあります。このアスベスト問題については、本県議会でも昨年二月定例会において、被害者救済や大気汚染防止法等に基づいたアスベスト対策の徹底に向けた取組強化に関する意見書を国に提出しています。建設現場でアスベストの暴露を受けた元作業員が肺がんになったことなどに対して、国と建材メーカーに賠償を求めた集団訴訟である九州建設アスベスト訴訟では、昨年十二月、国が謝罪した上で、原告五十二人に総額約三億五千万円余りを支払う和解が成立しました。また二月十日には、企業四社に対して合わせて一億二千五百万円余りの賠償を命じる最高裁判決が確定いたしました。我が会派としても、今回の判決を受け、国、企業に対し早期の解決と救済を強く求めていきたいと思っています。  そこで、建設アスベストの被害を再び起こさないための対策について、順次お聞きします。建設アスベストの処理、飛散対策については、大気汚染防止法の一部を改正する法律が成立し、昨年四月一日からは対象建材、作業基準、罰則の対象が拡大されました。また今年四月一日からは、八十平米以上の解体工事、もしくは百万円以上の建築物改修工事等において、都道府県等や労働基準監督署に対して、解体工事や改修工事における事前調査の義務づけが大きく強化されました。しかし、県内の建設業者の声を聞くと、その周知はあまり進んでおらず、このまま四月を迎えても、事前調査は全く進まないまま解体工事などが行われるのではないかと危惧をします。  そこで一点目に、四月を目前として、この改正大気汚染防止法の周知はできているのか、お聞きします。
     さて、吹きつけアスベストの使用が広く認められていた一九七五年以前の建築物、特に非木造建築物については、鉄筋の耐火被覆や配管の保温材、断熱材など、多くにアスベスト含有建材が使用されており、事実上ほとんどの建物に何らかのアスベストが存在すると言われています。一方、二〇二〇年度、建設リサイクル法に基づく解体届において、一九七五年以前の非木造建築物の状況を確認すると、アスベスト含有建材が含まれると報告されたのは百三十七件中四十八件、率にして三五%のみとなっています。先ほど述べてきたことを考えると、県はアスベストが含まれないとされた残り八十九件、六五%に対して、何らかのアスベスト含有建材の使用の可能性をチェックする必要があるのではないかと思います。しかし、現状を確認すると、県土整備事務所においては、建築年数から見て、アスベスト含有建材の使用を疑うべき建物に対しても策を講じておらず、また保健福祉環境事務所においては、建築年数自体の情報共有がされていないため、アスベスト含有建材の使用が濃厚な建築物であっても、使用していないと虚偽の届出をすれば、立入検査が事実上できない実態が見受けられます。確かに、アスベスト対策を担う大気汚染防止法などにおいて、その対策が不十分なため、県として取組を行っているのは承知していますが、結果として、本県のアスベスト対策の徹底には課題があったのではないかと言わざるを得ません。そして、このような監視の不徹底によって、多くの労働者にアスベスト被害を、いまだにもたらしているのであれば看過できるものではありません。この点は、知事に強く指摘したいと思います。ただ、先ほど述べた改正大気汚染防止法が成立し、県の対策強化が明確に規定されました。具体的には、飛散対策をせずにアスベスト含有建材の除去等作業を作業員に行わせた者への直接罰が創設されたほか、県による立入検査対象が拡大され、併せてアスベスト含有建材の有無の事前調査結果の報告が義務づけられます。このような中、環境行政として具体的に対策の強化を内外に示すべきだと考えます。  そこで二点目に、簡易にアスベストの有無を確認できるアスベストアナライザーは、現状県に一つあるのみとのことですが、これを全保健福祉環境事務所に早急に整備すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。  また三点目に、優先順位を決めて立入調査を行い、悪質な場合は毅然と対応するなど、アスベスト対策の徹底を図るべきです。知事の今後の取組をお聞きします。  次に、建物のアスベスト除去に対する補助制度の創設についてただします。国は、吹きつけアスベスト等の除去に対し、地方自治体が補助制度を創設した場合に、財源の一部補助を行うことになっています。既に福岡、北九州両政令市は創設していますが、本県では創設されていません。  