宮古市議会 > 1999-03-08 >
03月08日-02号

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  1. 宮古市議会 1999-03-08
    03月08日-02号


    取得元: 宮古市議会公式サイト
    最終取得日: 2023-04-13
    平成11年  3月 定例会          平成11年3月宮古市議会定例会会議録第2号第2号平成11年3月8日(月曜日)---------------------------------------議事日程第2号 日程第1 一般質問        5番 山口  豊君 ・米軍による低空飛行訓練について………66                  ・インターハイの開催について       23番 田中  尚君 ・財政健全化の基本的な方向について……71        4番 中嶋  榮君 ・宮古市の行政改革について………………84                  ・宮古市の観光振興について       19番 山野目輝雄君 ・水産業の振興策について…………………90---------------------------------------本日の会議に付した事件 上記日程のとおり出席議員(24名)   1番   千葉胤嗣君           2番   田頭久雄君   3番   三上 敏君           4番   中嶋 榮君   5番   山口 豊君           6番   近江勝定君   7番   沢田 勉君           8番   平沼 健君   9番   蛇口原司君          10番   中野勝安君  11番   佐々木武善君         12番   工藤 勇君  13番   中里栄輝君          14番   竹花邦彦君  16番   松本尚美君          17番   岩間 弘君  18番   城内愛彦君          19番   山野目輝雄君  20番   千束 諭君          21番   永浦奎輔君  22番   野沢三枝子君         23番   田中 尚君  24番   山崎時男君          28番   前川昌登君欠席議員(2名)  25番   成ケ沢仁明君         26番   坂下正明君---------------------------------------説明のための出席者  市長       熊坂義裕君       助役       小原富彦君  収入役      長門孝則君       総務企画部長   鈴木英夫君  総務課長     佐々木岩根君      企画調整課長   細越雅佐浩君  財政課長     西野祐司君       税務課長     君澤清吾君  生活福祉部長   吉田 武君       地域福祉課長   岡田光彦君  市民生活課長   大森 翼君       教育長      中屋定基君  教育次長     鼻崎正亀君       産業振興部長   松田辰雄君  商工観光課長   宇都宮 満君      水産課長     制野忠彦君  都市整備部長   伊藤行雄君       建設課長     鈴木健市君  都市計画課長   三浦 章君       下水道課長    大久保金雄君  農業委員会           腹子哲男君       監査委員事務局長 刈屋敏彦君  事務局長  水道事業所長   菊池淳雄君       消防防災課長   野澤正樹君---------------------------------------議会事務局出席者  事務局長     田鎖勇平        事務局次長    坂本邦雄  議事係長     山口 周        速記員      駒井和子 △開議              午後1時01分 開議 ○議長(蛇口原司君) ただいままでの出席は23名でございます。定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。--------------------------------------- △日程第1 一般質問 ○議長(蛇口原司君) 日程第1、一般質問を行います。順次質問を許します。 5番、山口豊君。             〔5番 山口 豊君登壇〕(拍手) ◆5番(山口豊君) 私は、平成11年3月議会に当たり、一般質問通告に従い2点について順次質問をさせていただきます。 まず、その第1点目でございますが、去る1月21日に釜石市橋野町の通称沢地区の山林に、飛行訓練中の米軍三沢基地所属のF16戦闘機が墜落し爆発、炎上しました。幸い墜落地点は民間から離れた山林であり、人災は避けられましたが、周辺の山林は事故の炎によって火災が発生しております。 米軍による低空飛行訓練は、過去にも県内において数多くの事故を引き起こしてきました。1988年9月には川井村の山中にF16戦闘機が墜落しておりますし、1991年5月には、宮古市上空での米軍三沢基地所属のF16による低空飛行により、学校、病院、民家の窓ガラスが割れる被害が出ております。昨年8月には、三陸沖で航空自衛隊F1戦闘機が飛行中に消息を絶ち、海上から破片が発見されるという事故も発生しました。また、ことしに入りましてからは、F16戦闘機の騒音のため、当宮古市の消防出初め式が一時中断されるという問題も発生しております。 岩手県及び釜石市ではF16戦闘機の墜落事故発生後、直ちに安全性の確保と再発防止策が確立されるまでの間、岩手県上空における米軍機の飛行訓練を中止するよう要請しました。にもかかわらず、米軍は飛行訓練の継続を表明しています。低空飛行訓練そのものを中止しなければ、今回のような事故は後を絶たないと考えられますし、何よりも訓練の継続は周辺の住民の恐怖と不安を増長させており、低空飛行訓練の中止は住民の切実な願いとなっています。 また、現在国会に提出されております「日米新ガイドライン関連法案」には、国による民間業者や自治体に対する米軍への資材補給、運搬作業への従事要請、米軍による県内の港湾施設や空港の使用などが明記されており、いま以上の軍事的な事故の発生と住民被害の多発が予想されます。 以上のことから、市は低空飛行訓練の即時中止を要請すべきだと考えますが、市当局のお考えをお聞かせ願いたいと思います。 次に、2点目の質問に移らせていただきますけれども、ごく簡単に質問させていただきます。 既にご承知のとおりでございますけれども、平成11年度に開催されますインターハイまで残すところわずか4カ月余りになりました。振り返ってみますと昭和62年に昭和71年度インターハイ岩手開催誘致が決議されて以来、平成2年には平成11年度の岩手県でのインターハイ開催が確認されました。その後、平成4年には主会場を北上市にすることが内定されましたが、その後も継続的に多くの取り組みが積み重ねられる中で、平成7年5月30日にインターハイの岩手開催が正式に決定されたところでございます。 それらの経過の中におきまして、宮古会場におきましてはレスリング及びヨットの2種目の競技が開催されるということが決まりました。その後も間断ない各種会議あるいは各種委員会等が連続的に開催されまして、インターハイの成功に向け多くの関係者の方がご苦労をなさってきたところでございます。インターハイ開催を約1年後に迎えました昨年の5月29日に、平成11年度全国高総体実行委員会が開催されまして、11年度の開催に向け準備段階である10年度の事業計画が決定されております。 その事業計画の内容を見ますと、4つの部門に分かれまして、それぞれ各部ごとの具体的な事業計画が示されております。 そこでお伺いしますが、ことしの8月に開催されますインターハイ成功に向けた現在の進捗状況と課題につきまして、概略で結構でございますのでお聞かせ願いたいと思います。 以上の2点につきまして壇上よりご質問させていただきましたが、再質問につきましては自席より行わせていただきますので、よろしくお願いいたします。(拍手) ○議長(蛇口原司君) 熊坂市長。             〔市長 熊坂義裕君登壇〕 ◎市長(熊坂義裕君) ただいまの山口豊議員のご質問にお答えいたします。 去る1月6日、宮古市上空でジェット機による低空飛行が行われましたが、その状況並びにその後の対応などについてお答えいたします。 この低空飛行は1月6日の11時、12時、13時の3回にわたり宮古市上空で訓練が行われ、急上昇等を繰り返し、特にも12時6分から12時11分までの低空飛行による轟音により、消防の出初め式が一時中断されたことは、極めて異常と言わざるを得ない状況でありました。 このような低空飛行訓練は、市民に対し騒音の迷惑だけでなく、恐怖と不安を与えることから、宮古市では即口頭で岩手県を通じ、仙台防衛施設局経由で米軍に対し今後行わないよう申し入れたところ、1月6日の日、宮古市上空の低空飛行は米軍三沢基地の戦闘機であるとの報告があったものでございます。 その後、余り例のないことと聞いておりますが、1月11日付で第35戦闘航空団司令官三沢基地司令官、スチーブン・G・ウッド空軍大佐から直接私あてに謝罪文が届けられ、宮古市の自粛申し入れは十分に伝わったものと理解しておりましたところ、去る1月21日の釜石市の米軍機墜落事故では、約50戸の軒を重ねる小集落を恐怖の底に突き落とし、釜石市民を初め沿岸住民は身近で起こった事故に不安を募らせたものであります。 このことから岩手県では1月21日に、釜石市では1月28日にそれぞれ内閣官房、外務省及び防衛施設庁に対し、飛行訓練の中止の要請を行ったところでございます。 また、去る1月29日開催の岩手県市長会の会議において、米軍機の飛行訓練の中止についてを決議し、さらに2月17日開催の第15回三陸沿岸都市会議において米軍機の飛行訓練の中止を求めることについてを決議し、関係大臣及び防衛施設庁長官に要望書を提出するなど、強く要望しているところでございます。 今後も、全宮古市民の生命、身体、財産を守らなければならない立場にある者として、関係機関に働きかけるなど積極的に行動していきたいと思いますので、議員各位のご協力をお願い申し上げます。 なお、インターハイの開催につきましては教育長から答弁をさせます。 ○議長(蛇口原司君) 中屋教育長。             〔教育長 中屋定基君登壇〕 ◎教育長(中屋定基君) インターハイの開催についてお答えします。 本年8月に本県で開催されます全国高等学校総合体育大会は、北上市を主会場として県内20市町村で28種目の競技が実施されます。当市ではレスリングヨット競技が開催され、宮古市民総合体育館リアスハーバー宮古を会場として、市民挙げて大会の成功に向けて万全を期すべく準備を進めているところでございます。 ご質問の進捗状況等についてでございますが、平成8年9月に実行委員会を設立し、平成10年度から職員5名と岩手県高等学校体育連盟専門部から2名の専門委員長との7名体制で、大会に向けた具体的な諸準備を進めてまいりました。 大会運営に係る各部門の事業計画につきましては、総務企画、競技式典、宿泊衛生、輸送警備の4部門の専門委員会を設置し、専門的な立場から意見をいただいてきたところでございます。 また、昨年11月には先催県である香川県の会場地との事務引き継ぎが行われ、競技の運営内容についてご教示をいただいたところでございます。 市民に対する啓発活動につきましては、昨年10月に高校生 2,200人を動員し、大会 300日前推進キャンペーンを開催し、市内パレードや残日計の設置、ポスター、Tシャツ等デザイン表彰などを行いました。その他、PR用グッズとしてジャンパーの製作やインターハイ・ニュースの発行、ホームページの開設も行ってまいりました。 今後の取り組みと課題といたしましては、3月26日に宮古市実行委員会総会を開催し、各専門委員会からの意見を反映した具体的な取り組みとして、湯茶接待や手話通訳などのボランティア活動や間伐材を利用した会場周辺へのフラワー作戦、またヨット競技では、海の上からレースを観戦できる観覧艇を配置するなどの取り組みを実施してまいります。 さらに、4月には 100日前キャンペーン、5月には70日前キャンペーン、6月にはヨット競技リハーサル大会を開催し、本番に向けた対応を図り、7月には30日前キャンペーンを開催し、会場周辺のクリーン作戦手づくり記念品、歓迎アーチの配置など、高校生一人一役運動を展開しながら、小・中学生にも激励メッセージの製作などの一翼を担っていただき、心のこもった大会にしてまいりたいと考えております。 事故のない大会を運営するためにも関係機関との連携を図り、連絡体制を密にした運営計画を作成するとともに、大会成功に向けて市民総参加による「笑顔で温かい一声運動」を展開し、高校推進委員会実行委員会が相互に緊密な連絡調整を図り、全国から訪れる選手、監督、役員、応援団等の方々に対し、心のふるさと、思い出のまち宮古を印象づけるような大会にしてまいりたいと考えております。 以上、答弁といたします。 ○議長(蛇口原司君) 山口豊君。 ◆5番(山口豊君) 再質問ですが、第1点目に米軍の低空飛行について再質問させていただきます。 市長のご答弁の中で、事あるごとに宮古市単独で、あるいは他の市、岩手三陸の市長会でというふうに、いろいろ中止の要請をしてきたということについては敬意を表するものでございます。 しかし、今までの取り組みの中から私が考えますと、もう一歩踏み込んだ宮古市単独での中止要請というのが必要ではないかと考えております。先刻も壇上から申し上げましたとおり、宮古市ではこれまでのところ墜落事故は起きておりませんが、しかしこれまでも学校や病院、民間の窓ガラスが割れる、あるいは出初め式が中断される、そういう被害が出ているわけでございまして、市長の答弁の中にもございましたが、表にこそ出てはいないわけですけれども、例えば騒音によって学校の授業も中断されるでしょうし、電話中の人は電話が聞こえなくなったり、挙げれば限りないほどの被害がその裏にはあるものと思っております。 この米軍の低空飛行訓練がこのまま続く限り、いつこの宮古地域でも墜落事故が発生するかもしれないという住民の不安を絶つことはできないわけでございます。そして、もし民家にでも墜落したなら大惨事になります。 こういった住民の不安をなくし、住民の安全と尊い命を守ることこそが何にも増して最優先されるべきことであり、事故が起きる前に未然に低空飛行訓練を中止するという米軍の前向きな返事が出されるまで、何度でも繰り返し中止するよう要請し続けていくべきではないかと思いますが、その点についてお伺いしたいと思います。 ○議長(蛇口原司君) 熊坂市長。 ◎市長(熊坂義裕君) 自席からお答え申し上げます。 私も、ただいま山口議員がお話されたとおりというふうに考えております。1月6日に消防出初め式が中断されまして直ちに抗議をしたわけですけれども、それに対しまして、異例というふうに壇上で申し上げましたけれども、司令官からわび状がまいりました。そう思っているうちに1月11日に墜落したわけでございますけれども、私も大変にこれはショックを受けました。 事あるごとに積極的に抗議していくというふうなお話しを申し上げましたけれども、岩手県の市長会、そして三陸沿岸都市会議でもまた団体で決議をいたしましたし、岩手県の増田知事もそのように行動されておりますので、私もこれから事あるたびに抗議をしてまいりたいというふうに思います。 市単独でということでございますけれども、今議会に議員の方々から意見書が提出されておりますので、その審議の動向も見ながら抗議に関しては私も積極的に一緒にやっていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。 ○議長(蛇口原司君) 山口豊君。 ◆5番(山口豊君) これまでの対応は、常に事故が発生してから事後に対応するということを繰り返してきたと思います。岩手県と釜石市が関係機関に申し入れましたいわゆる安全が確保されるといいますか、そういう事故の再現を防止する、そういう方向性というものを米軍が提起するまで、やはり飛行訓練を中止させる、そういうことをぜひ強く言い続けてほしいと思いますし、さらには市民に不安を与えないような方法、特にも住宅街での低空飛行訓練は中止するよう、その点を強く要請するようお願いいたしまして、この項に関しての質問は終わらせていただきます。 次に、インターハイについてでございますが、インターハイが開催される8月と言えばちょうど観光シーズンに重なる時期でございます。選手団及び監督、役員等の宿泊につきましてはもう十分に配慮されているものとは思いますが、高総体宮古実行委員会の予測ですと、県外からの応援者がレスリングで 1,500人、ヨットで800 人が見込まれておるようでございますが、そういった多くの人たちの受け入れ体制としての宿泊の施設は十分なのかどうか、これを1点お伺いします。 2点として、インターハイの成功に向けまして市民ボランティアを募集する計画があるようですけれども、一つは何人ぐらいの募集を目標にしているのか、お伺いしたいと思います。と同時に、その方々にどのような任務に携わっていただく予定なのか、お聞かせ願います。 3点目として、インターハイの開催時期と宮古夏祭りがちょうど重なる時期だと思いますが、夏祭りをことしも予定どおり行うのかどうか。もし予定どおり行うといたしましたならば、特に新しい企画などを考えているのかどうか、お伺いいたしたいと思います。 以上、3点についてお伺いします。 ○議長(蛇口原司君) 中屋教育長。 ◎教育長(中屋定基君) まず、宿泊関係でございますが、レスリング宿泊者延べ人数ですが、18のホテル、旅館、民宿にお願いして 5,680名、それからヨット競技の場合、同じく12のホテル、旅館、民宿にお願いして延べ 5,150名宿泊することになっております。 なお、この宿泊の配宿については、岩手県実行委員会が一切を取り仕切ります。 夏祭りとの関係でございますが、これについては相当込み合うわけですけれども、観光課等と連携を取りながらスムーズにいくようにお願いしたいと思っております。 それから、市民ボランティアの件でございます。湯茶の接待、それから手話による案内。この市民ボランティアの方々には募集を始めます。そして、おそろいのTシャツを着ていただいて、町の案内であるとか、一人一役運動を高校生は展開するわけですけれども、市民にもそれぞれ役割を持っていただいて、宮古市のご案内をしていただくと。具体的には駅前での湯茶接待とか、そういうのが主になりますけれども、あるいは競技会場においての湯茶の接待等にボランティアの方々をお願いしたいと思っております。 私の方からは以上です。 ○議長(蛇口原司君) 山口豊君。 ◆5番(山口豊君) 次に、特に洋上でのヨットの競技に関して、3点ばかりご質問させていただきます。 まず1点目は、宮古を利用しております海運荷役業者の企業があるわけですが、あるいは漁業団体及び漁民の皆さんとの間で、競技に支障を来さないような調整が必要だと思われますが、その辺の十分な協議がなされているのか、1点お伺いします。 2点目として、当三陸沿岸地帯は地震の多発地帯でございます。したがいまして、万が一の津波対策及び避難対策についても十分配慮がなされているのかどうか、第2点目です。 3点目として、先ほども触れましたが、特にも県外からの応援者や一般観戦者が宮古に入ってくるわけですが、そういう方々のヨットなどの競技場といいますか、車で来る方も結構多いと思いますが、そういう意味での交通案内といいますか、会場案内等はどうなっているのか。 1つ足しますが、先ほど洋上での船による観戦といいますか、そういう計画があるとお聞きしましたが、この乗船料といいますか、こういうのはどこで決めて、的確な料金なのかどうなのかもあわせてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
    ○議長(蛇口原司君) 中屋教育長。 ◎教育長(中屋定基君) ご指摘のとおり、競技会場がリアスハーバーから東に2キロの地点です。あの場所は検疫錨地でもありますから、競技と航路がぶつかるわけでございます。ですが、おかげさまで宮古海上保安署の本当にご協力と先導的な役割をいただきました。そして関係機関、特に仙台検疫所、それから地元漁業関係者、それから宮古漁業協同組合小型船舶安全協会、それからレジャーボート等、そしてホクヨープライウッド、宮古海運のご理解をいただいてあそこで競技ができると。それから、その安全について宮古海上保安署も十分に協力してくれるということでございます。 それから、応援者のことですが、ただいまご指摘受けた部分を参考にして、さらに十分なる準備をしたいと思っております。 それから、観覧艇の件ですけれども、これは4回船を出す予定ですが、1回 100名、 400名です。これは料金は取らないで希望者を乗せる予定でございます。 以上です。 ○議長(蛇口原司君) 山口豊君。 ◆5番(山口豊君) 関係者の皆さんのこれまでの積極的な取り組みにより、大会開催へ向けて諸準備が順調に進んでいることがよく理解できました。これまでの取り組みを高く評価すると同時に、心から敬意を表するものでございます。同時に、残された期間はあとわずかでございます。開催基本要綱にもありますとおり、今後とも関係機関、団体が緊密な連携をとり、大会開催に対する市民の理解と協力を得るよう、そして意識の高揚を図るとともに、この大会を契機にしまして生涯スポーツの実践に努め、健康で明るく住みよいまちづくりの推進を図られますようお願いいたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(蛇口原司君) 次に、23番、田中尚君に質問を許します。 田中尚君。             〔23番 田中 尚君登壇〕(拍手) ◆23番(田中尚君) いま全国の地方自治体が深刻な財政危機に直面しております。1990年度に67兆円だった借金が90年代には 100兆円もふえ、今年度末には 166兆円にもなろうとしております。宮古市も例外ではなく、94年度末に 129億 7,365万円だったのが、今年度末には 213億 4,841万円にふえ、財政の健全性をあらわす借金の返済額が、一般財源に対する割合で警戒ラインと言われております15%を既に超えた状態であります。 重大なことは、この財政危機を口実にして、福祉や医療、教育の切り捨てや公共料金の値上げ、職員の大幅削減などが全国の地方自治体で強行されようとしていることであります。住民の福祉と安全を第一の任務とする地方自治体の政治を住民に犠牲を転嫁することなく、財政の危機をどう打開していくのか、そのための解決策をどう確立するかが宮古市としても緊急かつ重要な課題であります。 今日の財政危機の原因が、バブルの崩壊や政府の経済対策の失敗などで税収が停滞しているにもかかわらず、ゼネコン奉仕、浪費型の公共事業を莫大な借金をして次々と拡大してきたことにあることは、広く知られております。中でも国が補助金を出さない地方単独事業を奨励し、自治体に押しつけ、通常であれば事業費の2割前後の財政負担がなければ消化できない事業でも、全額借金で賄うことが認められ、その借金も地方交付税で後年度穴埋めする仕組みがつくられたことが大きな要因であります。 私は質問通告にありますように、財政健全化の基本的な方向について、市の今後の対応についてお伺いをするものであります。 まず、借金の増大という財政危機の直接的要因でもある公共事業を今後どうするのかという問題であります。この問題では、事業の具体化に当たり、その選択基準をどうするのかということと、予算の節約にもつながる入札制度の改善をどう具体化するのかといった2点が挙げられると思うのであります。不要不急な事業を見直し、住民サービスで事業効果の高い公営住宅の建築や建てかえ事業など、生活密着型の事業を推進すべきだと思いますが、この点の検討はどうなっているのかお伺いをするものであります。 入札制度については、予定契約額の上限である予定価格に限りなく近い落札状況は、競争原理が機能しているとは思えず、この改善も避けて通れない課題であります。具体的には、利権と腐敗を防止し、住民の利益にかなう方式に改めることを基本に、現在行われている資本力、技術力などによる等級区分のほかに、地元優先、中小企業優先などに配慮して、工事規模に対応して入札参加資格を限定する条件付一般競争入札の採用や、予定価格と入札経過事後公表、工事積算と予定価格の適正化などを行うべきだと思いますが、入札契約制度の改革をどう具体化しようとしているのか、お伺いをするものであります。 2つ目には、地方自治体本来の任務であるところの教育や福祉に、財政難のしわ寄せを行わないという基本が確立されているかどうかという問題であります。 教育費の場合、老朽校舎への対応が校舎の新築や増改築という抜本的な対策に偏重しているため、日常的な維持補修費や管理費が不足し、結果的に児童・生徒や教職員など学校現場に我慢を強いる状況が見受けられます。また、増改築により、管理費の増加が最少で適切なものになるよう、設計段階での工夫が見られないといった問題もあります。 福祉の分野では、少子化対策としての子育て支援事業や高齢者対策の充実が求められており、乳幼児の医療費無料化や保育料の引き下げ、介護保険の実施に伴う市の新たな事業目標など、改善や充実すべき政策目標が明確になっていない印象がありますので、明らかにしていただきたいと思うのであります。 財政の健全化が問題になって私たちが警戒しなければならないのは、住民サービスの削減と同時に、住民の負担をふやす方向になれてしまうことであります。住民の適正な負担基準は何が根拠になるのかは論議が分かれることではありますが、少なくとも一般的には行政水準との比較が基準になり、その行政水準は他の類似都市との比較で客観的な判断ができることになるのであります。 同時に、その負担にたえられるかどうかの住民の担税能力も重要な政策判断材料になるのは当然であります。この点では、標準税率を超えて課税されております固定資産税は、政策的には何を実現しようとしての超過課税なのか、市民に説明する責任があると思いますし、それは同時に、標準税率への引き下げを約束した過去の議会答弁に対する市当局の実施能力が問われる問題でもあることから、早急な具体化を行うよう強く要求するものであります。 同様に、国民健康保険事業における加入者の税負担も、制度上、医療費との関連で負担額が決定するものでありながら、国庫負担削減の制度改悪を加入者に負担転嫁させる一方で、過大な積立金を温存するやり方も改善が望まれます。市の今後のこうした分野における見通しと改善について、お伺いをするものであります。 財政健全化の視点の4つ目の問題は、市の税収の増加につながる地域産業の振興策の推進であります。産業の発展なくして人口の定着や増加は期待できないため、企業誘致への期待は大きなものがあるのでありますが、その一方で地域の産業おこしに必要な政策の展開もまた必要であります。 市においても、この問題ではこれまで漁港整備や圃場整備など産業基盤整備の事業が行われてきましたが、就業構成人口はこの分野に従事するはずの就業者数が減少しているのが実態であります。減少している大きな原因は、政府の食糧輸入の海外依存政策が挙げられるため、これの是正とともに、行政が地域経済を支えている中小企業、地場産業、農林漁業、地元商店街などを支援することが必要であります。これは、一言で言えばハードからソフトへの転換であります。具体的には、地域の生産品の品質改良や生産力向上のための設備投資などへの助成、生産品の販路拡大、自治体独自の農畜産物への価格保証制度などが考えられると思うのでありますが、この問題への対応についてお伺いをするものであります。 最後に、宮古市は公共用地の取得に大変熱心な自治体でありますが、一方ではこの土地の利用計画について改善が望まれているところであります。これまでも宮古市は、鍬ヶ崎の日冷跡地や五月町の消防庁舎用地にしている旧ラサ工業用地、西ヶ丘用地、区画整理の保留地を購入した長町用地などがありますが、いまだに利用計画が明確ではありませんし、消防庁舎の用地のように、利用されてはいても過大なものもあり、財政事情の厳しい今日、こうした資産の有効活用を図ることが市民要求を実現することに通ずると考えるのでありますが、市においては今日までどのような検討が行われているのかお伺いをいたしまして、壇上からの質問を終わらせていただきます。