そこで四点目に、全国の補助制度の導入状況についてお示しいただいた上で、本県としてアスベスト除去に関する補助制度を導入し、安全なアスベスト除去の推進を図るべきと思いますが、知事の所見を求めます。  この項の最後に、今後のアスベスト対策の強化に向けた知事の決意をお聞きします。アスベスト問題に関しては、昨年五月及び今年二月の最高裁判決、国の和解や謝罪、規制強化など一連の流れが進んでいます。また国土交通省の推計によれば、吹きつけアスベストなどを含む建築材料を使用している可能性がある鉄骨造、鉄筋コンクリート造の民間建築物の解体工事件数は、二〇二八年にピークを迎えるとされています。このような時期だからこそ、アスベスト対策に本気で取り組む姿勢を、国の対応に合わせ、知事として示すときだと思います。  そこで、環境行政を所管する県の立場で、広く県民に対してアスベストの危険性に関する理解、アスベスト廃棄等の場面でのルール等に関する正しい理解を広げ、啓発し、県民の命と健康を守るため、知事はどのように取り組むのか、強い決意も含めお聞きします。  木材の利用促進と少花粉杉への植え替え促進について質問いたします。  まず、木材の利用促進についてお聞きします。地球温暖化対策の一つとして森林による炭素固定があります。しかし、森林による二酸化炭素の吸収量は、高齢な木は若い木に比べ減少するということです。つまり成長が盛んな若い木を増やしていくことが重要であり、そのためにも、切って、使って、植えるという森林資源の循環利用を進めていくことが必要です。戦後植林された人工林が本格的な利用期を迎えている中、森林資源の循環利用を進めるには、さらなる木材の利用促進を図ることが必要であり、そのためには多くの木材を使用する構造材への利用が欠かせません。この構造材への利用については、二〇一八年二月定例会で、我が会派の冨田議員が、近年注目されている直交集成板(CLT)を利用した県有施設の建築について質問し、当時の小川知事は、県有施設の建築において、活用がどのように図られるか研究すると言及されています。昨年十月には、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律が改正され、名称も脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律に変わりました。同法は、これまでの公共建築物の木造化を建築物一般に拡大するとともに、国や地方自治体と事業者などによる建築物における木材利用促進のための協定制度、建築物木材利用促進協定を創設しています。しかし、残念ながらCLTを利用した県有施設は、いまだ一件もありません。  そこで一点目に、まずは計画的にCLTを活用した公共建築物を建築していくべきだと考えますが、知事のお考えをお示しください。その上で、民間においてもCLTを利用した建築物が広く普及されるよう、技術支援も含め取り組んでいく必要があると考えますが、知事の認識をお聞かせください。  続いて、少花粉杉への植え替え促進についてお聞きします。国民の四割が罹患し、国民的な病となっている花粉症は、その主な原因が杉、ヒノキと言われています。国でも、花粉の少ない杉やヒノキの品種開発を進めており、少花粉杉では百四十七品種、無花粉杉八品種、少花粉ヒノキは五十六品種が開発されています。また、国では十年後の二〇三二年度までに杉苗木の年間生産量に占める花粉症対策に資する苗木のシェアを七割までに増加させることを目標としています。花粉症で悩む県民にとっては、すぐにでも全ての苗木が少花粉杉、ヒノキになってほしいと願っているはずです。この点については、我が会派の会長でもある岩元一儀議員が何度も県議会で訴えてきており、当時の小川知事も植え替えの促進を繰り返し答弁されてきました。この答弁で、少花粉ヒノキについては、苗木生産の準備を進めており、苗木生産まで時間を要するとのことでしたので、今回は少花粉杉について質問をいたします。  そこで二点目に、本県では少花粉杉の植栽はいつから始められ、二〇二〇年度に植栽された杉の面積、植栽された少花粉杉はどの程度になっているのか、お聞きします。  三点目に、伐採後に杉を植栽するに当たっては、今後全てを少花粉杉に更新していくべきです。その実現のためにも少花粉杉苗を多く生産する必要があると考えます。県では、少花粉杉への植え替えについて、国と同様に目標を設定し、促進していくべきと考えますが、知事のお考えをお示しください。  