(拍手) ○議長(蛇口原司君) 熊坂市長。             〔市長 熊坂義裕君登壇〕 ◎市長(熊坂義裕君) ただいまの田中尚議員のご質問にお答えいたします。 私からは、まず財政健全化の基本的な方向のうち、地域の産業振興策に関するご質問にお答えいたします。 戦後最悪と言われる不景気の中、立地企業の撤退、地元企業の規模縮小、人員削減など長期化する景気低迷により、当市の経済も大きな影響を受けております。また、市内の企業の中にも、アジアに生産拠点を展開している企業や、アジアからの輸入により競合している企業もあり、大きな転換期に立たされております。 商業を見ますと、郊外への大型店舗の立地による既存商店街からの顧客の減少、売り上げの減少から廃業を余儀なくされる商店が増加傾向にあり、いわゆる中心商店街の空洞化現象も進みつつあります。 先ごろ発表されました平成8年度の市町村民所得によりますと、当市の人口1人当たりの市民所得は、県下全市町村平均 269万 7,000円を下回る 245万円となっております。13市中8位、盛岡市の約70%、北上市、花巻市の約80%の数値となっております。市町村民所得の高いところを見ますと、製造業を中心とする工業出荷額が多いところとなっております。このようなことから、当市では基幹産業の水産、観光はもとより、工業の振興にも力を入れてまいりたいと考えております。 地域の工業を発展させていくためには、地域の実態に合わせた工場数、従業者数、工業出荷額等の計画、基盤技術や付加価値の向上、さらに製造業が若者に夢とロマンを与えるような産業の育成が必要でございます。そのため、長期的なビジョン、いわゆる産・学・官共同の取り組みでものづくり、人づくりをテーマとし、宮古市産業振興会議の創設、宮古工業クラブの結成、若手産業人交流事業、起業化支援、貸し工場制度の創設等を柱とする工業振興の基本方針を策定中でございます。 議員お尋ねの地場産業、特に水産業関係についてでございますが、就業人口の減少や高齢化が進行し生産量の減少が懸念されますので、その維持、増大を図り、省力化や安全作業等、労働環境の改善のためにも漁港等の産業基盤整備は必要であると考えております。また、漁業者の所得向上と漁業の種類をふやす目的で、平成8年度から岩ガキの種苗生産、養殖技術を確立するための試験を平成9年度から、アカガイの養殖試験にも取り組んでおり、それぞれ技術確立の見通しが立ちましたので、その目的は 100%達成されたものと考えております。さらに、平成11年度から漁船漁業による生産量の増大を目指して、ニシン、クロソイ、ヒラメ等の魚類栽培事業を支援することとしております。 新製品、水産加工品の開発は各企業で行われておりますが、流通ルートの関係から商品化、事業化が難しい現状となっております。そこで、平成8年度から地場産品の販路拡大、魚食普及を図るため国庫補助を導入しPRに努めてきたところでございますし、平成11年度から市単独継続事業として引き続き実施してまいります。 価格補償制度といたしましては漁価安定基金がございますが、これは浜値が一定の基準以下になった場合に、漁価の推移を見ながら市場に出荷する調整保管するときの買いつけ資金の利子補給が主なものでございます。 各産業に対する市単独の支援制度につきましては、厳しい財政状況の中、その財源の確保が難しく直ちにとはまいりませんが、各種制度の活用もあわせ地場産業を支援してまいりたいというふうに思っております。 いずれにしましても、各産業の振興を図るためには市民や企業がみずからの事業運営と新たな展開への意欲を持つとともに、知識、技能のレベルアップ等に努力していただくことを願いつつ、市も支援してまいることを申し上げ答弁といたします。 なお、その他のご質問につきましてはそれぞれ各部長から答弁をさせます。 ○議長(蛇口原司君) 伊藤都市整備部長。             〔都市整備部長 伊藤行雄君登壇〕 ◎都市整備部長(伊藤行雄君) 公営住宅の建築、建てかえ計画の質問にお答えいたします。 現在、宮古市で管理している公営住宅は14団地、 776戸となっておりますが、この中で建てかえ事業につきましては、建てかえ対象住宅の適切な選定を行い、昭和62年度から中里団地、山口団地と進めてきたところであります。市営住宅再生計画では、引き続き佐原団地の建てかえ事業に着手する計画でありましたが、バブル崩壊後公営住宅も量から質へと転換する時代を迎え、障害者などに対応するための福祉施策との連携、長寿社会を迎えてのバリアフリー化対応あるいは居住水準の向上、積極的な民活導入型の事業の提案など、市民のニーズに合わせた良質な市営住宅のあり方が問われております。あわせて、厳しい財政事情でありますことから、これらに対応できる総合的な計画策定が必要と考えております。平成13年度にスタートする第6次宮古市総合開発計画後期計画に向けて、市営住宅の方向づけをして整備できるよう努力してまいります。 なお、老朽住宅も少なくないことから個々の住宅の状況に応じて維持管理等、適切な戸数管理を行うため、維持補修費の確保に努めてまいりますので、ご理解くださいますようお願いいたしまして答弁といたします。 ○議長(蛇口原司君) 鈴木総務企画部長。             〔総務企画部長 鈴木英夫君登壇〕 ◎総務企画部長(鈴木英夫君) 最初に、入札制度の透明性、競争性についてのご質問にお答えをいたします。 公共工事は、産業活動や日常生活の基盤整備、地域の保全や災害復旧等のために行われるもので、入札行為を厳正かつ公正に執行するためには、透明性、競争性及び公平性が確保されなければならないことは議員ご指摘のとおりでございます。 入札契約制度には、大きく分けて一般競争入札、指名競争入札、随意契約の3種類の方法がございます。一般競争入札方式は、公告によって一定の資格を有する不特定多数を対象にした入札の方法であり、比較的大事業に適用されておりますが、競争性が高い反面、不良・不適確業者が混入する可能性等のデメリットもあり、導入するためには発注に係る事務処理体制の整備が不可欠であります。また、指名競争入札方式は工事の施工の質を確保するため、信頼し得る施工業者を指名により選定し入札を行う方式であり、国・地方を通じて幅広く活用されております。随意契約は、個別に選定した特定の者を契約の相手方とする方法でございます。 宮古市は主として指名競争入札方式を採用しておりますが、指名競争入札における透明性の確保につきまして、指名基準に従って業者を選定し、指名業者、入札経過及びその結果並びに発注標準を公表することに努めております。 さらに、平成11年度から予定価格の事後公表を行い、不正な入札を防止し、積算の妥当性の向上を図りたいと考えております。競争性の向上を図るためには、入札参加者の公正かつ自由な競争を確保することが必要であり、入札自体が自由にできるよう明文化し、真に落札意欲がある業者のみによる入札ができるよう努めているところであります。 また、公平性の確保のためには、指名基準の策定、市営建設工事請負資格審査委員会においての審査、業者数の多い工事については班編成による発注等を行っているところであります。今後とも一層の透明性、競争性の確保を図るため、入札契約制度のあり方を調査、研究してまいりたいと、ご理解のほどをよろしくお願いいたします。 次に、財政難のしわ寄せを教育・福祉分野に行わないことへのご質問にお答えいたします。 平成11年度の予算編成に当たりましては、極めて厳しい財政環境の中にあって各部のリーダーシップのもと、各部ごとに所管の事務事業を見直すなど部単位での予算要求がなされたところであり、その予算要求総額は210 億 1,678万 5,000円となったところであります。また、予算編成に当たりましては、歳出全般について徹底した経費の削減に努めるとともに、投資的経費については、宮古市総合開発計画に計上された事業の範囲内とし、事業の優先度、緊急度により厳選して編成したところであります。 その結果、予算案総額が 189億 2,010万円、要求総額に対し90%の予算措置となり、限られた財源の中で可能な限り、各部の要求に沿ったものであると思っております。したがいまして、福祉・教育の分野におきましても可能な限りの予算配分を行ったところであり、限られた財源の効果的な配分に努めているところであります。 また、改善目標やその達成度合いについてでありますが、福祉分野については、老人保健福祉計画などの計画により事業を進めており、平成10年度はサテライトデイサービスや寝たきり老人等送迎サービス事業なども新たに実施したところであり、平成11年度はホームヘルパー派遣を 365日実施する予定であります。千徳デイサービスセンター、老人保健施設や知的障害者の援護寮の建設も予定されており、計画に沿って順調に進んでいると考えております。 教育については、教育振興基本計画に基づき、教育、文化、スポーツ等、広範囲にわたり事業の推進を図っているところでございます。特にも学校建設においては、平成10年度は花輪小学校の校舎、屋体、給食室が完成したところであり、重茂中学校屋内体育館は予算化したところであります。平成11年度は花輪小学校のプール建設事業を予定しております。また、情報教育を推進するため、すべての中学校にインターネット機能を備えたコンピューターの設置を予定しているなど、各分野ともほぼ計画に即して進んでいるところであります。 次に、市民の適正な税負担を実現させる固定資産税の負担軽減についてお答えいたします。 固定資産税の税率につきましては、地方税法において標準税率が 1.4%、制限税率が 2.1%と定められております。宮古市の税率は平成4年度に 1.6%から 1.5%に改正され、現在に至っております。ちなみに固定資産税と都市計画税を合わせた税率について県内13市の状況を見ますと、標準税率 1.4%を適用している市が2市、1.45%が1市、 1.5%が7市、 1.6%が3市となっております。 標準税率を 1.4%に引き下げることにつきましては、これまでもご質問いただいているところでございますが、ご承知のとおり、固定資産税は市民税とともに主要な税でありまして、市財政の中で貴重な自主財源となっております。厳しい経済状況が続く中で、納税者の税負担は決して軽くないと認識しておりますが、一方で市民からの要望、課題も山積しており、その財源確保に苦慮しているところであります。固定資産税の税率を標準税率の 1.4%に改定することについて検討してまいりましたが、 0.1%引き下げることによって約1億8,000 万円ほどの減収が見込まれ、市の税収全体の伸びが期待できない現在の状況においては、税率の引き下げは難しいものと思っておりますので、どうかこのような事情をご理解のほどよろしくお願いをいたします。 次に、公共用地の先行取得についてのご質問にお答えいたします。 公共用地の先行取得に当たりましては、公用もしくは公共用に供する土地、または公共の利益に要する土地をそのときどきの行政需要、地域開発の推進、環境整備等を勘案し、取得を進めてきたところでございます。 しかしながら、先行取得した用地の中には社会情勢の変化などにより、当初の利用目的どおり利用されていないものがあることも事実であります。 ご質問の1点目の取得済み用地の利用計画の具体化についてでありますが、先行取得した用地のうち、宮古駅前駐車場用地については当初の利用計画とは違う利用形態とはなっておりますが、その利用状況は盛況であるとともに、駅前の環境整備が図られるなど有効に活用されているものと考えております。その他、医療の村用地がございますが、引き続き医療関連施設の誘致を進めているところであります。また、千徳第二地区保留地につきましては、これまでにも三陸縦貫道関連用地としてお話をしてございますが、宮古ルートが決定され次第、同用地の利用計画を具体化してまいります。元職業安定所跡地につきましては、都市計画道路事業和見磯鶏線の代替用地として提供することが決定されており、舘山の用地につきましては近隣公園等、市民の憩いの場として整備を進める計画であります。また、日冷跡地につきましては、鍬ヶ崎地区の活性化の一環として出崎地区の開発を視野に入れながら、地域の核としてふさわしい施設等について、その利用計画を慎重に検討していくべきものと考えております。 ご質問の2点目の先行取得の見直しについてでございますが、先行取得に当たっては利用目的が明確なもの、利用の時期の見通しがあるもの、将来公共の利益に用される見込みのあるもの、時価に比べて著しく低い価格で取得できるものなどの条件を十分勘案して、取得することが必要不可欠となるものと考えており、長期にわたり未利用の用地が残ることのないよう慎重に対応すべきものと思っております。 いずれにいたしましても、公共用地の先行取得については、そのときどきの社会情勢等の変化をにらみ、極めて政策的な判断が必要なことから、取得に当たりましては企画調整会議での検討結果を踏まえ、庁議決定を行い、議会にお諮りをしながら事務を進めてまいりますので、ご理解を賜りたいと思います。 以上、答弁といたします。 ○議長(蛇口原司君) 吉田生活福祉部長。             〔生活福祉部長 吉田 武君登壇〕 ◎生活福祉部長(吉田武君) 国保税の負担減についてお答えいたします。 さきの6月議会におきまして、税の平準化を目的とした税率の改正を行ったわけでありますが、これが現在どのような実績になっているのか申し上げます。 調定額総額で見ますと、1月末現在の調定額は15億 7,000万円となっております。これを9年度実績に比較しますと1億 7,000万円の減税となり、これを1世帯当たりで見ますと15万 7,000円、被保険者1人当たりで7万 4,000円と、前年度に比べましてそれぞれ2万 3,000円と1万円の減税となっております。 次に、本年度の国保を取り巻く情勢を申し上げますと、最近の不況の影響を受けて国保加入世帯、そして加入者の増加の傾向が示されております。このことは、医療費の増加と税収の増加を促すことになります。税収の増加は税率改正時に試算した減税額を圧縮することになり、試算時点での税額とのずれになってあらわれております。今年度の医療費の状況を申し上げますと、一般国保はわずかな上昇の傾向にあります。 しかしながら、退職者国保は医療費の伸びが激しく、昨年度に比較しまして10数%の増加率となっております。退職者国保に係る医療費の伸びの原因としては、本年度に入院患者数が激増していること、しかも心臓疾患などの高額の手術件数などがふえていることから、退職者の方々へのより一層の保健事業の重要性を感じております。国保会計は医療費の動向の予測がすべての基本となります。過去の実績等から未来を予測するところでございますが、昨年暮れから最近まで流行したインフルエンザの影響や今後の医療費の動向、また今後確定してくる国庫補助金の動向、あるいは思いがけない被保険者の増加などといったさまざまな要因によって、数千万円単位で変動する会計でもあります。今後とも医療費の動向を総合的に判断しながら、適正な国保会計の運営に努める所存であります。 また、現在の税率でありますが、これは平成14年度までの5年間の収支を見込み、それに合わせて設定した税率であります。これは被保険者の方々の負担をできるだけ低くするために、基金の投入を含めた中で必要にして最小限の税率として設定したものであります。今年度の収支はもちろんのこと、今後5年間の動向にも照らし合わせながら、注意深く見ていく所存でございます。 以上、答弁といたします。 ○議長(蛇口原司君) 田中尚君。 ◆23番(田中尚君) 一通りお答えはいただけたものと理解をしておりますが、まずそこで再質問であります。質問通告の順に再質問させていただきたいと思います。 まず、第1点でありますけれども、先ほどのお答えですと、総合開発計画の中に位置づけられている公共事業計画の中で、優先順位を考慮して厳選をして決定をしたというのが説明の中にございました。私は総合開発計画の中にあるものも含めて、公共事業の評価等も十分検討を加えて思い切った見直しをする、そういう状況に今きているんではないかというふうに思うわけでありまして、残念ながらそういう点では、私の期待した答弁にはならなかったということをまず最初に指摘したいわけであります。 そこで再質問でありますが、いま県もそうでありますし、全国的にも事業の効果、つまり評価を行う機関といいますか、検討委員会といいますか、そういう部分で従来行ってきた公共事業、それから今後予定されております事業、それぞれどういうふうに評価をするのかということが、私は非常に大事になってくるんではないかと思うわけなんですが、その辺はどうなっているのか、もう一度お答えをいただきたい部分があります。 それから、入札制度の問題でありますが、これは従来型の答弁の枠を出ていないということです。私も今まではどうするんだ、どうするんだということの質問だったので、今回はちょっと角度を変えて具体的な提案をしたつもりであります。 1つは、先ほどの質問の中でも触れてあるわけでありますけれども、この会計法上は原則とされております一般競争入札制度がなかなか採用されていないと、こういう現実は何なんだという点では、適正な工事が期待できない云々かんぬんということがありましたが、それが本当の理由ではないわけでありまして、この部分での改善、工夫が私は必要ではないのかなと思っております。端的に言えば、いま指名競争入札制度の欠陥が明らかになっているために、建設省を初めあらゆる関係機関がこれの改善と、それからそれに伴う予定価格が何となく秘密のベールに包まれているということですが、中小企業分野に言わせますと受注の調整という言葉になるそうでありますが、実際上、大変表現悪いですけれども、談合が行われているんではないかと、いわば想像できるような落札の状況がずっと続いているというのが、指名競争入札制度の欠陥として指摘されているわけであります。 したがいまして、岩手県はもう今年度から予定価格についての事後公表はやっておりますし、建設省も何ら構わないと、やれということですし、全国的にはこの問題については予定価格を事前に公表するということで、競争入札の透明性あるいは公平性を図ろうとしていろいろ試行錯誤しているというのが現実の姿であります。宮古市はその点でどういう、いわばその問題意識と改善の方向があるのかという点が、私にとってはなかなかはっきりしていないんじゃないのかなというのが印象でありますので、私が先ほど壇上で提案いたしました問題について、今後、これは私がいま言う問題じゃなくて、いろいろ全国の試みを見れば、当然いろいろな挑戦をしているわけでありますから、宮古市はそれをどういうふうに受けとめてどうしようとしていたのか。市長が市政運営方針で掲げた政策官庁への脱皮の、いわば第一歩といいますか、試金石とも言うべき問題だと思いますので、この点についてもう一度お答えをいただければ大変ありがたいなというふうに思います。 もう一度繰り返しますが、公共事業の具体化に当たってのいわば選択基準をどういうふうに設けるのかということが、まだ明確でない。単に優先性、緊急性ということのみでは、非常に客観的に見た場合に、ミスマッチする場合もあるのではないかという点が第1点でありますし、第2点は、指名競争入札でいろいろ指摘されております欠陥をどういう形で改善ができるのかと、この2点についてもう一度お答えいただきたいと思います。 ○議長(蛇口原司君) 熊坂市長。 ◎市長(熊坂義裕君) 自席からお答えいたします。 まず、最初の質問についてですけれども、公共事業についてどのように事業評価を行って、どういった優先順位の基準をつくっていくかということでございます。これに関しましては、各自治体が恐らく県も市町村も含めて、大変にいま悩んでいるところではないかと思います。しかし、県なんかも事業評価の基準を厳密ではないですけれども、いま決めつつありまして、私どももそういうふうな基準というものを、将来的には決めていかなくてはいけないんではないかなというふうに思っております。ただ、今の状況ではなかなかどういったものを評価基準にしたらいいかというのが、はっきりとまだお示しできない状況にございまして、これもいろいろな他市町村の状況を見ながら私どもも将来的には考えていきたいというふうに思っております。 優先順位ということですけれども、やはり緊急性あるいは重要度の高いものを今の段階では、私としては選択をしてやっていきているつもりでございます。将来的にはそこに、例えば文章化した評価の方法というものも加わってくるべきものと考えておりますけれども、現在のところは、まだそこまではいっていないのが現状でございます。 それから、入札制度につきまして一般競争入札と指名競争入札と、どちらも利点と欠点があるわけでございますけれども、県などは一般競争入札に徐々に変えていくというふうなことでございますけれども、宮古市の場合、現在指名競争入札をしております。指名競争入札の利点も、先ほど部長が答弁したようにあるわけでございまして、ことし情報公開が4月から実施されますし、またそれに合わせて予定価格の事後公表も4月から実施予定としておりますので、そういった意味で公平・公正を図るということに関しましては、一歩ずつではありますけれども、前進をしてきているのではないかなというふうに思います。この一般競争、指名入札に関しましても大変難しい問題で、なかなか結論が出ない問題だとは思いますけれども、これも将来的には一般競争入札の方向性も見ながら、やはり考えていかなければならないんではないかなというふうに考えております。 ○議長(蛇口原司君) 田中尚君。 ◆23番(田中尚君) 最初のお答えの分については、私は必要な機関の設置を検討すべきだというふうに思うんです。あとの問題については、どれだけ全国の情報を収集して検討するかという部分に係る問題だと思いますので、今後の問題とすれば公共事業の評価委員会、どういう名称になるかわかりませんが、そういうものを目的とするような委員会の設置に向けた準備を行うということが、私は一つの方向づけとして打ち出される必要があるんではないのかなと思います。それが第1点。 もう1つは、条件付一般競争入札ということが私どもの党が提起している中身でございまして、これは先ほども申しましたように、中小企業優先ということを前提に、それに配慮して、工事規模に対応して入札参加資格を限定すると、制限すると、あとはそれを前提にして一般競争入札で入札をしていただくということの方法を提案しているわけでありまして、この条件付一般競争入札という部分が、具体的に県内でどこでやられているかということになりますと、大変残念なことにまだないのではないのかなと思います。 しかし、指名競争入札の欠陥と地元企業優先ということを両方統一させようとすれば、私は行き着くところはこれしかないのかなというふうに思いますので、そういう点でぜひこの問題を実際に施行するということが大事だと思います。職員の方でも既にご存じの方もいると思いますが、指名競争入札方法の中で競争の公平性が図られるためにどうするかということで、例えばこういう方法を採用しようとしているところも生まれております。 それは、1つの発注工事に入札参加資格の指名を決定する方法を、入札の直前に抽選で行うという方法をやろうというのが出ているところもあります。これは非常に指名競争入札の業者間の調整をしにくくするという点で、非常にこれはおもしろい試みだなと私は思うんです。そういうふうなことも、実際にはいろいろ知恵を尽くせば出てきているということですので、わたしは参考までにこれは申し上げますけれども、問題は大変予算をかけて日本は公共事業に50兆円、社会保障に20兆円という、こういう莫大なお金を投資して、それが景気をよくするいわば決め手だということでやってきてはいるわけですけれども、なかなかそうなっていないという状況の中で、一つには全国的には社会保障を充実しなくてはならないということがありますし、もう一つは公共事業の分野での予算の効率的な執行、適正な価格で適切な工事を行ってもらうと、これをどう具体化するかということが私は大事な問題ではないのかなと思うわけで、そういう点ではこういう事例もありますのでひとつその点について、いや、田中議員にそんなこと言わなくてもそういうことはわかってるんだと、しかしこれこれの事情で今までのやり方できているんだということなのか、それとも情報が初めて聞いた中身だということになるのか、その辺も含めて率直なお考えをお聞かせいただければと思います。 ○議長(蛇口原司君) 鈴木総務企画部長。 ◎総務企画部長(鈴木英夫君) 今の後段の方の一たん指名をして、入札直前にさらに抽選して入札をすると、そのことによって競争性が高められるのではないかと。今のお話は初めて聞くわけなんですが、県内では多分そういう方法はやっていないと思います。また、そのことによって、10社なら10社のうちから7社とかやりますと、3社が抜けると。これは抽選ですから一方では公平かもしれませんが、何回もやる中で、ある一定の業者が入札に参加できない場合もあると。いろいろ問題があるのではないかなと、ちょっとそのことについて全国的にもあるのかどうか確認したんですが、抽選でやるのは、一般競争入札の中でそういうのがあるやには一部聞いておりますが、指名競争入札の中ではそういうのはないように思っております。もし、そういう事例がありましたら後で教えていただきたいと思います。 以上です。 ○議長(蛇口原司君) 田中尚君。 ◆23番(田中尚君) そういう一つの改善に向けての問題意識をどう持つかということでは、今まで申し上げてきた中身に尽きるわけでありまして、ひとつ今後改善に向けてどういう方法がいいのか、非常に困惑をしているということでありますので、私どもの情報と同時に市当局も、ある意味では専門職でありますからその点を十分調査、研究をして、よりよい方法を生み出すということでぜひ実らせていただきたいと思います。 そこで、2つ目の質問に移らせていただきますが、先ほどのお答えを伺いますと、教育・福祉の問題については計画どおり順調に進んでいるという当局の評価もありました。私はこれは介護保険の実施に向けての基盤整備、これはこういう言い方しては大変市長に失礼な言い方になるかもしれませんが、熊坂市長でなくてもこれは制度として、千徳のデイサービスセンターは当然掲げられていた部分でありますから、全国の市町村が介護保険の実施に向けての基盤整備、これはもう既に老人保健福祉計画をつくった段階で、ある程度のものは出ております。 しかし今、それとの関連で不足しているのは、後でありますので、私余り展開するつもりはありませんが、特別養護老人ホームの問題もありますし、そういう意味ではもっとソフト的な部分での福祉の充実というのは、私は熊坂市長が掲げた公約との関連で大いに期待もし、関心も持っていたわけでありますが、なかなかこれが出てこないというふうなのが率直な印象であります。 具体的にはどういうことかと言いますと、例えば県の制度事業として行われております乳幼児の医療費無料化の問題、隣の釜石市が学校に上がるまで、いわばかさ上げをして乳幼児の医療費を無料にするということが行われておりますし、山田町でも聞くところによるとそれを今年度から行うと、つまり11年度から行うというのが出されております。よく引き合いに出します隣の新里村でも、同様にこういう方向で踏み切ると、つまり県の制度事業を足かがりにして、それに市民から預かった税金を上乗せして、住民に喜ばれるような市の独自のといいますか、あちこちでやっていますと独自に余りならないわけでありますが、しかし住民サービスという分野からいけば、間違いなく宮古市は、この事業の比較で見れば立ちおくれをとっていると、そういう客観的な状況にあるわけでありまして、私はそういう部分もいろいろな提案があるわけでありますけれども、結局それが財政難のためになかなか具体化されにくいというのが実態ではないのかなと思うわけであります。 したがいまして、先ほどの総務部長の答弁は、あくまでも従来の総合開発計画のこの進捗状況から見れば、それは順調に推移をしているということでありまして、我々から言わせれば従来の総合開発計画そのものが、こういうソフト的な部分で非常に不足していると。したがいまして、これからはこういう分野についての施策も充実をしなくてはならないんではないのかということを、ずっと予算あるいは決算委員会のたびに申し上げてきておりますので、この点について宮古市は今後もそういう分野については、大変財政難のためによその市よりは多少見劣りはしますけれども、残念ながらそれはできないということになるのかどうなのか、その点についての考え方、市長の決意といいますか、その辺を明確にしていただきたいと思うわけであります。 ○議長(蛇口原司君) 熊坂市長。 ◎市長(熊坂義裕君) お答えいたします。 私も今の少子高齢化社会の中にありまして、福祉、それから教育の分野に力を入れていかなければならないということを強く思っておりますし、またそういった施策の展開を打ってきたつもりでございます。 ただ、ご指摘のように、宮古市の財政状況は大変に厳しい状況に追い込まれておりますので、その中で優先順位をつけて、極端に言いますと福祉や教育の分野でもやはり見直し、スクラップ・アンド・ビルドを考えながら、そしてどれに力を入れていったらいいのかを考えながら、福祉・教育に力を入れてやっていかなければならないというふうに決意をしております。 また、これから議会におきまして新年度予算についてもご審議いただきますけれども、そういった配慮をさせていただいたつもりでございます。現在のところ、民生費に関して言いますと25%程度になっておると思いますけれども、これに関しましては、他市に比べまして非常に高い数値ではないかなと、もちろん扶助費が高いということもございますけれども、私とすれば福祉の分野に力を入れさせていただいた結果ではないかなというふうに思います。 もちろん、総合開発計画の中で千徳デイサービスセンターをつくることは決まっておりましたけれども、また私になりましてからも老健施設の誘致、あるいは在宅福祉に関しましても24時間ホームデイサービスやサテライトデイサービス事業、あるいは搬送事業等をいろいろと施策的にもやってきておりますので、これから充実していくものではないかなというふうに思っております。 ただ、私の悩みといいますのはどうしても財源が厳しいと、その中でどうしたら福祉・教育、そういうところにもっと力を入れていけるのかなということを常にいま悩んでおりまして、そういうふうな状況に今あるわけでございますけれども、力を入れるということに関しましては全く変わってございませんので、お答え申し上げたいと思います。 ○議長(蛇口原司君) 田中尚君。 ◆23番(田中尚君) その政策の優先順位の問題だと思うわけでありますけれども、だから私はこの公共事業の分野で本当に継続事業であっても進めていくということが、事業によってはあるいは先送り、つまり3年ででき上がるものを5年、6年とか、そういうことも含めて、やはり必要な財源を生み出していくということも一方では必要ではないのかなと思うんです。そういう意味でやはり公共事業との関係で、えてして投資的経費の確保という大号令がかかっていますので、これはそういう部分といま話に出ました保育料の引き下げの問題とか、いろいろなソフト的な部分、直接住民の懐に反映するような政策の問題は、なかなか財政難ということで具体化が先送りされている状況でありますので、これはこれとして、市長の意欲はあるんだけれども、ないそでは振れないというふうなことの認識のようでありますが、私はもう一歩踏み込んで、それを可能にするためにもやはり事業全体のスクラップ・アンド・ビルドという部分が、私はもっと研究の余地があるのではないのかということを申し上げたいわけであります。 時間の関係もありますので、今のソフト的な部分については私は予算委員会でもっとさらに突っ込んだ質問をしたいと思いますので、これはこの程度にとどめたいわけでありますけれども。 次の質問であります。固定資産税の問題でありますけれども、これも同様なんです。つまり財政難だということになりますと、一方では国が景気刺激策だからやりなさいという部分はある程度消化できると。しかし、こういう問題については全く先送りされるというのは、やはり従来型の財政運営に軸足を置いているということが大きな原因ではないのかなと思います。私はそういう部分を多少見直しをすれば、1回に実現できなくても、例えば固定資産税に関して言いますと、標準税率を下げると1億 8,000万円と言いました。これを例えば現行の 1.5%から 0.005%下げるとか、やはり段階的に本来の姿に向けた努力というものをやるかどうかということは、すぐれた政治的なやっぱり私は判断だと思いますし、市長の政策カラーはやはりこの部分で発揮される問題ではないのかと思いますので、これはこれとして、先ほど総務部長からのお答えがありましたが、そういうふうにした場合に、どこでじゃそれを可能にする財源を生み出すことが可能なのかということを本当に内部で検討しないと、私はこれはずっと未来永劫できないんではないのかなと思うんです。 我々の任期は4年でありますし、市長も任期は4年であります。4年の中でどれだけのものを任期中のどの時期にやるかという部分は、みずからその実現の期限を設定して、私はやはり積極果敢に挑戦しないと、なかなかめり張りのきいた予算にはならないんではないのかということをこの機会に指摘をしたいわけでありますが、どうでしょう、そういう点で考えたときに、国保税の財政運営の問題も、これも従来と同じやり方なんです。中長期的に、つまり5年間のスパンでやって、そして過大な積立金を温存しているというのは、これも何ら市長がかわったから特にどうのこうのというものではない。つまり政策が何なんだという部分が、私はこの部分でも生かされていないのではないのかなということを言いたいわけでありまして、この点についても、私は財政難でいろいろ意欲はあるんだけれども、なかなかそれが実現に移しにくいという状況は客観的には理解できますけれども、じゃそういう中でいま何が足りないのかという点になりますと、どうもその辺がいまひとつ見えてきませんので、もう一度その辺を市長がどういう政策判断をお持ちなのか、お伺いをしたいわけであります。 ○議長(蛇口原司君) 熊坂市長。 ◎市長(熊坂義裕君) お答えいたします。 議員が今おっしゃられましたように、期限を決めて決断をしていくということは非常に大事なことだと思います。それは我々行政に求められるべき姿勢だと思っておりますし、私も常々そのことを心がけているつもりでございます。就任して1年7カ月になりますけれども、いろいろな分野で決断はしてきたつもりでございます。 この固定資産税の問題に関しましても、平成4年に 1.6%から 1.5%に引き下げられたと、標準税率が 1.4%であるということもよく承知をしております。また、引き下げますと1億 8,000万円の減収になるということも承知をしております。引き下げによりまして、今度は逆に景気が回復して税収が伸びれば、またそれでいいんではないかということも話としてはよくわかるわけでございますけれども、今いろいろと山積する課題の中で、この固定資産税のところに、もちろん低い方がいいに決まっているわけですけれども、これを1%あるいは 0.5%も下げる決断をということでございますけれども、私もいろいろ悩みましたけれども、これに関してはまだそこまでやれる時期にはないというふうに思っております。これから市の経済が回復してきて市民税あるいは固定資産税がふえるような状況になった場合には、当然そのことも議会で何度も議論になっておりますから、そのときに決断できる時期が来るのかというふうには思っておりますけど、現在のところでは、そこまでの決断には至れないというふうな状況にございます。 それから、国保税に関しましても、去年の6月の議会で平準化をさせていただきました。これによりまして、いま保有資金がたくさんあるというふうな話をされましたけれども、これに関しましても恐らく数年でかなりの部分を取り崩さなければ、また逆に取り崩すことを前提とした税率の改正をさせていただきまして、減税をさせていただいたつもりでございます。このことも、私とすれば決断をさせていただいたというふうに思っております。今すぐにいろいろなものが、確かに議員がおっしゃる方向が私も正しいと思います。しかし、現在のところそこまで決断できる財政環境にないということもご理解をいただきたいというふうに思います。 ○議長(蛇口原司君) 田中尚君。 ◆23番(田中尚君) 固定資産税の問題について言いますと、市長の公約にはなかった部分でありますので、私がそれを詰めるというのは大変気の毒のような気もするわけでありますけれども、しかし行政の継続性という面から考えますと、これは行政の姿として標準税率が本来の姿なんだと、じゃ今の姿は異常なのかというふうなことになりまして、標準税率を超える高い、つまり金額にしますと1億 8,000万円ほどのやはり過大な税負担をお願いしているというのには、それなりの理由がやはりあるはずであります。 したがいまして、その辺も含めて、市長の今のお話を伺いますと、4年の任期中にこの問題については自分は余り考えていなかったけれども、何とかこれの実現に向けるように考えていく気持ちがあるのかないのかということまで詰める質問になっていくわけでありますけれども、一方で余り詰めてこちらの期待に反したお答えが出てしまっても、大変これも困ることになりますので、私は今までの前向きな答弁を生かして、それが早期に実現されるような、やはり財政環境に今後ひとつご努力をお願いしたいというふうに改めてこれはお願いをしておきたいというふうに思うわけであります。 4番目の産業振興策につきましては、非常に市長からは、私のメモに間違いがなければ、工業振興の基本条例というものを策定中だというふうなことであります。これは過去におきましても議会が、仮称でありますけれども、産業振興条例をつくって中小企業を支援するという、いわば宮古市としてのいろいろな施策の根拠を、条例を制定するということで明確なものにするということの決議が採択された経過がありまして、それが姿になりつつあるのかなと思って伺ったわけでありますが、ただ工業という部分に限定してしまいますと、なかなかこの点では宮古市は一方では非常に自然環境に恵まれた田舎町でありますので、農業やあるいは漁業等についてもこれらの基本条例が当然やはり使われると、行き渡るというふうなものにする必要があると思うんですが、その点ちょっと工業に限定をしていくということになるのかどうなのか、もう一度その辺を明確にお答えをいただきたいと思います。 ○議長(蛇口原司君) 宇都宮商工観光課長。 ◎商工観光課長(宇都宮満君) 先ほど市長からお答えいたしましたのは、宮古市が今年度、工業振興の基本方向を定めると、その作業中であるということを申し上げました。田中議員ご指摘の、以前にもご質問があったようでございますが、中小企業振興基本条例、これにつきましても実は私どもその視野に入れてございます。ただ、今の宮古市の現状を見ますときに、水産業、農林業につきましては一定の方向性が示されておりますけれども、製造業を中心とした工業の進むべき方向性がいまひとつ明らかになっておらなかったということから、水産業あるいは農業の分野の中でも、製造業を含めた宮古市の工業のあるべき方向を定めたいということで、目下その基本的な方針を策定しようとしている段階でございます。当初から条例化するのも一つの方法であろうかと思いますが、私どもは条例化するに当たっても地域の特性なり、あるいは産業の構造、工業一つをとりましても現状と課題、あるいは経済環境、こういったものを分析しながらその方向づけをまとめ、その上でいわば条例化するに当たりましての環境を整えた上で条例化に持ち込みたいということから、現時点では製造業を中心とする工業基本方針、こういうものに取りかかっているところでございまして、目指すところは宮古市内の中小企業の振興策というふうにご理解をいただきたいと思います。 ○議長(蛇口原司君) 田中君にお願いがありますが、4番、5番、これはさらにあなたもみんなも深めたいと思うのでありまして、予算委員会で審査するに最も好個の課題と思われますので、そっちの方に譲っていただけませんか。あなたは大局に立った一応の論は展開しておりましたし、4、5は予算委員会の方でも、論議はそっちの方へ譲っていただきたいと思います。いかがでしょう。簡単にして終止符を打ってください。 ◆23番(田中尚君) 今の課長の答弁を了としたいわけでありますが、最後になります。公共用地の問題については一言だけ。 今回、九分団の用地を 5,000万円で取得するという作業が一方では進行おります。 5,000万円というのは全く買うものによっては大変大きな金額であります。消防の屯所のいわば用地取得ということでありますが、あればあるものだなと、財源についてですね--という思いがするわけであります。 それはさておいて、五月町の消防庁舎の用地をこの機会に私は見直しをして、あそこあたりを例えば市民に分譲するとか、現在の消防庁舎、野沢消防長がお見えでありますけれども、私は五月町にあの庁舎をつくるときから、あんなに過大な面積は必要ないんだということをずっと指摘をしてきた経過があるわけであります。この用地を効率的に使うことによって、九分団の屯所用地の財源を 5,000万円まるまる持ち出しにならないような工夫というものを、すべきだということを申し上げたいわけであります。 この点について私は最後にお答えをいただきたいと思うわけでありますが、つまり一つの仕事をしようとするときに、一方では財源を生み出すような方法はないのかということが、大事だと思うんです。同じ消防防災行政の充実をするのであれば、この機会に五月町の消防用地は、本当に必要な部分だけ残して売っちゃうというのも一つの方法ではないか。あるいは代替地として市民に与えるということであれば、今後の都市計画に当たって公共用地を先行的に取得するという点での財政支出が要らなくなるわけでありますから、その点も含めてぜひ改善していただきたいと思うわけでありますが、多分消防庁舎の用地を見直すというのは、考え方にないんでしょう。総務部長、どうですか。 ○議長(蛇口原司君) 鈴木総務企画部長。 ◎総務企画部長(鈴木英夫君) お答えします。 九分団の方の財源につきましては、土地開発基金の方を予定してございます。太田地区の売り払い収入が入りますので、それらを見ながら活用していきたい。今の五月町の方の用地につきましては、これまでもハーフマラソンであるとか、あるいは産業祭りあるいは消防の出初め式といったような形で有効に活用されていると思いますけれども、今後の課題とさせていただきたいと思います。 ○議長(蛇口原司君) 暫時休憩いたします。             午後2時45分 休憩             午後3時00分 再開 ○議長(蛇口原司君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 4番、中嶋榮君に質問を許します。 中嶋榮君。             〔4番 中嶋 榮君登壇〕(拍手) ◆4番(中嶋榮君) 私は平成11年3月宮古市議会定例会において、質問通告に従って質問をしてまいります。 最初に、宮古市の行政改革についてお伺いします。 当市は平成10年4月1日から部制を導入し、はや1年が経過しようとしています。熊坂市長は平成9年7月の市長選に6点にわたる公約の中で、第1番目に徹底した行財政改革の断行を掲げて当選を果たし、その年の9月定例議会の質問で市長は行政改革の中に部制をどのように考えているかとの質問に対し、部制導入による組織機構の見直しは私の公約でもありますので、今後積極的に取り組んでまいる所存ですと答弁をなされた。 また、徹底した行財政改革とは、その具体的内容を伺いたいとの質問に対しては、具体的には市民サービスを徹底するため現在の横並びの課制を統廃合して、市民サービスを受けやすく、職員が仕事をしやすい環境をつくることである。また、サービス面など総合的に検討し、可能な限り民間委託を進め、簡素で効率的な行政運営に努めてまいりますと力強く答弁なされた。 この公約どおり、半年後の平成10年4月1日には部制導入を実施なされた。このスピーディーな姿勢に敬服をいたしております。 従来、19課1所5室57係を4部15課6室50係に改正なされた。総務企画部が5課2室14係で職員数約88人、生活福祉部が4課1室14係25施設で職員数約 200人、産業振興部が3課1室11係4施設で職員数約51人、都市整備部が3課2室12係1施設で職員数75人。その執行機関等からの宮古市行政組織機構となっていますが、部制が導入され1年が経過しようとしますが、部制導入の成果はどのようなものか、またデメリットはなかったのかご所見をお伺いしたい。 また、部制導入の構成を比較しますと、著しく生活福祉部の施設数及び職員数が圧倒的に多く、偏りが見受けられます。果たして、部長や課長の事務処理と職員の管理監督がスムーズに行われているのか懸念され、このことで市民へのサービスに影響はないのか心配しています。 ここで、1年が経過する中で検証し、不合理なところがあれば実態に即した機構に改善すべきと思いますが、いかがでしょうか。 また、本年1月4日から総合窓口の開設をし話題を提供しましたが、当市がコンピューターを使用した新住民情報システムの開発で、届け出や証明書の発行が1つの窓口ででき、各課ごとに申請書を何度も書く手間が省けて市民の立場に立っての窓口業務を改善したことで、市民にサービスが提供できると宣伝なされている。 総合窓口制と新システムの導入費には、5年間でコンピューター機器とリース料を含め総額約7億円かかり、6年以降はリース料が軽減されるので年間 3,000万円から 4,000万円となり、従来の年間委託料に比較して6,000 万円から 7,000万円の経費節減が図られるとお伺いしております。 しかしながら、市民からの声は総合窓口になったら従来より時間がかかると苦情が寄せられたこともあり、私も何回か実際に市民生活課の総合窓口に足を運び実態を見ております。そのときには導入されて間もないので、職員の方々もふなれのせいもあったようで待ち時間も長くかかっており、市民の皆さんは不満の様子でありましたが、現在はスムーズに流れているようです。 この3月、4月と転入・転出の時期を迎え、来客数が非常に多くなると聞いておりますが、対応をどのようにお考えになっているのかお伺いします。 総合窓口への来客は、一般的に市民生活に欠かせない住民票、印鑑証明書や税証明書等が多いように思いますが、それらの証明書の発行を盛岡市ではマリオスに自動交付機を設置し、市民へのサービスを図っていると聞いています。宮古市も自動交付機を市民が買い物等で集中する場所に設置し、地域住民の利便を図るとともに、その自動交付機を設置することにより、総合窓口の混雑を緩和できるのではないでしょうか。また、そのことにより、よりよい市民サービスができると思いますが、当局のお考えをお示し願いたい。 次に、宮古市の観光振興についてお伺いします。 当市の観光振興は、昭和59年に策定した宮古市総合開発計画をもとに進められてきましたが、社会経済の変化、観光ニーズの多様化、やがて来る高速交通に伴う新たな観光振興基本計画の策定が急務となっています。このようなことからも、21世紀を展望した観光振興の基本計画の目標を明らかにして、その目標を達成するために邁進する以外にないと思います。 こうした中、三陸縦貫自動車道路、宮古道路 4.5㎞が新規着工準備箇所に採択され、平成11年度から事業着手に向けた調査が行われることになり、また地域高規格道路、宮古盛岡横断道路、宮古西道路9㎞が調査区間に指定されるなど、高規格化のつち音を改めて実感するものでありますが、いずれも完成までには長い年月を必要とし、果てしない道のりであることを痛感します。 このような中で当市の観光消費額は、基幹産業である第1次産業の生産額に匹敵する産業であります。高速交通の到来を待ち、また観光客が来るのを待っているのでは、他市町村に追い越され、取り残されてしまいます。幸い当市は観光資源が豊富で自然の織りなす景観もすばらしく、観光客にとっては心のリフレッシュできる景観・景勝地が多いところと自負しております。 しかし、観光客の日帰りと宿泊の割合は、70%が日帰りで30%が宿泊となっています。このことは宿泊施設の不足、老朽化等にも原因があると思うが、私は別なところにも大きな原因があると思います。すなわち、通過型観光から滞在型観光にするために、どうしても当地にあと3時間から4時間の滞留をさせることが必要と思います。それには適正な観光開発の推進が必要と思いますが、当局の考えをお示し願いたい。 次に、観光の中核をなしている浄土ヶ浜は陸中海岸観光の情報発信基地で、交通、交流の拠点基地として位置づけるためにも、きょう現在のあり方では観光客の皆様に非常に申しわけなく、陸中海岸国立公園の不便さを日本各地に、いや世界じゅうに宣伝しているのと同様であります。 したがって、全観光客が自由自在に抵抗なく園地に入り、大自然の景観を陸上から、また海上から堪能していただければ大成功と思いますが、スムーズに浜に入れる方法はないのか、また浄土ヶ浜園地への整備計画をお示し願いたい。 次に、市長は3月1日の市政運営方針の中で観光物産の振興につきましては、多様化する観光ニーズに即した施策の展開を図るため、観光客の受け入れ体制の整備を初め、高齢者や障害を持つ人たちが安心してともに楽しめる観光、いわゆるバリアフリー観光地づくりを進めるとお話をいただきましたが、その計画をお示し願いたい。 最後に、観光振興は民間の活力と行政の協力によって推進していかなければ効果は発揮できない。したがって、観光協会、商工会議所、旅館組合等関係団体はもちろんのこと、議員、役所職員、企業等の一般全市民の意識の高揚が必要であり、観光に対する理解や我がまちへの誇りを持ち、「交流都市・みやこ」の市民として観光客に接し、市民ぐるみの観光振興と意識啓蒙の展開をしなければならない。 当市も昨年12月24日、インターネットにホームページを開設し、15項目にわたって宮古市をふんだんにPRしております。私も観光審議会の委員の一人として、どうしたら当市の豊富な観光資源をPRすることができるのか考え続けてきた結果、ファクシミリ送信表の余白を使ってPRしています。 宮古市の案内。自然がいっぱい、水産と観光の町です。旬の魚介類と山菜。春はほたて、わかめ、タラの芽、ワラビ、フキ。夏はいか、うに、ほや。秋はさんま、いか、マツタケ。冬はさけ、いくら、あわび、かき。おいしい空気と水は自慢できます。 観光の名所(名勝)。浄土ヶ浜、御殿山(月山)、閉伊崎、とどヶ崎灯台、潮吹穴。隣の町の龍泉洞、山王岩、北山崎。 交通(アクセス)。鉄道、東北新幹線盛岡駅から山田線宮古駅下車と盛岡駅から 106急行バスで2時間。道路、東北自動車道盛岡南インターから国道 106号線。空路、花巻空港。 問い合わせ先。社団法人宮古観光協会、電話、0193-62-3534。宮古市商工観光課、電話、0193-62-2111。 発信者の欄には、本州最東端の町宮古からとしてファクシミリ送信を続けております。PRの内容はもう少し工夫しなければなりませんが、宮古市民のお一人一人がファクシミリ送信をする際はぜひ余白に宮古市の宣伝を入れて発信するならば、大きな効果が出てくるものと確信するものであります。宮古市として印刷し個々に配布し、使用していただくことを提案しまして、壇上からの私の質問を終わります。 なお、再質問は自席より行わせていただきます。(拍手) ○議長(蛇口原司君) 熊坂市長。             〔市長 熊坂義裕君登壇〕 ◎市長(熊坂義裕君) ただいまの中嶋榮議員のご質問にお答えいたします。 私からはまず部制導入についてお答えいたします。 昨年4月に導入した部制の成果でありますが、まず部長の適切な権限移譲を行い、迅速、的確な事務執行の確立に努めてまいりました。また、行政分野別施策形成機能の充実を図るために、部に主管課を置き部内の連絡調整を行うとともに、部長の指揮のもと部内各課が分掌する施策に関する企画、調整を行うこととし、特に開発計画の策定、予算編成、部内定数の廃止等においてその機能を発揮しているところであります。 また、政策決定に当たっては、重要施策等の意思決定機関として三役、教育長及び部長で構成する庁議を定例的に行うこととし、その補助機関として企画調整会議を位置づけ、活発に開催されているところであります。 この1年間、部制について振り返りますと、私の目指した簡素で効率的な組織づくり、市民サービスの向上につながる組織づくりが実現できたのではないかと思っております。平成10年度は部制への改革の新年度として過渡的な1年でしたので、いまだ部ごとの縦割り式が払拭されてはおらず、また主管課制の役割が十二分に発揮されているとは言い切れませんが、その効果は総合的には評価されてよいものと考えております。 今後は、適宜、課内室をつくり、目的達成後は速やかに廃止し、柔軟に行政課題に対応し得る組織づくりを進めてまいります。平成11年度は中心市街地活性化対策室、介護保険室、きれいなまちづくり推進室を考えております。 その他のご質問につきましては、総務企画部長に答弁をさせます。 ○議長(蛇口原司君) 鈴木総務企画部長。             〔総務企画部長 鈴木英夫君登壇〕 ◎総務企画部長(鈴木英夫君) 部制の構成と行政改革についてお答えをいたします。 各部の構成でございますが、平成10年4月1日現在の職員数から見ますと、総務企画部が87人、生活福祉部が 201人、産業振興部が51人、都市整備部が74人、教育委員会が 112人となってございます。人数の多いところは社会福祉施設あるいは学校等、施設があるところでございまして、施設職員を除きますと生活福祉部が96人、教育委員会が30人でございます。組織体制及び職員数について常に点検、評価を行っておりますので、議員ご指摘のとおり、不合理な点があれば実態に即した組織機構の改善は行わなければならないと心がけております。 次に、本年1月4日から実施しております総合窓口制についてでございますが、数多くの新聞及び雑誌等において紹介されましたことから、2月末現在で全国各地の50を超える市町村から照会がございました。 お尋ねの3月、4月の来訪者の多い繁忙期をどう迎えるかということでございますが、その対応でございますが、現在6カ所設置しております総合窓口の増設を図ってまいりたい。また、数多い来訪者の方々の中には証明書のみの発行を希望して来庁される方も多いと思われますので、総合窓口とは別に、証明書発行専用窓口を設置いたしまして、お客様の利便を図ってまいりたいと考えております。 次に、証明書等の自動交付機についてのお尋ねでございますが、県内では昨年盛岡市及び花巻市が自動交付機を導入して、住民票及び印鑑証明書の発行を実施してございます。 当市の取り組みでございますが、今回の新しい住民情報システム開発の中で自動交付機の検討もなされたところでございます。各種証明を総合的に発行できる自動交付機を設置することが合理的であり、そのためにはもう少し準備が必要であるということから、今回のシステムとは切り離して検討することとしたものでございます。したがいまして、まずもって今回のシステムによる各種証明書発行等のサービス上の課題を整理し、自動交付機導入の利便性、費用対効果等を見定めながら、設置について具体的に検討してまいりたいと考えております。 以上であります。 ○議長(蛇口原司君) 松田産業振興部長。             〔産業振興部長 松田辰雄君登壇〕 ◎産業振興部長(松田辰雄君) 宮古市の観光振興についてお答えをいたします。 まず、適正な観光開発の推進についてでございますが、当市への観光客の入れ込み数は平成4年の 152万人をピークとして年々減少し、平成11年度には 114万人となってございます。 このような中で、観光施設が少なく、自然景観が中心の当市にとりましては、滞在時間が短く通過型の観光地でありますことは、議員ご指摘のとおりでございます。近年、観光客の要望が多いものの一つにいわゆる体験型観光がございます。市といたしましては、目下鍬ヶ崎地区に水産関係の体験もできる観光施設の整備を計画中でございまして、浄土ヶ浜の観光とあわせた宿泊を伴う観光地にいたしたいと考えておりますし、ホテル・旅館等の企画とも連携しつつ、滞在型観光地としての体制を整えてまいりたいと考えております。 次に、浄土ヶ浜地区への自動車の乗り入れ規制につきましては、関係当局に打診をいたしましたが、直ちに全面的な規制解除は困難であるとのことでございます。また、身体障害者につきましては、警察署で手帳を提示すればその場で許可証が交付されることになっておりますが、警察署まで出向かずに現地で交付できないものか要請もいたしましたが、これも難しいとの感触を得ているところでございます。