高校教育の改革についてお尋ねします。二〇二一年一月の中央教育審議会答申、令和の日本型学校教育の構築を目指してでは、高等学校には多様な入学動機や進路希望、学習経験、言語環境など様々な背景を持つ生徒が在籍していること、高校生の学校生活への満足度や学習意欲が中学校段階に比べ低下していることなどの現状が示されています。そして今後の方向性として、設置者である県教育委員会には、各県立高校の存在意義、期待される社会的役割などを明確にするスクールミッションの策定が求められています。また各県立高校においては、育成を目指す資質・能力、教育課程の編成・実施、入学者の受入れに関する三つの方針について策定、公表すべきものとして、学校教育法施行規則の改正により義務づけられ、二〇二二年度から施行されます。そのほか普通教育を主とする学科の弾力化、大綱化、STEAM教育等の教科など横断的な学習の推進などが打ち出され、高校教育の改革が全国的に進められるべき課題であることが示されました。  我が会派では、先月十日にオンライン視察を実施し、このような高校教育改革の趣旨や動向等について、文部科学省の高等学校改革推進室長から直接話を聞いたところです。県議会においても、県立高校の在り方については度々取り上げられてきたところですが、昨年十二月定例会の一般質問では、我が会派の佐々木允議員が、地域と協働した県立高校魅力化の今後の取組について質問し、教育長からは、特に定員割れなどが課題となっている高校や、魅力向上に向けて地域との協働が重要と考えられる高校について、スクールミッションの地域との共有や地域の特色や課題を生かした科目の設定などを重点的に進めるとの答弁がありました。  まず、法令上の義務となっているスクールポリシーについてお尋ねします。現在、本県でもスクールポリシーの策定作業が進んでいるものと思われますが、今後県教育委員会と各高校が同じ方向を向いて改善、改革を進めていくために非常に有用なツールであると考えます。  そこで一点目に、本県の県立高校におけるスクールポリシーの策定がどのように進められているのか、またそれを活用して、県立高校の活性化、特色化にどのように生かしていくのか、教育長の所見をお伺いします。  次に、普通科改革についてお伺いします。中教審答申も指摘しているように、現在普通科に在籍している生徒は、全体の約七割以上を占めており、この割合は本県でも同様の状況と思います。このボリュームゾーンである普通科の改革こそが、中教審答申で示されたような課題の解消や新時代に対応した高等学校改革の本丸だと言えます。また小中学校においては、アクティブ・ラーニングや地域の資源を生かした学習など、社会に開かれた教育課程の推進が図られています。大学においても、社会や学生のニーズを踏まえた人材育成に向けて大学教育改革が進められているところです。一方で高校教育、とりわけ普通科は、普通という名称であるがゆえに、特色化、魅力化とは関係がないと思われ、これまで積極的な改革、改善の対象とならないまま、ここまで来ているという嫌いがあるのではないでしょうか。そのような中、文部科学省では、中教審答申を受けて学校教育法施行規則や高等学校設置基準等を改正し、これまで普通教育を主とする学科は普通科のみとしていたのを、普通科以外の特色、魅力ある学科を設置することも可能としました。具体的には、学際領域に関する学科及び地域社会に関する学科が設置基準上に明記されています。本県においても、ボリュームゾーンである普通科の在り方が弾力化された趣旨を踏まえて、こういった新しい普通科について積極的に検討を進めるべきと考えます。  そこで二点目に、県立高校の普通科の改善、改革について、教育長はどのような考えをお持ちなのかお尋ねします。  最後に、県立高校全体の今後の在り方についてお伺いします。ますます加速化していくデジタル化、少子化や過疎化の進行、高等学校教育に対するニーズの多様化など、高等学校教育を取り巻く環境の変化は、県立高校の在り方全体に影響を及ぼすものです。県立高校が将来にわたって期待される社会的役割を果たしていくためには、短期的、対症療法的な施策ではなく、中長期的な展望を持ちつつ、あらゆる手段を統合した多面的、体系的なアプローチが必要であると思います。各高校には、普通科、専門学科、総合学科という学科、あるいは全日制、定時制、通信制といった課程、さらには設置されている場所や規模などのほか、地域や学校の実情に応じて解決すべき固有の課題があるのではないでしょうか。各高校にはこのような様々な側面があることも踏まえつつ、今後の県立高校のあるべき姿について検討を行うとともに、改善、改革を確実に推進すべきと考えます。  そこで三点目に、県立高校の改善、改革方策を総合的に検討、推進する体制を速やかに整備すべきと考えますが、教育長の御所見をお伺いします。  また、教育行政に関しては、二〇一五年四月の法改正で教育行政における責任の明確化を図るとともに、知事と教育委員会の連携強化を図るため、知事による教育長の任命制度、そして知事と教育委員会が教育行政において重点的に講ずべき施策等について協議、調整を行う総合教育会議も創設されました。この制度には賛否両論ありますが、総合教育会議は、教育委員会のみの権限に属する事項についても協議することが想定され、双方が方向性を共有し、一致して執行に当たることが期待されるとされています。  昨年の知事選において服部知事は、第一の公約として、次代を担う人財の育成を訴え、具体的には夢に向かってチャレンジする青少年を応援すると書いています。そして、この公約実現を最も反映できるのは、県が設置した県立高校であると思います。今回文部科学省が求めている普通科改革は、戦後の新教育制度発足以来の歴史的な大転換です。また教育委員会が改革を進めるに当たっては、現在の各県立高校の魅力化が必要ですし、そのためには様々な予算が生じることが想定されます。  そこで、現在文部科学省が進めている高校改革の流れについて、本県高校教育の現状を踏まえ、どのように認識しているのか、知事にお伺いいたします。  次に、警察施設の老朽化対策についてお聞きします。本県内には警察署三十五か所、交番二百二十二か所をはじめ多くの警察施設があり、地域の安心、安全を守る拠点として非常に重要な施設です。しかし、県内の警察施設を見ると、築四十年を超える警察施設は、警察署で二五%、交番は三三%に上るとのことです。  そこで一点目に、このような警察施設の更新について、県警察として着実に行っていく必要があると思いますが、今後どのような更新を行っていくのかお聞きします。  また、今回予算案として提出されている田川警察署については、建設から五十一年経過した県内で最も古い警察署です。田川警察署は指定暴力団太州会の本拠地を抱え、治安上も重要な施設であり、地元田川市とも様々な協議がされたとお聞きしています。  二点目に、田川警察署のこれまでの経過も踏まえ、今後の整備方針についてお答えください。  次に、筑紫野古賀線の改良事業についてお伺いします。本事業は、一九九三年に当時の建設省から主要地方道に指定された全長三十三キロメートルの国道三号を補完する道路です。二〇〇三年、工事に着手され、二〇〇五年には沿線に九州国立博物館が開館し、アクセス道路としてもその重要性はますます高まっています。県議会においては、二〇一八年六月定例会に我が会派の代表質問、二〇二一年二月定例会に自民党県議団の代表質問で筑紫野古賀線整備について取り上げられるなどし、主要地方道として重要な役割を果たすことが大いに期待されているものの、十五年以上たっても工事が終了しないことに、私の地元太宰府では早期供用開始を求める声が大きくなっています。現在の工事区間一万一千八百六十メートルのうち、二〇〇八年以前から工事を開始している区間は三千八百メートル、そのうち二千二百メートルが太宰府市内となっており、進捗率は七四%です。残りの千六百メートルは進捗率九五%で、太宰府市内の工事がいかに長く続いているかが分かります。小川前知事は、着実に工事を進めると毎回答弁されましたが、市民にはあまり変化がないように見えます。  まず、工事が進まない原因は何なのかお答えください。  また新しく就任された服部知事として、現在太宰府市民に披瀝できる進捗状況、今後の見通しなどについてお示しいただいた上で、早期完成への知事の決意をお聞かせください。  最後に、保健環境研究所の移転と跡地利用について伺います。福岡県は二月八日、保健環境研究所のみやま市への移転を発表しました。現在の保健環境研究所、以下保環研と呼びますが、これは昭和四十八年福岡県衛生公害センターとして太宰府市に設置されました。建設の際、公害という名称がついていることから迷惑施設と認識され、地権者交渉に難航を極めました。