昭和52年7月に全面規制となった当時と状況が変化しており、環境駐車場、道路等の条件整備も含め関係機関、団体と協議し、ご要望にこたえるよう引き続き努力をしてまいります。 次に、バリアフリー観光地づくりについてでございますが、高齢者や障害者が安心して気軽に当地方を訪れてもらうため観光施設等の不便さを解消し、すべての人々に優しい観光づくりを推進しようとするものでございます。当初の11年度予算では、市民有志で組織されたアクセシブル宮古のメンバーが中心となって行う障害者による当地のモニターツアー、シンポジウム、報告書、提言書の作成、高齢者、障害者にも対応できる観光施設、自然公園施設、商店街等を紹介した観光ルートマップの作成に対する支援がその主なものでございます。 次に、効果のある観光宣伝でございますが、当市の観光宣伝は、東京、関東方面を中心に旅行代理店、県の出先機関、観光センター、交通運輸業者等への観光パンフレット資料を送付し、配布してもらっておりますし、観光客からの要望によって送付しております。また、物産会場で直接手配りしたり、いろいろな方法で行っているところでございます。また、職員が出張の際には、できるだけ持参して当市を宣伝するようにもしております。 観光客の印象は、訪れた地域の景観や食事だけではなく、その地域で触れ合った人々の印象も大きく影響すると言われております。観光客が宮古に来てよかった、また来たいという気持ちになってもらうためには、観光の仕事に携わっている人々だけではなく、市民一人一人が観光客を温かく迎える気持ちを持っていただくことも大事なことでございます。市民の意識を高めることは短時間でできるものではございませんが、繰り返し観光情報を市民に提供することによって、市民が地域の自然や文化、歴史、物産等に関心を深め、他の地域の方々に自信を持って紹介できたり、観光案内ができるよう努力してまいりたいと思います。近年、インターネットやファクシミリ等が普及し、これらを活用した観光情報の収集がふえると思われますので、議員ご提言のように、市民の皆様が企業、個人を問わず、通信連絡に地域ニュースや観光情報を流してもらうことも効果のある宣伝方法と考えますので、内容、方法等を検討してまいることを申し上げ、答弁といたします。 ○議長(蛇口原司君) 中嶋榮君。 ◆4番(中嶋榮君) ご答弁ありがとうございます。 まず、第1点目の行政改革につきましては、職場の職員の皆様が仕事をしやすいように総合的に検討をしていただき、市民の皆様にサービスできるよう可能な限り民間委託を進め、効率的な行政運営にさらに努力していただきたいと思います。 次に、観光振興について再質問をいたします。 その第1点は、浄土ヶ浜園地の中に中の浜というところがございますが、そこに設置されているトイレがございます。そのトイレが観光船から下船をしましたお客様と、それから園地の中に入っているお客様がかち合って行列をつくっておるわけです。要するにトイレが小さいということが言われております。そういうことでその解決方法、どのように解消できるのか、ご答弁をお願いいたします。 ○議長(蛇口原司君) 宇都宮商工観光課長。 ◎商工観光課長(宇都宮満君) 浄土ヶ浜、中の浜地区のトイレにつきましては、平成9年度に県の補助をいただいて整備をさせてもらったトイレでございますけれども、議員ご指摘のように、シーズン中にはかなりのお客様で混んでおることも承知をしております。ただ、年間を通して設備投資をしようと思った段階で、どうしてもピーク時に合わせた施設整備となりますとかなりの投資を必要とするということから、一定の枠を設けまして現在整備してある設備になったところでございます。ただ、シーズン中混んでいるということにつきましては、ご指摘ありましたように私どももよく承知をしておりますので、新年度以降十分検討させていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。 ○議長(蛇口原司君) 中嶋榮君。 ◆4番(中嶋榮君) ありがとうございます。 2点目ですけれども、観光客の入り込み数の目標ですが、宮古市への観光客の入り込み数は過去5年間の平均が 130万人と、昨年は先ほども産業振興部長がお話になりましたが 114万人と落ち込んでおります。 したがって、宮古市は観光振興基本計画の中で平成17年を計画目標年次と定めて、観光客の入り込み目標値を年 200万人としていますが、入り込み目標数をあと70万人の増加を図るためには何をどう計画して実施していくのか、お聞かせ願いたいと思います。 ○議長(蛇口原司君) 宇都宮商工観光課長。 ◎商工観光課長(宇都宮満君) 確かに 200万人を目標とした観光振興整備計画をつくってございますが、現実的にはあと7年で 200万人達成というのは、大変な数値になってきたなというのは実感として持っております。 近年の観光客の皆様の宮古に限らず全国各地の状況を見ますと、団体旅行が極端に減っておりまして、小規模の人数、いわば家族旅行的な方々が主流になってきている、こういうこともあわせ考えましたときに、その目標である 200万人というのを達成するというのことが、ますますもって厳しい目標数字であるということは承知をしておりますが、当宮古地区の主産業の一つであります観光というものを抜きに宮古市の発展はあり得ないというふうにも思っておりますので、現時点では難しいとは考えておりますが、目標と立てました 200万人を達成するために施設整備の条件整備はもとより、全国各地への先ほどご提言いただいたような情報発信も含めて、努力目標として引き続き頑張ってまいりたいというふうに考えております。 ○議長(蛇口原司君) 中嶋榮君。 ◆4番(中嶋榮君) いずれにいたしましても、今までどおりの計画であるならばこの 130万人を超えることは、また大きなイベントをやったときであればそれは別と思いますが、そのような 200万人に近い観光客の入り込み数を目標とすることは現段階では無理だと、もう少し知恵を絞って宮古市の観光振興に当たっていきたいと思います。 以上をもちまして私の再質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。 ○議長(蛇口原司君) 次に、19番、山野目輝雄君に質問を許します。 山野目輝雄君。             〔19番 山野目輝雄君登壇〕(拍手) ◆19番(山野目輝雄君) 私は平成11年3月定例市議会において質問通告に従って、平成11年度市政運営方針にかかわる水産業の振興策について現状と今後の見通しについて質問いたします。 まず初めに、水産業は当市のみならず本県においては地域経済を支える重要な産業として位置づけられ、将来にわたって国民に安全で良質な水産食料を安定して供給する重要な役割を担っていることはご承知のとおりであります。 これまで当市は、さけ、あわび、うになどの増殖やかき、ほたて貝、わかめ、こんぶなどの養殖等、つくり育てる漁業の積極的な推進により、水産物の供給基地として重要な役割を果たしてまいりました。 しかしながら、近年の水産業を取り巻く諸情勢は漁業資源の減少、漁価の低迷、漁業就業者の減少、高齢化の進行など一層厳しさを増しており、漁家経営基盤の強化、漁村地域の活性化と将来に向けた漁業の担い手の確保等が急務となっております。 加えて、国連海洋法条約の締結に伴って平成9年1月からスタートしたTAC制度への対応など、資源管理型漁業に対する取り組みも一層重要となっております。 さらに、環境問題や食品の安全性に対する関心の高まりに伴い、海域の水質保全を初めとした漁場環境の維持、保全への取り組みのほか、新しい食品衛生管理(HACCP)方式の導入を目指した対応など、生産から加工、流通までを視野に入れた総合的な対策が求められております。 このような情勢の変化に対応し、安定した漁業経営の実現を図り、将来ともに活力ある漁村づくりのために消費者の視点に立った量的拡大から質的向上への転換など、新たな視点による積極的な施策の展開を図ることが必要不可欠であると考えます。 そこで、第1点目のつくり育てる漁業の推進についてであります。 当市は、5t未満の小型船が9割以上を占め沿岸漁業が中心となっておりますが、その大半はかき、わかめ、こんぶ等養殖業や、あわび、うに等の採介藻漁業に対する漁家の依存度が高く、これらの増養殖事業を継続していく一方、新たな魚類種苗放流やいわがき、あかがいの養殖技術の確立に向け、官民一体となって努力していることはご同慶の至りであります。つきましては、いわがき、あかがいの養殖試験を開始し3年を経過いたしましたが、将来の事業として見る場合、その現状と今後の見通しとあわせ魚類栽培事業をどう進めるか、お伺いいたします。 つくり育てる漁業を推進するためには、増養殖技術の開発のみならず、地域の課題として貝殻残滓、海草残滓など漁業系廃棄物の処理施設や処理方法の開発と展開が急務と考えるがいかがか、お伺いいたします。 第2点目として、新しい衛生管理(HACCP)と水産流通加工の振興についてであります。 品質管理は、生産に携わるすべての産業において必須の社会的、経済的行為でありまして、その重要性は水産業においても例外ではありません。しかしながら、魚市場を含め水産業界がHACCPによる品質管理方式を導入する場合、幾つかの問題点があり、これらに適切に対応する必要があると考えます。 その1つは、魚介類が肉質の結合が弱いため、腐敗、汚染されやすい性格の食品であること。2つ目は、水産食品が漁船による生産から漁港、魚市場を経由した流通、さらには加工の際に内臓、血液除去等の操作が伴うという独特の生産流通、加工体系を有していることです。この2つに対応するには、水産業の実態を考慮しつつ、HACCPを導入した宮古型工程管理マニュアルの策定が必要と考えます。 また、水産流通加工の振興についてでありますが、水産加工業は漁業と並び歴史のある産業であり、品質を重視した伝統的な手法や先進技術による多くの水産加工食品を消費者に提供し、健康的で豊かな日本型食生活を支えてまいりました。当市の水産加工品の構成は80%が冷凍水産物など低次加工が主体となっており、産地における付加価値化の推進と新しい水産加工品の開発や、特産品には品質基準を設けるなど、地域の水産物のブランド形成の取り組みの支援等、水産加工品の消費拡大や販路開拓を一層促進する必要があると考えるがいかがか、お伺いします。 第3点目に、就労環境の改善についてであります。 漁業就業者の高齢化や減少が続いている原因には、収入の不安定、厳しい労働条件等の漁業イメージと生活環境の基盤整備のおくれなどが考えられます。また、次代を担う青少年に対し、漁業環境への潜在的就業希望者の掘り起こしを図りつつ、漁業文化に対する理解者のすそ野を広げる行政施策の展開が必要と考えるがいかがか、お伺いいたします。 第4点目は、漁港と漁村整備についてであります。 その1つは、第9次漁港整備8カ年計画の第6年次目として、白浜漁港改修事業と日出島漁港の大沢地区の局部改良事業に着手し、漁業生産基盤の整備を図ることには異論はございません。しかしながら、これまで完成港と言われている管内のすべての漁港は、荒天時に漁船を避難させるなど、安心して漁船を係留できない状況をかんがみるに、安全で快適な漁港整備を図る必要があると考えるがいかがか、お伺いします。 2つ目は、漁村整備についてであります。 環境問題に対する関心の高まりに伴い、河川や海域の水質保全が重要視されている今日、漁業集落内の排水施設や集落道などの公共施設整備を強力に推進し、生活環境基盤の整備が急務と考えられます。特に、本州のさけ増殖河川では最大級の津軽石川の水質保全対策として、現在、左岸流域に位置する新町地区から法ノ脇地区までの集落排水施設整備等が進められていることは、ご同慶の至りでございます。 しかしながら、津軽石川の水質保全を考えるに、右岸地域の駒形通りから栄通り、赤前に至る住宅密集地域の環境整備が急務と考えられるがいかがお考えか、お伺いします。 以上、市政運営方針にかかわる水産業の振興策について当局の積極的な取り組みをお願い申し上げ、壇上からの質問を終わらせていただきます。 なお、再質問は自席から1、2の質問だけでご了承を賜りたいと思います。(拍手) ○議長(蛇口原司君) 松田産業振興部長。             〔産業振興部長 松田辰雄君登壇〕 ◎産業振興部長(松田辰雄君) 水産業の振興についてお答えをいたします。 まず、つくり育てる漁業の推進についてでございますが、当市沿岸域における浅海養殖漁業わかめ、こんぶ、ほたて、かきを中心に安定した生産となっており、水産業を支える重要な漁業種目となっております。水産業を取り巻く内外の状況は、輸入量の増加や消費地において価格形成がなされるという流通の現状から、漁価の長期低落傾向が続き依然として厳しさを増しております。 このようなことから、新たな養殖種目を目指して平成8年度から宮古漁協が事業主体となり、地域活性化事業調整費を導入し実施しておりますいわがき種苗生産養殖試験事業は、関係者の努力が実り、その生産技術を確立できたところであります。夏場の食用がきとして、平成8年度に種苗採取した3年物の試験販売を実施する運びとなっております。 また、あかがいにつきましては、平成8年度には宮古漁協青壮年研究グループが湾内の新規養殖種目を探るとして、山口県栽培漁業公社から種苗購入し養殖試験に取り組みましたので、市では平成9年度から支援しているところでございます。これまで、水深別成長比較試験、収容密度の違いによる成長と生残率の把握試験を行っており、これらの試験を継続するとともに、あかがい特有の鮮やかな赤い色を出すために海底に沈めて定期的に色合いの観察を行うこととしております。また、来年度は試験販売を予定しており、価格調査、販売ルートや販売容器の研究を行う計画となっております。 魚類の栽培漁業につきましては、岩手県沿岸ではさけ資源の造成を図るためふ化放流を実施しておりますが、平成8年度において目標でありました7万tを達成したものの、国内生産量の増大、輸入量の激増、流通加工コストの増加などにより漁価の長期低落傾向が続いており、魚類栽培漁業の新たな展開が求められているところであります。 