しかし、当時の太宰府町の助役で、後に市長になられた有吉林之助氏の大変な助力によって実現したことが、保健環境研究所創立十周年記念誌にも掲載されています。  そこで一点目に、このような保環研の設立経緯について、どのように認識されているのかお聞きします。  次に、跡地の今後についてお聞きします。太宰府市以外の場所に移転し、広大な跡地ができることは、太宰府市全体のまちづくりにおいて非常に重要です。  そこで二点目に、保環研の移転計画はどのようになっており、移転はいつまでに完了する予定になっているのかお示しください。また跡地利用については、地元太宰府市とも十分協議を行っていただきたいと思いますが、知事の認識を併せてお聞きします。  知事の前向きな答弁を期待いたします。 23 ◯副議長(仁戸田 元氣君) 服部知事。 24 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  まず、改正大気汚染防止法の周知についてでございます。県では、大気汚染防止法が一昨年六月に改正されましたことを受けまして、速やかに市町村及び福岡県解体工事業協会、福岡県建設業協会など関係する二十四団体に対し文書で通知いたしますとともに、パンフレットを複数回にわたり送付いたしますなど、周知に努めてきたところでございます。また昨年一月からは、県ホームページに概要を掲載いたしますとともに、昨年四月の規制対象の拡大、来月の事前調査結果の報告義務づけといった改正法が施行されますタイミングを捉えまして、昨年の二月と先月二十日に、改めて新聞広告により広く県民の皆様にお知らせをしたところでございます。さらに今月、県内四地域で改正法に係る説明会を開催することといたしておりまして、建設、解体関係の団体をはじめ福岡県商工会連合会や福岡県産業資源循環協会など五十を超える団体に参加を促しているところでございます。  次に、アスベストアナライザーのさらなる整備についてでございます。当該機器は、主に災害用の被災建築物においてアスベスト使用が疑われる場合に測定することを想定して整備をいたしました。また解体中の建築物にアスベスト使用が疑われる場合にも使用しておりますが、アスベストの飛散性が高いレベル一、レベル二建材につきましては目視で確認できることが多うございまして、現状では年間で二回程度の使用となっているところでございます。来月からの立入検査では建築図面の調査、目視での確認を基本といたしまして、必要に応じアスベストアナライザーによる測定を組み合わせて行い、これらで確認できない場合は、検体の採取、分析を行って、アスベスト含有状況を把握し、飛散対策の徹底を図ってまいります。しかし、アスベストアナライザーは、規制対象のアスベスト含有建材のうち、含有率が〇・一%から一%未満のものにつきましては判定ができないという制約がございます。このことから、当該機器のさらなる整備につきましては、今後の立入検査の件数、あるいは対象建築物におけるアスベストの含有状況といったものを検証いたしました上で、効果的な配置を考えてまいりたいと考えております。  今後のアスベスト対策の徹底についてでございます。アスベストの飛散性が高いレベル一、レベル二建材が含まれます解体等工事につきましては、これまでも全て立入検査を実施しており、引き続き全件立入検査を実施いたします。加えて来月からは、事前調査の結果を確認をいたしまして、アスベストなしとされた解体等の工事につきましても、平成十八年九月のアスベスト使用全面禁止前の建築物を対象として、特に規制が全くなかった昭和五十年より前の建築物など飛散性の高いアスベストの使用が疑われる工事や、規模の大きな工事につきまして、優先的に立入検査を実施してまいります。立入検査により違反が確認された場合は、法に基づく指導をしっかりと行いますとともに、指導に従わず、アスベスト除去の基準を遵守していない場合は、是正のための命令を発出してまいります。また本県独自のVRコンテンツを活用した講習会の開催や、来年十月から事前調査に必要となります資格の取得によりまして、職員の監視能力の向上を図り、立入検査のさらなる厳格化を図ってまいります。  アスベスト除去に関する補助制度の導入についてお尋ねがございました。アスベスト除去などに係る補助につきまして、十一県が国の補助制度を活用して実施をしておりまして、そのうち十県は市町村が補助をする場合に実施をいたしております。この国の補助制度は、平成十八年の建築基準法改正において、増改築時の吹きつけアスベスト除去等の義務づけを契機に導入されたものでございまして、対象が吹きつけアスベストなど、レベル一建材の除去等に限定をされております。今回の法改正によって規制対象となりますアスベスト建材の一部にとどまっていることから、不十分なものとなっているところでございます。またアスベストへの対応につきましては、国が法令で規制してきたものでございまして、この問題は国が責任を持って対処すべきものであると考えております。このため県といたしましては、国において全てのアスベスト含有建材の事前調査や除去に対する助成制度を創設するよう、全国知事会を通じて要望を行っているところでございます。  アスベストに関する普及啓発を含めた今後の取組についてでございます。アスベストは、吸引することにより肺がんや中皮腫等の健康被害を引き起こしますことから、県民の命と健康を守るため、建築物の改修、解体、廃棄といった各段階において適切なアスベスト対策を講じることが重要でございます。このため県といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、解体等工事についての立入検査や必要な指導を的確に行ってまいります。また改正法の施行を踏まえて、改めて県民の皆様に対し、アスベストの危険性や改正法の内容について、県民団体や事業者団体、市町村等から成る福岡県環境県民会議やホームページなどを活用し、周知を図ってまいります。これらによりまして、アスベスト対策にこれまで以上に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、木材の利用促進に関しまして、CLTの利用促進についてお尋ねがございました。県では、公共建築物等における木材利用の促進に関する方針に基づきまして、公共建築物でのCLTなど新たな木質部材の利用を促進いたしますとともに、民間での普及にも取り組んでおるところでございます。具体的には、建築士や市町村の担当者などを対象に、CLTを利用した建築物の構造見学会や専門家による講習会を実施をしております。こうした取組によりまして、公共建築物では北九州市立大学の研究施設、民間におきましては那珂川市内に県内初となります純木造三階建てのオフィスビルが建築されるなど、CLTを利用した県内の建築物は、現在十九棟まで増えてきております。県有施設におきましても、利用を検討してきたところでございますが、コストの面でCLTの利用に適した構造の建物がございませんで、これまで建築には至ってないところでございます。今後とも全庁横断的な木材需要拡大推進本部会議におきまして、県有施設の建築に際しCLTの利用を検討いたしますとともに、市町村や民間の施設への普及に、引き続き取り組んでまいります。  次に、少花粉杉の植え替え促進についてでございます。県では主伐後の再造林を少花粉杉で行う場合に、県独自の上乗せ補助を実施をいたしまして、少花粉杉への植え替え拡大に努めてまいったところでございます。この結果、植栽をされました少花粉杉の面積は、植栽が開始されました平成二十二年度、三ヘクタールでございましたが、昨年度には杉全体の約五割に相当いたします百三ヘクタールまで増加いたしております。また少花粉杉の苗木を安定的に確保いたしますため、県内で必要となります杉苗木の全量を少花粉苗木で供給することを目標としまして、生産に必要な親木の確保やビニールハウスなどの施設整備を支援してまいりました。この結果、昨年度の少花粉苗木の生産量は、必要量の七割に相当する約五十六万本まで拡大をいたしまして、国が掲げております目標水準に達したところでございます。少花粉杉への植え替えをさらに進めていきますためには、地域の様々なニーズに対応できますよう、苗木の品種を増やしていく必要がございます。今後とも地域が求める苗木の生産を強化をいたしまして、少花粉杉への植え替えを促進してまいります。  次に、高校教育改革についての認識についてお尋ねがございました。本県の県立高校は、長年にわたりそれぞれの特色、伝統を生かして、生徒、保護者、地域、産業界のニーズに対応した教育に取り組み、福岡県のみならず、我が国を支える人材を育成するという重要な役割を果たしてきたものと認識をいたしております。今般の国の高校教育改革は、高校における教育活動を、生徒の学習意欲を喚起し、可能性及び能力を最大限に伸ばすためのものへと転換するため、各高校のさらなる特色化、魅力化を促すものであると承知をいたしております。