このため、岩手県ではひらめ、かれい類の漁獲量がかつての資源状況に比べ低水準であることから、さけに続く魚類としての栽培を岩手県、市町村、漁業団体が協力して行う岩手県魚類栽培事業化推進計画を実施することとしております。この計画では、増産目標としてひらめ 120t、まつかわ 100t、種苗総放流は平成10年度から実施することとし、ひらめ 110万尾、まつかわは90万尾となっております。まつかわについては種苗生産技術の開発が必要なことから、当面10万尾を放流する計画であります。 また、種苗生産施設等につきましては、岩手県が国庫補助事業を導入して、平成10年度から12年度までの3カ年で事業費25億円をもって大槌漁港に新設するとともに、水産技術センター大船渡研究室の設備を拡充することとしております。 また、宮古湾周辺においては、にしん、くろそい、ひらめ等の魚類の種苗放流が日本栽培漁業協会宮古事業場の技術開発として行われており、この日栽協の種苗生産にあわせ中間育成、放流に当たり関係水産団体が連携し、事業化に向けて取り組んでいるところであります。 これまでの調査から、にしんにつきましては北海道南部の噴火湾まで回遊し、二、三年後に戻ってきており、宮古魚市場に水揚げされた調査からその回帰率は 0.3%、水揚げの30%が放流魚で占められていることから、宮古湾周辺が回帰性にしんの漁場として有力視されております。 本市におきましても、漁船漁業等の水揚げ拡大を目指して、今年度から宮古漁協等が主体となって進めております宮古湾周辺のにしん、くろそい、ひらめの放流事業を支援し、栽培魚類回収率向上を図ってまいります。 次に、漁業系廃棄物の処理につきましては沿岸地域共通の問題となっておりますが、岩手県では平成10年度において廃棄物の適正処理の促進を図るために、漁業系廃棄物再資源化システム開発促進事業を県漁連に委託し、貝殻残滓、海草残滓などの処理方法、再資源化に関する具体的な構想を策定することとともに、これに基づいた実践を目指すこととしております。 次に、新しい衛生管理と水産流通加工の振興についてでございますが、これまで衛生管理と言えば加工場や調理場の現場を中心に考えられてきましたが、昨今におけるスーパーなどの量販店や消費者の関心は、新鮮、安全、高品質指向となっており、この度合いはますます高まっていくものと考えられます。 水産業におきましては、これまでも高品質で衛生的な食品の提供に努めてまいりましたが、さらに新しい食品衛生管理システムであるHACCPへの早急な対応が求められていることでございます。議員ご指摘のとおり、漁獲段階から流通まで水産業全体にかかわる大きな課題となっており、水産庁及び岩手県におきましてもHACCP対応のマニュアルづくりに着手しております。当地域におけるHACCP対応策は、開設者である市と卸売業者である宮古湾漁連が中心となって進めており、漁獲段階では鮮度を保持するための氷の使用の徹底を図ることとしておりますし、魚市場においては関係者会議を開催し、漁獲別のじか置き、喫煙、手洗い、卸売場への車両の乗り入れ等の問題について、総体的な方向は了解されているところであります。 また、施設設備機器の整備も伴いますので、魚市場の衛生管理マニュアルをもとに補助事業の導入を図りながら、関係者と一体となって高鮮度で安心な水産物の供給に努めてまいります。水産加工場等における対応は、平成11年度岩手県がHACCP方式導入を促進するために、施設や衛生管理体制の改善事項を把握する衛生診断を行う事業所への助成事業が予定されておりますので、この事業の実施を働きかけてまいります。また、水産流通加工の振興につきましては、廻来船の誘致を図るなど加工原魚を確保するとともに、水産物の高次加工やブランド化の推進に関係者とともに協議、検討していきたいと考えております。 消費拡大、販路開拓につきましても、引き続き広域市町村及び漁業団体と連携を図りながら魚食普及に取り組むとともに、本年度は首都圏等の都市において交流を深め、販売促進活動を進めながら地域水産物のPRに努めてまいります。 次に、就労環境の改善についてでございますが、漁業は自然が相手の産業であることから気象条件に左右されるとともに、養殖における収穫は短期に行われ、労働条件が厳しいことなどから、漁業就労者数は年々減少傾向にあるとともに高齢化が進行しており、漁村における労働力不足と活力の低下が懸念されているところでございます。 このようなことから、市におきましては漁港整備事業を実施し、物揚げ場の整備や埋め立てにより作業用地を確保し、労働環境の改善を図っているところでございます。また、漁業集落環境整備事業を導入して下水道、集落道、上水道、防災施設、公園等の住環境の改善を図っており、このことが労働意欲を高めるとともに後継者の確保、育成にもなると考えておりますし、これまでも実施してきました漁業の担い手育成基金を活用した各種研修事業や研究グループ等への支援を引き続き実施するとともに、若者の人材確保、育成に当たりましては就業希望者の受け入れ体制が前提となりますことから、漁業関係団体等の理解をいただきながら検討してまいります。 次に、漁港・漁村の整備についてでございますが、漁港は第9次漁港整備長期計画に基づきまして漁業生産の確保、流通の円滑化、漁業経営者の安定及び快適で活力ある漁村の形成に資することを目的として、改修事業、局部改良事業を実施しております。 漁港の設計に当たっては地元漁業者の意見を聴取するとともに、波の高さ、波の長さ、向き、速さ、海底の地形、水深などを調査し、あらゆる検討を加えておりますが、外洋に面した漁港などにおいては厳しい自然条件のもとで、複雑な波高、波浪により漁船の係留が不可能となる状況もございますので、次期計画において補助の導入を図りながら、港内の静穏度を保つことができる漁港づくりに努めてまいります。 また、漁港整備とともに漁港背後地の集落環境整備を推進しているところでありますが、津軽石地区の漁業集落環境整備事業は、さけ川を守るための清流化を求めて組織された津軽石地区下水道設置期成同盟会の強い要望を受けまして、計画面積40.7ha、計画戸数 450戸、人口 1,700人の排水処理をメインとして平成4年度に事業着手し、平成14年度の供用開始を目指しているところでございます。当事業で下水道整備する区域は、津軽石川左岸となっており、議員ご指摘のとおり、右岸については近年住宅建設が進められ、生活排水は津軽石川に流入することになり、さけの遡上に対する影響が懸念されるところでございます。津軽石川清流を守るためには、右岸及び左岸上流部も下水道整備が必要であり、平成8年、9年度の2カ年で県と市町村が協議検討し、より効率的な事業推進を図るためのガイドラインとして作成した「新全県域汚水適正処理構想」において、農業集落事業で実施する地域に位置づけられているところでございます。 以上、答弁といたします。 ○議長(蛇口原司君) 山野目輝雄君。 ◆19番(山野目輝雄君) それでは、再質問は1点のみにさせていただきますが、まず水産業については宮古市の基幹産業であるというふうな位置づけがされているわけでございます。 そこで、水産業、漁業、加工業についても零細性の強い産業であるわけでございます。これの基盤整備、そしてまた育成が重要になってくると思うんですが、市長は一般質問のつど、それぞれこの水産業についてもお答えいただいておりますけれども、まず具体的に市長の考えをお聞かせをいただきたいなと。基盤整備を図る、そして育成していくための施策の考えをお聞かせいただきたいと思います。 ○議長(蛇口原司君) 熊坂市長。 ◎市長(熊坂義裕君) お答えいたします。 まず、私の基本的な考え方ですけれども、水産業は宮古市の基幹産業であると、歴史と伝統ある宮古市を特徴づける産業であるという認識を常に持っております。 そういった産業でございますので、これからも市としましても、行政といたしましてもできる限り支援をいたしまして、もっともっと盛んになってもらいたいというふうに思っております。ただ、いま水産業を取り巻く環境は大変に厳しい状況にございまして、 200海里から始まりまして、この宮古市も正直言いまして、衰退の方向に行きつつあるんではないかなというふうな認識を持っておりまして、大変危機感を持っております。 そういった中で、いま部長がるる答弁をいたしましたように、いろいろと具体的な政策をできる限り市も漁業者と一体となってやっていきたいというふうに思っております。零細の漁家が多いというふうなことも十分承知しておりまして、これからは後継者等に関しましても、もちろんこれは農林水産業すべてに共通することでございますけれども、そういったところにも力を入れていかなければならないというふうに思っております。 具体的には、いま部長がかなり詳しく答弁をいたしましたので、その施策に沿って私もやっていきたいというふうに思っております。 ○議長(蛇口原司君) 山野目輝雄君。 ◆19番(山野目輝雄君) ありがとうございます。 そこで、この水産業といっても漁業、水産加工業等々ございますが、水産加工業がご承知のように新たな水質管理体制、品質管理体制を導入するためにいま努力しているわけでございますけれども、この水産加工業においてHACCP方式を導入するとなれば、施設の整備、あるいはそれにかかわるいろいろな検査項目等々も出てまいります。現在、水産加工業の施設の整備が立ちおくれている状況にあります。また、昨年北海道のしょうゆ漬けいくらの大腸菌O-157 の事件発生後、いくら加工品の細菌検査等、資金面の過大な負担が問題となってきております。 そこで、宮古市の基幹産業は水産業であると。本年の魚市場の水揚げを見ますというと 100億円を超えようとしております。その中で、水産加工業が主として扱う秋鮭はおおむね 8,000t、水揚げ高は29億 7,100万円、これが魚市場の実績でございます。 これを流通面で考えてみますというと、まず 8,000tの2分の1、 4,000tが雌ざけになります。あとの4,000 tが雄ざけと。雌ざけの 4,000tから、宮古の加工屋さんたちは 400tのいくらを加工製造するわけです。これが消費地の単価1㎏ 4,000円で見ますというと16億、それとフィレー 1,800t、1㎏ 300円で見ますというと5億 4,000万円。そのほか、雌ざけでも鮮魚で出荷する部分がございます。それを 1,200t、1㎏ 700円で見ますと言うと8億 4,000万。このいくらから鮮魚まで、合計トータルでは29億 8,000万円になります。そのほか、雄ざけ、これが鮮魚、フィレー、合わせて12億 4,000万円の金額と相なるわけでございます。これらを総合的に考えてみた場合に、いくらの加工製造の比重が大きい、しかもいくらの加工で加工業界は経営を賄っていると、こういうことになるわけでございます。 しかしながら、昨年の北海道のO-157の事件発生以来、加工製品の検査が義務づけられ、その検査を通らなければ加工製品を販売できない状況に相なっているわけでございます。いくらを例にとりますというと、1週間ごとにいくらの細菌検査をやります。これは中央臨床検査研究所で検査をして、合格しなければ販売できないと、こういうような状況になっております。その検査は1検体1万 500円、それぞれ加工屋さんで違いますけれども1週間ごとに5、6万の経費が加算されてきます。そういうことで、このいくらの検査料が加工屋さんたちの経営に大きな負担になってきております。先ほども田中議員がお話になりました、産業の振興で質問されましたけれども、やはり宮古市の基幹産業であるこの水産業の振興策には、こういう面で援助、支援をしていく必要があるのではないか。市長はどのような考えを持っているか、お伺いいたします。 ○議長(蛇口原司君) 制野水産課長。 ◎水産課長(制野忠彦君) お答えをいたします。 議員お話のとおり、昨年の北海道のO-157による事故以来、荷受けさんの方から求められる検査の回数、これがふえてきていると。今後はますますふえるであろうというふうに言われております。加工屋さんの中からも、何か役所の方でも応援をしてくれという要望をされております。今後におきまして、議員おっしゃるとおり、さけの8割から9割はいくらによるというふうに考えておりますので、支援策について財政状況を見ながら検討してまいりたいというふうに考えます。 よろしくお願いいたします。 ○議長(蛇口原司君) 熊坂市長。 ◎市長(熊坂義裕君) お答えいたします。 いま水産課長が申し上げましたように、HACCPに関しましてはできる限り財政措置等も考えまして、支援をしていきたいというふうに思っております。 それから、いま具体的に、私自身もきょう初めて 8,000tの売り上げの内訳というのを具体的な数字でお示しいただいて、目からうろこの落ちる思いというか、初めてその中身というのがわかった次第でありまして、実際のところ 8,000tのうち 4,000t、そのうち 400tがいくらで、そのいくらが16億円と。大変具体的に数値を示していただきまして、改めていくらの重要性というのを認識したわけでありますけれども、今のこういったHACCP、その他衛生管理等、大変話題になっている状況でございますので、宮古市のいくらが品質は日本一でありますけれども、さらにHACCPにも十分に対応しているんだということを、また逆にそのことを強調することが、さらに宮古市のブランドを高めていくんではないかなというふうに思っておりますので、このことに関しましては、十分に行政としても支援していきたいというふうに思っております。 ○議長(蛇口原司君) 山野目輝雄君。 ◆19番(山野目輝雄君) ありがとうございました。 以上で終わります。 ○議長(蛇口原司君) 私から一言、おこがましいでありましょうが、当局に要望申し上げます。 答弁の原稿を読むのは結構であります。確かに推敲に推敲を重ねた玉のような玉稿でありましょうけれども、抑揚もなし、声は低い、早口となれば眠くなるのみですから、やはり抑揚をつけてやるとか、あるいは早口でなくゆっくりやる、あるいは声を高くやる、こういうようにしていただくことをお願いいたします。--------------------------------------- △散会 ○議長(蛇口原司君) 本日はこれをもって散会いたします。             午後4時07分 散会...