本県高校教育が、今後とも次代を担う人材の育成という重要な役割を果たしていく上での方向性を示したものと考えております。  次に、県道筑紫野古賀線の太宰府市内の整備についてお尋ねがございました。この県道筑紫野古賀線でございますが、地域経済や県民生活を支える広域的な幹線道路でございまして、順次その整備を進めておるところでございます。このうち太宰府市内におきましては、松川交差点から宇美町境までの約二・二キロの区間におきまして、四車線化の事業を実施をいたしております。工事の実施に当たりまして、事業用地を取得するためには、地権者に対する丁寧な説明、また関係者との協議、調整というものが必要となります。特に、本工区を見てみますと、大規模な事業所をはじめとして、地権者も百七十九件と多うございまして、用地取得後に文化財調査を実施するなど、工事の実施までに相応の時間を必要としてきたところでございます。しかし、これまでに約九割を超える用地の取得を完了いたしておりまして、用地取得が完了した区間から順次工事を実施をしております。引き続き地元の皆様方の御理解と御協力をいただきながら、まずは残る用地の取得を図り、早期供用に向け、太宰府市とも連携して着実に整備を進めてまいります。  最後に、保健環境研究所の設立経緯、移転予定及び跡地利用についてお尋ねがございました。昭和四十八年に保健環境研究所の前身でございます福岡県衛生公害センターが現在の太宰府市に設立をされました際に、用地取得などに関しまして、地元の皆様の多大なる御尽力と御協力をいただきました。また、設立以来約五十年にわたり、保健環境研究所の運営に御理解と御協力を賜っているところでございます。こうしたことから、太宰府市の皆様には大変感謝をしているところでございます。  保健環境研究所の移転は、遅くとも令和九年度には完了する予定でございます。その後、建物を解体の上、土壌汚染対策法に基づく土壌調査を行いまして、状況に応じて汚染除去等の対応を行う必要がありますことから、これらに要する期間として、さらに三年から五年を見込んでいるところでございます。今後、県といたしましては、まずは教育庁、警察本部を含め県による利用について検討を行ってまいります。その上で、県による利用が見込まれない場合は、公用または公共目的の利用を優先に考え、地元の太宰府市による利用について、市の意向をお伺いしてまいりたいと考えております。 25 ◯副議長(仁戸田 元氣君) 吉田教育長。 26 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 県立高校におけるスクールポリシーの策定状況及び県立高校の活性化、特色化への活用についてでございます。現在各高校では、県教育委員会で行っているスクールミッションの策定作業と並行してスクールポリシーの検討が行われているところでございます。県教育委員会では、このスクールポリシーが学校の特色化、魅力化に資するものとなるよう策定の指導を行うとともに、策定後においても、スクールミッションと併せて各校の教育活動を点検、改善する指針として活用してまいります。  県立高校の普通科の改善、改革についてでございます。中央教育審議会答申で示されましたとおり、本県の県立高校においても、全体の約七割の生徒が普通科で学んでおり、普通科の活性化、魅力化は大きな課題であると認識をいたしております。今般の高等学校設置基準の改正で示された普通科の弾力化、大綱化は、生徒の学習意欲の喚起や地域の実情に応じた特色ある、魅力ある教育の実現に資するものであると評価をいたしております。県教育委員会では、この新たな普通科の設置について研究を行いますとともに、特色あるコースの設置や各校独自の活性化、魅力化の取組の支援を通じて、普通科の改善、改革に努めてまいります。  県立高校の改善、改革方策を総合的に検討、推進する体制の整備についてでございます。これまで教育庁内に、県立高校活性化推進委員会を置き、主に定員割れ対策を講じてきましたが、今後は全ての県立高校が社会の変化や学校、地域の固有の課題に適切に対応していけるよう必要な改善、改革を進めることが求められます。このため県立高校活性化の推進体制と取組の見直しを図ることとし、推進委員会においては、各県立高校に対しスクールミッションとスクールポリシーの一体的な策定のための指導、支援を行うとともに、学科、入学者選抜、広報活動の在り方などの課題の検討を進めてまいります。また、このような指導、支援や課題の検討を的確に行うため、これまで以上に学校に対する個別の指導をきめ細かに行ってまいります。さらに、一人一台タブレットの導入を見据え、教育庁内に専門の部署を設け、全ての県立高校におけるICT活用の推進体制の充実を図ってまいります。 27 ◯副議長(仁戸田 元氣君) 野村警察本部長。 28 ◯警察本部長(野村 護君)登壇 警察施設の更新についてお答えいたします。警察署につきましては、老朽化の進行状況に加え、建設当時からの管内人口の増加や治安事象の変化に伴い定員が増加し、著しく狭隘化しているものから順次更新を検討することとしております。また交番につきましては、老朽化の進行が著しいものや建築後の地域の再開発や道路整備事情等に伴う治安情勢の変化から、設置位置の見直しが必要なものについて、順次更新することとしております。  次に、田川警察署の今後の整備方針についてお答えいたします。田川警察署の更新につきましては、現在の田川警察署から北西方向に約四百メートルの地点に位置する田川市役所直近の旧田川市教育庁舎跡地が移転先の適地であると判断し、平成二十七年六月から田川市に同所を移転候補地とすることについての検討依頼を行い、以後、協議を進めているところであります。今後は、令和四年度に移転候補地としての土地の測量や地盤調査などを実施することとしており、令和五年度以降に、順次設計、建設を進め、令和九年の春に開庁することを目指して整備計画を進めてまいります。 29 ◯副議長(仁戸田 元氣君) 渡辺美穂君。 30 ◯二十六番(渡辺 美穂君)登壇 一点要望、一点再質問いたします。  アスベスト対策について、知事に要望します。アスベスト除去に係る補助について、国の制度が不十分であること、また国に要望するとありますが、であるとすれば、また知事がアスベスト対策をこれまで以上に取り組んでまいるという決意があるのであれば、本県としてその制度を整備する必要があるのではないでしょうか。この点については、ぜひ補助制度の創設に向けてしっかり検討し、実施してほしいと強く要望いたします。  次に、高校教育改革に関して、教育長に再質問いたします。知事からは、本県高校教育が次代を担う人材の育成において重要な役割を果たしていくこと、国の高校改革は、その方向性を示したものであることが述べられました。県の高校教育改革は、今後の服部県政、そして知事を選んだ多くの県民の思いを形にする意味でも重要であり、県教育委員会は今こそ県立高校改革に本気で取り組む環境が整ったと言えます。一方で、教育長の答弁では、改革への取組は、現在ある県立高校活性化推進委員会内で行い、しかも個別の取組について答えることにとどまっています。残念ながら、県立高校改革の本気度が伝わってきませんでした。  そこで改めて、県立高校改革に本気で取り組むためにどうしていくのか、とりわけ厳しい状況にある県立高校を抱える地域などで抜本的な取組をどう進めていくのかお答えください。(拍手) 31 ◯副議長(仁戸田 元氣君) 吉田教育長。 32 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 県立高校の改善、改革方策を総合的に検討、推進する体制の整備につきまして、重ねての御質問がございました。県立高校の課題は、学校間、地区間で大きく異なっておりまして、その実効性ある対策を講じるためには、県立高校活性化の推進体制、これを見直してまいりたいというふうに考えております。具体的には、まず学区単位で県立高校の直面する課題を把握する機能を各教育事務所に持たせ、学校訪問を通じてきめ細かな指導、支援を行う体制を強化いたします。また全体を統括する本庁の活性化推進委員会の下に対策チームを置きまして、各学区の課題に重点的かつ迅速に対処をしてまいります。このような体制で、定員割れのみならず、全ての県立高校が社会の変化や学校、地域の固有の課題に柔軟に対応し、人材育成の重要な拠点としての役割を果たしていけるよう、私が先頭に立って課題解決に取り組んでまいる所存でございます。 33 ◯副議長(仁戸田 元氣君) 本日の代表質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時 五十六分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...